
トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
やっと見ることができた。家庭の事情から来る睡眠不足と時間不足で見るのを諦めようと思っていたが重い腰をあげて鑑賞して正解だった。
東アジア人の男ならほとんどの者がこの映画を見れば気に入ると思う。
ご都合主義やツッコミどころは多いし、展開も超ベタ。主人公の面倒をみてくれる九龍城砦のリーダー的存在の男の敵が主人公の親だという事実は見ている途中でほとんどの観客が気付いたと思う。
それから、主人公を含む4人組が覆面をかぶって復讐に出かけた時に主人公の覆面(8の字型の駄菓子のチョコチップ)が取れた時に別のメンバーがお面を渡してくれるなんて都合が良すぎる。
あと、オカルトな存在の敵キャラはなんなんだ…。

でも、そんなことはどうでもいい。
世界中の映画ファンを魅了した80年代の香港映画が帰ってきたと言ってもいい痛みを感じるアクションと香港ノワール的な義理人情の世界に浸っているだけで思わずウルウルしてしまうほどだ。
やり過ぎだろというアクションを見て思わず笑いたくなったりもしたしね。
90年代に入り、香港映画はハリウッドを意識した国際的なアクション大作と、ウォン・カーウァイに代表されるアート路線が中心となった。
そして、香港が1997年に中国に返還されると香港映画は事実上の中国映画となってしまった。
本作はそうした香港映画が変質する前の香港映画ファンが好きだった香港映画が戻って来たという感じだった。

話自体も80年代を舞台にしているので、当時のテイストを再現しやすかったのだろう。
香港が再開発され中国に返還されても香港らしさは残るよというラストのメッセージは当局に媚びを売っているように見せておきながら、返還前の猥雑な雰囲気の方が人間らしさがあったという当局批判にも見える。その辺の見せ方には良くも悪くも感心した。
また、“ダンシング・ヒーロー”や“モニカ”といった80年代の日本のヒット曲の広東語カバー・バージョン(前者は厳密には洋楽カバー)が当時の雰囲気を増長するのに役立っているのもポイントだ。今はすっかり中華圏や韓国に色々な面で追い抜かれてしまい、外国人観光客に媚びる後進国となった日本だが、当時はアジア代表のポジションであったことを改めて思い出させてくれる。
ところで、「スノーマン」の主題歌“Walking In The Air”っぽいインスト曲が聞こえたが、あれはカバー曲だったのか、それとも、パクった曲なのか、どちらなんだろうか(クレジットが一瞬で確認できなかった)。そう言えば、80年代の香港映画って、著作権を無視したような洋楽曲の広東語カバーとかが挿入歌に使われていたりしたよね…。
そして、80年代と言えば、サモ・ハン(当時、日本ではサモ・ハンという英語名と、ハン・キンポーという中国語名を混ぜたサモ・ハン・キンポーといった間違った呼称になっていた)の登場も嬉しいところだ。
座っているシーンが多いし、もしかしたら、体調でも崩してアクションができなくなったのかなと思ったりもしたが、終盤にはきちんとアクション・シーンがあったので安心した。
若い頃は日本でデブゴンなどと呼ばれ、動けるデブ扱いだったけれど、年を取ってからはそんなに太っているようには見えないので、尚更、体調が良くないのではと思ってしまうんだよね…。