ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ
テレビアニメ「鬼滅の刃」の新シリーズ“刀鍛冶の里編”の放送に先駆けて前シリーズ“遊郭編”を振り返る、もしくは新シリーズを先取りするような企画は何かしらあるだろうなとは思っていてた。
最初のシリーズ“竈門炭治郎 立志編”の放送前には最初の5話をつなげた先行上映版が公開された。
劇場版“無限列車編”の公開時期には、“竈門炭治郎 立志編”の人気エピソードを一本化した特別編集版がテレビ放送された。
“無限列車編”のテレビ初放送時にはさらに、“竈門炭治郎 立志編”の残りのエピソードについても特別編集版が放送された。
また、“遊郭編”の放送に先駆けて、“無限列車編”をテレビシリーズ用に再編集したバージョンが放送された。
こうした流れからすると、“遊郭編”を一本化したものがテレビ放送される。もしくは劇場上映されるのではないかと思っていた(全11話なので、特別編集版を作るとなると前後編になるのかなという気はするが)。
しかし、実際に世に出ることになったのは、“遊郭編”のラスト2話と“刀鍛冶の里編”の第1話をまとめて上映するという予想しなかった形式のものだった。
まぁ、“遊郭編”のラスト2話は映画なみのスケール感のある話だから劇場上映したいという気持ちは分かるし、“刀鍛冶の里編”の第1話だけの先行上映では、そこまで多くの観客を動員できないだろうから、こういう形になるよねって感じかな。
純粋な映画とは言えない作品ではあるが、一応、中身についても語っておこう。
“竈門炭治郎 立志編”および“無限列車編”の名場面も上映されると伝えられていたが、まさか、東宝やアニプレックスなどのロゴが出た後に、つまり、本編の一部として上映されるとは思わなかった…。てっきり、本編前にアニメ映画でよくあるキャラを使ったマナーCMみたいな感じでオマケ的に上映されるものだと思っていた…。
“遊郭編”のラスト2話に関してはアバン部分やアイキャッチもそのまま上映され、Aimerの“残響散歌”が2回も流れるとは思わなかった。
てっきり、“竈門炭治郎 立志編”の冒頭5話の先行上映版である“兄妹の絆”のようにアバンやオープニング曲などの重複部分やアイキャッチはカットして一本化するものだと思っていたが、そのままだった。
それにしても、妓夫太郎と堕姫の鬼の兄妹のラストは泣けるよね。炭治郎と禰豆子の兄妹の絆の描写については、萌えアニメや近親相姦もののAV同様、いつもくっついている兄妹なんているわけないだろうと思っている。
でも、この鬼兄妹は一心同体ではあるものの、お互いを罵り合ったりもしていて、その辺は炭治郎と禰豆子よりもリアリティのある兄妹描写だと思う。基本、兄妹って同族嫌悪みたいなところあるからね。それは、兄弟・姉妹・姉弟といった他のきょうだいの関係よりも顕著だと思う。それから、精神年齢の低い男の方が年上ということで、尚更、妹からすると、兄がバカでダサくて汚らしい存在に見えるというのはあるしね。
でも、他のきょうだいの関係よりも何かあった時には一心同体になれるという面はあると思う。それは、結局、根底に同族であることを理解しているからなんだと思う。
だから、この鬼兄妹がきょうだい喧嘩の末に絶命していく一連の場面は、兄妹関係にある者としては涙なしには見られないといった感じかな。
それにしても善逸って強いよね。眠りの小五郎は何にもしていないけれど、善逸は寝ている間に大活躍しているからね。
そして、多くの人が待ち望んでいた“刀鍛冶の里編”第1話のパートについても触れておこう。
冒頭の上弦が集合する場面は鬼舞辻無惨によるパワハラ全開の重いシーンでもあるので、それとの対比という意味もあるのだろうが、炭治郎が(遊郭編での負傷から)目覚めてからの展開がやたらとコミカルだし、お色気場面が多いのも少々気になった(禰豆子ですら裸になって温泉で泳いでいるしね)。これからの展開を前にした束の間の休息モードなんだろうけれどね。まぁ、面白いからいいんだけれど。
どうでもいい話だけれど、鬼舞辻無惨って“スムーズ・クリミナル”のマイケル・ジャクソンがモデルだよね?あと、禰豆子がムームー言っている時の声って、「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の彼方がおねむな時の声と同じだよね。まぁ、どちらも鬼頭明里だけれど。
ところで、“刀鍛冶の里編”のオープニング曲ってMAN WITH A MISSIONとmiletのコラボ曲なのかよ!Aimer続投か、LiSA復帰か、あるいは別のアーティストかはさておき、てっきり、SACRA MUSIC所属のアーティストが担当するものだと思っていたが、一般的な邦楽アーティストが担当するとはね…。
テレビ版“無限列車編”や“遊郭編”の時はいわゆるアニソン系アーティストでない人に歌わせると、“フジテレビによって改悪された”と批判されるから、とりあえず、SACRA系アーティストに担当させたけれど、フジテレビで放送することに対する批判もほとんどなくなり、鬼滅はフジのコンテンツという認識が高まったから、フジテレビとしても、一般受けするアーティストの方に変えても文句は言われないだろうという判断なのかな?
まぁ、狼バンドもmiletもこれまでにアニメ関連楽曲に関わってきたアーティストで、しかも、アニメ絡みの良曲もあるから、アニメファンでこの2組の起用を批判する人は少ないとは思うけれどね。とはいえ、SACRAのアーティストでないというのはちょっと、なんだかなという気はするかな…。
《追記》
そういえば今日は節分だ。鬼の話の「鬼滅の刃」の“新作”の公開初日にするにはピッタリな日だと思う。プロモーションの仕方がうまいよね。
とはいえ、自分が見に行った劇場はかなり空席が目立っていた。いくら金曜日の昼間に行ったとはいえ、いくら既にテレビ放送済みのエピソードとこれから放送するエピソードをくっつけただけのイベント上映とはいえ、日本の興行記録を塗り替えた“無限列車編”以来となる劇場上映作品なのだから、ちょっと拍子抜けという感じかな…。
結局、コロナ禍に入って間もない頃の最初の緊急事態宣言下でやることがない人が“竈門炭治郎 立志編”を配信で見て、その流れで自粛モードがちょっと落ち着いた時に“無限列車編”が公開されたから、久々に外出して楽しめるエンタメとしてヒットしたというだけなんだろうね。
緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も発令されず、コンサートやスポーツ競技場での声出しも認められるようになり、さらに、GW明けにはコロナも5類に引き下げられ、ノーマスク生活が認められるという方向になるようだから、そうなれば、鬼滅以外に楽しめるものはいくらでもあるからね。まぁ、ブームが去るのも当然だよね。
“立志編”放送終了から“無限列車編”公開まで、
“無限列車編”公開から“遊郭編”放送開始まで、
“遊郭編”放送終了から“刀鍛冶の里編”放送開始まで、
それぞれ1年から1年数ヵ月の間隔があいている。
アニオタや映画マニアからすれば、そのくらいのスパンは短いくらいなんだけれど、ただ周囲の流行りに合わせているだけの人からすると、1年以上も間があいてしまうと、そのコンテンツに興味を持たなくなってしまうからね。一定のクオリティを保ちながらシリーズを続けるには、このスパンでもスタッフが疲弊するくらい早すぎると思うけれど、ライト層や非オタはそうは思わないからね…。
このペースで行くと原作の最後までアニメ化するには最低でも3年はかかるだろうから、それまで、人気を維持するのは大変そうだよね。