バービー
今回のバーベンハイマー騒動を巡っては色々と思うことがある。
まず、大前提として広島や長崎に原爆が落とされ大勢の人々が命を落としたり、生存しても障害が残ったりしたことは許し難いことである。
また、東京大空襲も含めて米軍が第二次世界大戦中に日本に行ったことが非人道的であることも大前提だ。
ただ、日本は大戦においては被害者であると同時に加害者でもあり、当時の日本軍が行った南京大虐殺や従軍慰安婦などの問題については非人道的だったと言わざるを得ないと思う。
真珠湾攻撃に関しても、日本は米国にはめられて先制攻撃したことにされただけだと陰謀説を唱えて擁護する者もいるが、この件も国際感覚からすれば非常識なものだったと言っていいだろう。
その一方で、戦争というのは勝者、しかも、米英を中心とした西側諸国が勝利した場合の勝者の言い分のみが正義とされるのも事実だ。
だから、一般市民が犠牲になったとしても、それは非人道的な政府を支持している者だから仕方ないという風潮がある。21世紀になってからだけでも米国はイラクやアフガニスタンで空爆を行い、多くの市民が命を落としたが、西側諸国はサダム・フセイン政権やタリバン、アルカイーダを倒すためにやむをえないことだったという考えを持っている。現在進行中のウクライナ情勢だって、西側の感覚ではウクライナ=正義、ロシア=悪となっている。
広島や長崎への原爆投下も第二次世界大戦を終わらせるために仕方なかったという考えの米国人が多いのも同じ構図だ。
個人的には、原爆投下や東京大空襲が悪なら南京大虐殺や従軍慰安婦も悪。米同時多発テロが悪ならイラクやアフガンへの空爆も悪だと思う。勿論、ロシアにもウクライナも正義ではない。
でもそう思わない人が多いんだよね。ダブルスタンダードの人が多過ぎる!今回のバーベンハイマー騒動だってそうだ。
バービー人形の世界をフェミ的要素を絡めながら実写映画化した「バービー」と、原爆開発に関わった学者の伝記映画「オッペンハイマー」という雰囲気が全く異なる話題作2本が米国では同日公開となり、その2本をハシゴしようとする映画ファンが続出する気持ちは分からないでもない。
そして、映画ファンがその2本をまとめてバーベンハイマーと呼ぶことも理解できる。かつて夫妻だったブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーをまとめてブランジェリーナ、MLBエンゼルスのトラウトと大谷をまとめてトラウタニと呼んだりといった具合に複数の人物や作品をまとめて一つの名詞にして呼ぶことは米国ではよくあることだしね。というか、日本だって芸能やスポーツの世界でコンビを組む2人の名前をくっつけた愛称で呼ぶのは日常的だ(オグシオとかね)。
だから、バーベンハイマー現象自体を否定するつもりはない。また、ネットの世界にはネトウヨやパヨクみたいな無知な連中がうじゃうじゃいるから、バーベンハイマーに便乗して原爆をギャグにしたネタを投稿するアホがいるのも分かる。肯定はできないけれどね。日本だって、ネトウヨやパヨクが普段からくそつまらないコラ画像をあげて喜んでいるからね。
でも、「バービー」の公式SNSがこういうアホなコラ画像に乗っかってはダメでしょ!女性の活躍推進を訴える、いわゆるフェミ的なメッセージを込めた「バービー」の公式が原爆をギャグにするという非人道的なことを容認するのはあってはならないことだ。
どんなに立派なメッセージを持った作品を作っても、その作品の運営側が非人道的なことを容認してしまったら、その作品のメッセージは意味のないものになってしまう。
だから、「バービー」配給のワーナーの日本支社は異例とも言える米国本社を批判する声明を発表した。ワーナーは現在では、東宝・東映・松竹の大手3社に次ぐレベルの邦画配給会社でもあるから、この問題をスルーしたら、日本のスタッフ・キャストから嫌われてしまい、今後、稼ぎ頭であるローカルプロダクトの日本映画を手掛けることができなくなってしまう。そりゃ、本社にたてつくのも当然だよね。
そして、この動きを受けて本社も嫌々ではあろうが声明文を出し謝罪することになった。問題となった公式SNSで謝罪せず、メディア向けに短い声明を出しただけというのはいかにも嫌々ながら謝罪したって感じだよね。
多くの米国の映画ファンはバーベンハイマーのムーブメントを楽しんでいるし、その効果で興行成績も伸びている。それにそもそも、多くの米国人は原爆投下は戦争を終わらせるための最善の策だったと思っている。だから、ブームに水をさすようなことはしたくないというのが本音だと思う。でも、日本のみならず米国内のメディアにまで批判的な報道をされてしまったから、仕方なく形だけの謝罪をしたといったところなのだろう。
ダブスタの問題が起きているのは日本も同じだ。
通常、ネトウヨは親米的で(従来の右翼が反米的なのとは異なる)、パヨクは反米的だ。
通常の考えでいけば、原爆をネタにした今回のムーブメントはネトウヨはスルーし、パヨクが大騒ぎするというパターンになるはずだった。
ところが、「バービー」がフェミ的思想をおりこんだ内容であることから、ネトウヨが米国ワーナーの態度を批判し、パヨクが擁護するという通常の思想とは逆の現象が起きてしまっている。
そうやって、相手によって態度を変えるから、ネトウヨとかパヨクは嫌われるんだよね。
実際に本編を見ると、確かにフェミ思想を前面に出した作品であることは間違いないと思う。
しかし、それだけの映画ではない。自分たちの住む世界が実は現実世界ではないことを知るのは「トゥルーマン・ショー」だし、人形が人間になろうとするところは「マネキン」みたいだった。
バービーやケンが何人もいる世界というのも面白かった。
だから、そこまでハナにつくものではなかった。笑えるシーンも多かったしね。ただ、全体的にテンポは悪いとは思ったけれどね。
あと、音楽の使い方は良かったと思う。ミュージカルかそれともMVかみたいなシーンはあったけれど。
ところで、マッチボックス20(のちにトゥエンティ表記に変更)の“プッシュ”が女性を無理矢理押し倒す男根主義ソングとして使われていたのには笑ってしまった。もしかすると、米国ではマッチボックスって男尊女卑思想の保守的な男が好むバンド扱いなのか?
《追記》
日本ではヒットしないと思われていた「バービー」だが、結構、座席が埋まっているぞ!
黒人アリエルなんて受け入れられないと言われていた「リトル・マーメイド」もそれなりのヒットとなったし、もしかすると、日本の10〜20代って30代以上が思う以上に多様性とかフェミ思想を受け入れているのでは?
と思ったが、外国人が多かっただけかも知れない…。ということは外国人の少ない地方では大コケかも…。
それにしても外国人観客のマナーが酷い!
ずっと喋っているし、スマホは点灯させるし、食べかすは散らかし放題でそのまま帰るし。あと、ずっと、咳をしていたのにも腹が立った。外国人って、ちょっとでも体調が悪かったら、家で寝ているような人たちじゃなかったのか?ひと昔前の不良ガイジンって言葉がぴったりな連中ばかりだった。控えめに言っても、⚪︎んで欲しいと思った。
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