見出し画像

老害とは

毎年、正月に(ここ何年かは1月2日。以前は3日のこともあったし、仕事の都合で成人の日を含む3連休中になったことも)、かつての職場で一緒だった人と肉を囲む会を開くのがお約束となっている。基本、鍋というかしゃぶしゃぶ系のチェーン店で食べ放題コースを酒も飲まずにたらふく味わうというものだ。


相手と知り合ってからだいぶ経つが、その時の職場で自分は若手社員、彼は学生バイトという立場だった。
お互い、アニメや声優が好きという共通項があり、仕事終わりに秋葉原に行ったりするようになり、気付けば、その職場をそれぞれが去っても関係が続くようになっていた。

彼はここ何年かは、赤松健や山田太郎の言うことを真に受けるなどネトウヨ化が進み、どうしたものやらと思っていたが、今回は世の中に対する不満を述べるようになった。というか、はっきりと今の日本企業はレベルが下がり大陸の企業に追い抜かれてしまったと発言するようになっていた。本来のネトウヨ思想だと中国企業を認めるなんてできないからね。

10月の衆院選で自民党が議席を減らしたことからも分かるように、ネトウヨ思想の者を含む自民支持者の中に、自分たちが支持してきた自民のせいで日本が退化したと感じる人が増えてきたということなのだろう。

そして、その知人は団塊ジュニアから今の30代半ばくらいのいわゆる氷河期世代の苦悩を語るようになっていた。


かつての彼のネトウヨ思想なら、氷河期世代の苦悩は自業自得。自民の政策の恩恵を受けられない奴は自己責任と語っていたはずだ。

若手社員がいい加減な仕事をしたり、仕事の覚えが悪くても起こってはいけない。

そうした考えの背景にあるのは若手社員に辞められたくないから。

でも、いい加減な仕事をしたり、仕事を覚えなかったりする若手社員の尻ぬぐいをさせられるのは氷河期世代。

その尻ぬぐいをした分の報酬が出るわけではないし、その若手を怒ったらパワハラ扱いされてクビになるのは氷河期の方。

尻ぬぐいする状態が続けば、その若手は仕事をずっといい加減にしたり、覚えなかったりする状態のまま。それだと、職場は発展しない。

しかし、そのことで不満を述べると追い出されるのは氷河期の方。

その理由は明白だ。

若手の方が人件費が安く済むから。

結局、職場の発展よりも人件費を安く抑えた方が役員連中に評価されるから上司は氷河期世代がストレスを抱えて辞めるなら勝手にしろというスタンスを取っている。

若手も若手で、自分が仕事をいい加減にしているとか、きちんと覚えていないのを分かった上で、氷河期世代の先輩が文句を言ってきたら、パワハラやセクハラで訴えて追い出すことができると分かっているから、スキルアップしようとしない。

問題を起こした子どもを注意した大人に対して、その問題を起こした子どもがその大人を不審者扱いして通報すれば、自分は無罪放免となり、逆にその大人を犯罪者に仕立てて社会から追放することができるのと同じだ。

結局、悪いことをしたり、ミスをしてりしても、罰を与えられたり、注意されたりしなければ、改善しようという気は起きない。

そりゃ、日本企業、日本社会は衰退するわけだというのが大まかな彼の主張だ(一部、自分の補足を混ぜたが)。

今まで、現在の日本社会、というか労働人口、生産年齢人口で圧倒的多数派だった氷河期は一部の成功者(芸能人、自営業者など)がそれより上の世代(バブル世代など)よりも酷い、精神論・根性論・自己責任論者であったため、自民の政策の恩恵を受けられなかった一般人との間で思想の分断が起きていた。
また、この一般人も自分は負け組と認めたくないから、本音とは裏腹に自民支持を表明している者も多かった。

しかし、ここ数年の世界的なインフレや円安、インボイスなどで、そんな余裕はなくなった。
勝ち組のフリをしている余裕もなく、自民が日本を貧しくしたことを認めざるを得なくなったということなのだろう。

まぁ、パワハラなどはどんな理由があってもなくさなくてはいけないと思う。
ただ、自分の不備が原因なのに気に食わないことを言われたりしたら、注意した者をパワハラだセクハラだカスハラだと指摘して悪者にして、自分は何の反省もしない奴が多いのも事実。こうしたルールを逆手に取って好き勝手する連中をなくすことも必要だと思う。

いいなと思ったら応援しよう!