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アダムス・ファミリー 2 アメリカ横断旅行!

アダムス・ファミリーの公式な映画作品としては本作は4本目となる。

1本目と2本目が1990年代に作られたバリー・ソネンフェルド監督(のちに「メン・イン・ブラック」シリーズを手掛ける)による実写シリーズで、世間一般的、特に日本においては、「アダムス・ファミリー」といえば、この実写シリーズのイメージで捉えている人が多いのではないかと思う。自分もそうだ。

日本では、米国製のホラーやコメディはヒットしにくいと言われる中(この作品を安直にホラー・コメディとジャンルわけしていいのかどうかの議論はさておき)、しかも、過去の映像化作品の知名度が低い中、海外の成績に比べれば物足りないものの、そこそこの成績をあげることができたのだから、尚更、アダムス・ファミリー=この2本という認識の日本人は多いと思う。

ちなみに、自分がこの2本を見ようと思った最大の理由は音楽だ。
1991年の1作目はM.C.ハマー改めハマーによる主題歌“Addams Groove”が全米トップ10ヒットとなった(ハマーにとって、M.C.ハマー時代含めて5曲目のトップ10ヒットで、現時点では最後のトップ10入りした楽曲だ)。
1993年の2作目は、タッグ・チームの大ヒット曲“Whoop!”のリミックス的作品“Addams Family (Whoomp!)”が話題となった。

ただ、サントラに対する興味で見たこともあり、映画自体に関しては可もなく不可もなくという印象しか持てなかった。つまり、面白いとは思うけれど、ちょっと退屈なところもあるということだ。

そんなアダムス・ファミリーがCGアニメーションとして再び映画化されたのは2019年のことだ。これが3本目のアダムス・ファミリー映画となった。

米国では好成績をあげたものの日本では米国での公開から約1年後の2020年秋まで公開されなかったのは、2本の実写映画からは時間が経ちすぎていてアダムス・ファミリーの知名度が低くなっているということや、ディズニー・ピクサー、イルミネーション以外のCGアニメーションは日本ではなかなか当たらないということも影響していたのだとは思う。

そんな中、そのCGアニメーション映画版アダムス・ファミリーの続編である本作は米国での公開からわずか3ヵ月というスピードで日本公開されることになった。

となると、ソフトや配信で人気を集めたので、今回は米国での公開からそれほど間をあけずに日本公開されることになったのかと思ってしまうが、決してそうでもなさそうだ。
何しろ上映回数が少ない。特に字幕版なんて、朝早い時間帯か、逆に夜遅い時間帯の上映ばかりで、日中に上映している劇場がなかなかない。
そんな中、やっと、正午過ぎから上映する回に足を運ぶ機会を得ることができた。多分、これを逃したら、そのまま、見ることがないまま、劇場公開が終わっていたなんてことになったのではないだろうか。

本作を見た感想は、アニメーション版前作および過去の実写版2作と同じで、面白いシーンはいくつもあるのに、作品全体としては非常に退屈に感じるというものだった。

編集の仕方が悪いのかな?編集の際に個々のカット、シーンしか見ていないから、カットとカット、シーンとシーンのつながりやテンポが悪くなってしまうんだろうね。
まぁ、元々、アダムス・ファミリーというのは一コマ漫画だから、そのカット、シーンだけ面白ければいいという考えなのは仕方ないんだけれどね。

そして、テーマがブレブレな内容になっていたのもCGアニメーション版前作と同じだった。

マイノリティ差別をするなというテーマがアダムス・ファミリーというコンテンツの最重要案件のはずなのに、個性的な発明をしようとしている者に対して、“English, Please!”と呼び掛ける人物がいたのは明らかに外国人差別だよね。
字幕ではぼやかして訳していたけれど、これって直訳すれば、“英語で話してください!”だからね。つまり、誰もが聞き取れる英語を話せない人間は米国から出ていけって言っているようなものだしね。

それから、アダムス家の長女ウェンズデーが発明コンテストに参加したが、彼女は単独優勝できずに、参加者全員優勝となったことに不満を述べていた。しかし、全員優勝というのは本来なら非常に左翼的な発想なはずだから、マイノリティ差別をするなというメッセージなら、この結果に不満を述べてはいけないはずなんだよね。

どこかで聞いたフレーズかもしれないが、全員優勝というのは、みんな個性があるんだから、優劣なんてつけられない。ナンバー・ワンではなく、オンリー・ワンを目指そうということなんだからね。

日本のゆとり教育で広められた全員一等賞、全員主役の考えとか、日本アカデミー賞や日本レコード大賞みたいに候補作品・候補者をノミネートと呼ばず、(最優秀・大賞争いをする)優秀賞受賞者・受賞作品と呼ぶ慣習なんかも、ベースはこれと同じ思想だと思うし。

ただ、音楽ネタは前作同様面白かったと思う。
相変わらず何を言っているかわからないイット役をスヌープ・ドッグが演じているが、スマホの着信音が彼の大ヒット曲“ドロップ・イット・ライク・イッツ・ホット”だし、毛むくじゃらの顔の中にマイクを突っ込むと、きちんとスヌープの声でラップしているのが聞こえるのも面白かった。

それから、執事のラーチがピアノの弾き語りで“恋のサバイバル”を歌うシーンは本作随一の名シーンだと思う。

あと、祖母役をベット・ミドラーが演じているのもすごいけれど、その祖母がアダムス家で勝手にフェスを開催した際に、客に“トーキング・ヘッズが登場”と言って、歌う生首グループが出てきたのには爆笑してしまった。確かにトーキング・ヘッズだ。

そのほか、ハウス・オブ・ペイント“ジャンプ・アラウンド”の使い方も良かったと思う。これって、もう30年も前の曲なんだよね。

ところで、アダムス・ファミリーのおなじみのテーマ曲、今回はクリスティーナ・アギレラが歌っていたのか…。それが一番の驚きだ!

≪追記≫水曜日生まれは不幸という伝承?がウェンズデーの名前の由来らしいが、よく考えたら自分も水曜日生まれだった。そりゃ、不運だらけの人生なわけだ。

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