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五輪開会式とゲーム音楽

自分は限りなく下層に近い家庭の生まれだから、子どもの頃にテレビゲームなんて買ってもらえなかった。だから、ゲーム文化にはあまりなじみがない。大人になって自分でゲームを買えるだけの財力を手にしてからも、ゲームを買うことはなかった。それは時間がないからだ。

映画なら、別バージョンがある作品もあるといえ、基本はオープニングからエンディングに至るまでの道程は1つしかない。でも、ゲームは無数のルートがある。映画ファン的感覚だと、どうしても、作中に登場する台詞やシーンは全て見たいと思ってしまうから、全ルートを見てみたいと思ってしまう。でも、そんな時間はない。だから、ゲームの世界に足を踏み入れるのはやめようと思ってしまったのだ。

そんなテレビゲームに興味がない自分でも、今回の東京五輪開会式の入場行進のBGMがゲーム音楽となったことについては、消去法的考えではあるけれど、超妥当だと思った。

国際的に活躍している日本人アーティストにはジャズやクラシック、ニューエイジなどのインスト系が多く入場行進には向いていない。

Jojiは全米アルバムチャート上位に入るほどの人気アーティストだが日本的な音楽性ではない。

TWICEなど世界的人気を誇るK-POPグループに所属している日本人メンバーもいるが、やっているのはあくまで韓国のポピュラー音楽だ。

ベビメタやPerfumeは振り付け担当が開会式の演出から追い出されてしまったので起用しにくい。

ピコ太郎1人で200以上の国や地域が入場する間をもたせるのは無理がある。

日本映画のサントラは世界的にはほとんど知名度がない。

日本のアニメは海外で人気といっても、ニッチな人気だし、海外での放送ではテーマ曲がさしかわっている場合も多い。

アイドルだと喜ぶのはアジアだけで、ジャニーズにしろ秋元系にしろ欧米から見たら幼稚に思われてしまうし、少年少女の性的搾取と批判される可能性もある。

かといって、雅楽とか和太鼓で入場行進させたのでは勘違いしたハリウッド映画のアジアの描写になってしまう。

そういう諸々を考えれば、ゲーム音楽というのは妥当な選択なのかもしれないと思う。

そして思った。相変わらず日本のスポーツ中継のセレモニーなどの実況って酷いなと。

入場行進が始まってしばらくするまで、実況アナウンサーは、BGMがゲーム音楽であることに全然ふれなかったからね。しかも、ふれてからもゲームのタイトルや楽曲名、作曲家名には一切ふれなかった。

これって、根底にあるのは、ロンドン五輪の時、世界的人気アーティストがパフォーマンスしている最中に延々と実況を続けて音楽ファンに酷評されたことと同じだと思う。

日本のスポーツ関係者って、選手にしろ、競技団体関係者にしろ、メディアにしろ、スポーツにしか興味がない連中が多いんだよね。というか、関係者に限らず、一般の視聴者もそう。

スポーツに音楽や映画、政治などの要素が入ることを極端に嫌うのが多い。中にはスーパーボウルにハーフタイムショーはいらないなんて意味不明なことを言うのもいるしね。

だから、スポーツ中継の際にスポーツでない要素が映っていると、何かスポーツに関係ある話をしないといけないという概念にとらわれてしまい、アーティストがパフォーマンス中でも延々と話し続けるし、そのパフォーマンスしているアーティストや流れている楽曲について語ることはスポーツファンに失礼だみたいに勘違いしてしまうんだろうね。

この道一筋みたいな感じで、自分がやっている競技以外の知識がいない選手が日本に多いのも、これと同じ思想なんだろうね。


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