劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)
2019年2月公開の前作「劇場版シティーハンター〈新宿プライベート・アイズ〉」は興収15億円超の大ヒット作となった。
もっとも、同じジャンプコミック原作アニメの劇場版としては、2020年の「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」、2021年の「劇場版 呪術廻戦 0」、2022年の「ONE PIECE FILM RED」、「THE FIRST SLAM DUNK」が記録的な大ヒットとなりインフレ状態なので、現在では15億円程度ではヒット作と思われなくなっているが、2019年時点では紛れもない大ヒット作となっていた。
前作がヒットした理由としてあげられるのは以下のような点だろうか。
⚫︎劇場版としては実に29年ぶり、テレビスペシャルを含めても20年ぶりの新作となった
⚫︎オリジナルキャストが集結した
⚫︎エンディングに第1シリーズのエンディング曲であるTM NETWORK“Get Wild”のみならず、第2シリーズのエンディング曲である同じくTMの“STILL LOVE HER (失われた風景)”まで流した
⚫︎挿入歌として、これまでのテレビシリーズのオープニング曲、エンディング曲の数々を流した。その中には、初放送当時は失笑ソング扱いされていた小室哲哉“RUNNING TO HORIZON”まで含まれていた
⚫︎シティーハンターと同じ北条司原作アニメ「CAT'S EYE」とコラボした
要は同窓会だ。良いことも悪いことも今では思い出という感じかな。
そして、そのヒットを受けて4年半ぶりに続編が登場した。
でも、正直なところ、前作ほど本作が受け入れられるとは思わない。
その理由はこんな感じだろうか。
⚫︎歴代の関連曲を次々と流すという演出はワンパターンと言われるから繰り返せない
⚫︎ CAT'S EYEとのコラボも繰り返せない
⚫︎前作でレギュラーキャスト陣の老化を実感させられてしまった
⚫︎テレビアニメの劇場版としては続編が出るまでの期間が4年半というのは長いのかも知れないが前作の29年ぶりと比較すると全然久しぶりではない
と思ったら、いきなりCAT'S EYEとのコラボ場面からスタートした…。
そして、前作のように次から次へと歴代楽曲をBGMとして使用というわけではなかったとはいえ、今回も“RUNNING TO HORIZON”を使っていた…。ファンの反応も含めて、いつの間にか名曲扱いになっているのおかしいでしょ。この曲がリリースされた当時は、“何だ、このしょぼい歌い方”って感じでバカにされていたのに…。
オープニング曲となったTMの新曲“Whatever Comes”はオープニングにテレビサイズで流れただけだが、エンディングでもう一度流しても良かったのでは?今回は“STILL LOVE HER”もなかったわけだし。
それにしても、2023年の新曲には聞こえない楽曲だな…。TMがグループもしくは小室のソロで「シティーハンター」シリーズに楽曲を提供していた80年代終盤から90年代の楽曲と言っても通じるくらいだ。好きだけれどね。
話自体は前作よりも面白かった。ベタな展開だけれどね。そして、テレビアニメ劇場版外国人ゲストキャラというと、登場人物みんなから呼び捨てにされることが多いが(何しろ、「ドラえもん」ではジャイアンでさえ武さんとさん付けで呼ぶしずかが呼び捨てにするくらいだからね)、本作では、誰でも呼び捨てにする海坊主を除けば原則敬称付けになっていたことには感心した。ポリコレ配慮だろうか。
それにしても、もっこりという台詞でウルウルさせられるとは思わなかった…。
そして、いかにも続編を作る気まんまんな終わり方だった。まぁ、The Final Chapter Beginsというサブタイトルみたいなのが出ていたから、そういう構成でもおかしくないんだけれどね。
そういえば、ルパンが出てきたのは本作のゲストキャラを峰不二子役の沢城みゆきが演じているから、それに対する友情出演みたいな感じか?