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量産型リコ -最後のプラモ女子の人生組み立て記-
面白いか面白くないかどちらか答えろと言われたら面白いと答える。
でも、シリーズ第3弾、そして、サブタイトルから推察するにおそらくは完結編となる本作は「量産型リコ」というコンテンツの趣旨に沿わない作品だったと言わざるを得ないと思う。
シリーズ第2弾がそうであったように、本作もシリーズ第1弾と同じリコという名前の主人公にしてはいるが、キャラ設定などは異なる(性格は同じだがやっている仕事などは違う)、いわゆる、パラレルワールド的、マルチバース的な世界観のもとで作られた作品だ。
リコのみならず多くの登場人物が1作目や2作目とは異なる設定で登場する。今回で言えば前作でリコらが起業したスタートアップ企業のスタッフが今回はリコの家族になっていたりと設定はかなりめちゃくちゃだ。
立地は異なれど矢島模型店を経営しているやっさんくらいだろう。シリーズを通じて同じ設定で出てきた登場人物は。模型店のバイトのアオは2作目からの登場だしね。
1作目はそれなりの規模を持つイベント会社を舞台に個性を出さずに何となく日々をやり過ごしていることから量産型と揶揄されていたリコがプラモデルを作ることで何かに夢中になることの楽しさを知り、仕事にも楽しみを見つけるようになるというストーリーだった。これは、よく練られた設定だったと思う。
ところが2作目はスタートアップ企業を舞台にしてしまった、しかも、リコを社長にしてしまったことから、量産型というキャラ設定からブレてしまった。でも、企業ものではあることから1作目同様、リコがプラモデル作りを通じて仕事にも活かせる何かを見つけるというストーリー展開は何とか維持することができた。
ところが本作の舞台は田舎だ。
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リコは仕事を休業して実家に戻り、ダラダラと過ごしている。ビジネス要素はなくなってしまった。田舎を舞台にしたことで家族や模型店の人々以外との接点が限られてしまっている。過去2作にあったプラモデル作りが仕事につながるという展開は皆無に等しい。
それに矢島模型店が田舎町にあるのも不自然だ。普通に考えたら経営は成り立たない。過去2作でもリコや彼女が連れてくる同僚以外の客が来ている様子はあまり感じられなかったが、それでも都会にある模型店だったので、おそらく、ネット注文とかに対応し、それなりに収入はあるのだろうと好意的に解釈することはできた。
しかし、今回の田舎町にある模型店という設定ではそういう解釈をしてあげることは不可能だ。
そんなわけでシリーズ中、最もリアリティのない作品となってしまった。
リコが務めていた派遣会社の担当とか元同僚とメールでも電話でも何でもいいから、再起に向けてやり取りしている場面がちょいちょいあれば、本作を過去2作同様、テレ東らしいビジネスドラマとして見ることができたが、田舎でダラダラして、たまに何かトラブルに巻き込まれるとプラモデルを作るだけという日々ではね…。
一応、最終作みたいにうたってはいるが、本作終盤の矢島模型店コンビの動きを見ると、まだまだ、異なる世界観のリコを舞台にしたストーリーは作れそうだ。
第4弾なり、SPドラマなり、劇場版なり、何でもいいが、“続編”が作られることがあるのなら、今度はきちんと都会のオフィスで話が展開されるものにして欲しいと思う。
※画像は公式HPより