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「こむちゃっとカウントダウン」放送終了に思うこと

文化放送のアニソンランキング番組「こむちゃっとカウントダウン」が放送終了となる。

「こむちゃ」として20年半、前身番組「SOMETHING DREAMS マルチメディアカウントダウン」を含めると28年にわたって土曜日の夜(というか、日曜日になる直前)に最新のアニソンヒット曲を届けてきた番組がなくなってしまうというのは残念で仕方ない。

日曜日の夕方に「笑点」とか、「まる子」、「サザエ」あたりを見て、“また、仕事や学校に戻らきゃならないのか…。嫌だな…”と思う、いわゆる“サザエさん症候群”というのがあるが、日曜日の午後もしくは夕方や夜から仕事になることも多かった(現在は月曜日の早朝とちょっとだけ余裕ができた)自分にとっては、このアニソンカウントダウン枠が「サザエ」だったんだよね…。まぁ、ここ何年もリアルタイムで聞くことはほとんどなかったけれどね。

番組終了は予想通りといったところだろうか。

事実上の結婚詐欺と言っていい悪質な不倫騒動を起こした櫻井孝宏の後任MCをいつまで経っても決めなかったこと、そして、その櫻井の歌唱曲がランクインしているとはいえ、年間チャートを順位の読み上げだけで終えてしまったことを考えれば、3月いっぱいで終了するだろうというのは番組リスナーなら誰もが思っていたのでは?

まさか、ドリカンがタイトルとMCを変えて、そんなに内容の変わらないこむちゃになったように、異なるタイトルとMCでアニソンカウントダウン番組を続けたりはしないよね?

櫻井孝宏をなかなかクビにできなかったことが番組の終了をはやめた側面はあると思う。

番組サイドは当初、男女問わずオタクには櫻井擁護の連中が多いから、適当に何週間か休ませておけば、すぐに通常営業できると思っていたのだろう。

だからスキャンダルが報道されたのが秋なのに櫻井の降板は年末まで発表されなかったんだと思う。

そして、櫻井が降板したのにもかかわらず後任を決めず、アシスタント扱いだった白石晴香を正式にメインMCに昇格することもせず、相変わらず、週替わりでゲストを迎えて白石とWで番組進行するというやり方をしているのは印象が良くない。

もしかしたら、櫻井の降板発表時点で3月終了が既定路線だから後任を決めずにダラダラとゲストMC体制を続けていたのかもしれないが。

しかし、少なくとも文春砲が封じられてから櫻井が降板するまでの数ヵ月間に番組側から櫻井をクビにし、新体制を決めるなど、きちんと対処していれば番組はもう少し延命できたのではないかという気もする。

この間に真っ当な感覚を持った局内外の人たちがこむちゃに対して厳しいことを言っていたのに番組側は無視していたんだろうね。オタクが支持してくれると思って。

というか、櫻井問題がなくても、こむちゃの終了は時間の問題だったと思う。

何しろ、声優・アニソン歌手のCDって売れなくなったからね。しかも、ファンにCDを複数枚買わせるアイドル的な商法が根付いているジャンルだからストリーミングではあまりヒットしない。
ヒットしているアニソンは声優・アニソン歌手以外のストリーミングに強い一般的な邦楽アーティストが歌う楽曲ばかりだしね(顔出ししないAdoやボカロ出身の米津玄師も一般邦楽アーティスト扱いとする)。
LiSAやAimerは「鬼滅の刃」効果で一般に認知される大ヒット曲が出ただけで、鬼滅関連でない楽曲の知名度は低いから、全体的に声優・アニソン歌手人気は低迷していると言っていいと思う。

そもそも、女性声優のCD売り上げというのは2010年代に入って下降傾向にあった。売れるのは男性声優作品と、アイドルアニメ関連楽曲を含むキャラソンばかりだった。そして、こむちゃのランキングもそれを反映したものとなっていた。

90年代半ばから2000年代にかけてキング勢を中心にした女性声優やアニソン歌手の一大ムーブメントを通過してきたものにとっては寂しい現象だが、オタクカルチャーが腐女子の経済力で支えられるようになったのは事実なので、これは仕方のないことだった。 
事実、オタクの聖地は秋葉原から腐女子に媚びた池袋に移り、アキバは非常に中途半端な街になってしまったしね。

ところが、コロナ禍に入って事情は変わってしまった。腐女子の経済力が低下してしまったのか、余裕がなくなったのか、男性声優楽曲の勢いが落ちてきてしまったのだ。
こむちゃのランキングにもそれはあらわれていて、10年代は伸び悩んでいた女性声優楽曲が再び上位に入るようになった。決して、00年代のようにオリコンのランキングでの成績が好調なわけでもないのに順位上では復調している(CDセールスが落ちているのは当たり前なので、ここでは最高位の話をしている)。

また、それとあわせてジャニーズやEXILE一族の楽曲も上位に入るようになった。

まぁ、ジャニオタの組織票に関しては、ジャニーズのグループがこれまで以上にアニソン界隈に積極的に参入するようになったことにより、どんなランキングでもジャニーズを上位にしたいジャニオタがこれまで存在に気付いていなかったこむちゃを発見したってところかな。

そんなわけで、腐女子が支持していたタイプの楽曲が苦戦するようになった分、他界隈の票が反映されやすくなったということだ。

これは推測に基づく持論だが、おそらく、腐女子の多くは風俗嬢やキャバ嬢としての仕事でオタ活の軍資金を得ていたのではないだろうか?

しかし、コロナ禍になって風俗やキャバクラの利用者は減ってしまった。当然、風俗嬢やキャバ嬢の収入も減る。
だから、推しの男性声優に貢ぐ金もなくなったし、カタギの仕事を探さなくてはならないからランキング番組などに熱心にリクエストを送る時間もなくなってしまったのでは?
その結果が腐女子系コンテンツ、ひいてはアニソンの低迷につながっているのではないだろうか。

また、最近、アニソン系ライブの現場に行くと、客の年齢層が下がったなというのを感じることが多い。そういう人たちからすると、20年以上放送しているこむちゃというのは、自分たちには関係のないものになっているのではないかという気もする。

だから、こむちゃに関しても、おっさん・おばさんといった老害オタク向け番組というイメージを持たれてしまっているのではないだろうか?

その印象が櫻井のゲス不倫騒動でさらに増長されたという感じかな。

それから、最近のアニオタは声優の恋愛・結婚に寛容的になったと言われている。それはつまり、ガチ恋ファンが減っているということでもある。
となると、こういうランキング番組はそういうガチ恋するような熱心なファンで成り立っている面もあるから、ライト層のアニオタばかりではチャートを成立させるのは難しいよね。

CDシングル扱いの曲しかチャートインできないというシステムも今の若いライトなオタクを遠ざけている気がする。
配信シングルやアルバムのリード曲も対象にすればもう少し、若い層にも感心を持ってもらえたのでは?

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