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唐人街探偵 NEW YORK MISSION

映画のシリーズもので全作品が日本で劇場公開されていないという作品は結構ある。

ホラー映画史に残る作品である「エルム街の悪夢」シリーズだって、「13日の金曜日」シリーズとのクロスオーバー作品と、リブート版を除いたシリーズ全7作の最終作品が日本では劇場未公開だ。

これまた、ホラー映画史に残るシリーズとなった(ホラーというよりかは、パロディ映画と呼んだ方がいいのかもしれないが)「最初絶叫計画」シリーズは4作目以降は劇場公開されていない(もっとも5作目は米国でも一般劇場公開はされていない)。
香港映画「福星」シリーズはジャッキー・チェンが出演している3作目まで(「五福星」、「香港発活劇エクスプレス 大福星」、「七福星」)は日本で劇場公開されたが、ジャッキーが出なくなった4作目以降は公開されていない。

このように、シリーズ途中から日本で公開されなくなるというパターンが多い。こうしたケースというのはほとんどの場合が日本での興行成績がふるわないとか、日本で知名度のある主要キャスト、スタッフの降板というのが公開を見送られた理由となっている。

その一方で、途中で日本劇場公開されなくなったのに、再び公開されるようになったシリーズもある。

香港のアクション・コメディ映画「悪漢探偵」シリーズは1作目は劇場公開されたが日本ではヒットしなかったことから、2作目は劇場公開されなかった。
しかし、3作目は日本の配給会社がかわり、「皇帝密使」というタイトルでシリーズものであることを隠して公開された。
さらに、これもヒットしなかったことから、4作目もまた配給会社がかわり、シリーズものであることを隠した「スペクターX」として公開された。
そして、これもヒットしなかったことから5作目は日本では劇場公開されなかった。

同じ香港作品であれば「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズは、シリーズものであることを隠すことはしていないものの、日本公開されていないエピソードもあるし、日本公開された作品だって本国(正確には香港は国ではないが)とは公開順が異なっていたりもする。

ドリームワークスのアニメーション映画シリーズ「ヒックとドラゴン」の場合は、日本での興行成績云々以前にドリームワークスのアニメーション作品の日本での配給会社の方針によるものが大きい。
2010年の1作目公開当時は、ドリームワークスのアニメーション作品の配給権はパラマウントが持っていて、日本でもパラマウントが配給して公開された。海外での成績に比べればかなり物足りない数字ではあったものの、少ない上映回数ながらロングラン上映され、日本でもそれなりの支持を集めることができた。

ところが、配給権が20世紀フォックスに移ると日本ではドリームワークスのアニメーション映画は公開されなくなってしまった。
唯一、「マダガスカル」シリーズのスピンオフ「ペンギンズ FROM マダガスカル ザ・ムービー」が日本でのソフト発売に合わせて吹替版のみがイベント上映的に公開されただけだ。
日本でもヒットした「カンフー・パンダ」シリーズの続編や、アカデミー賞にノミネートされた作品ですら日本公開されなかった。
なので、この期間に発表された2014年の「ヒックとドラゴン2」は日本では映画祭で上映されたのみで終わってしまった。

フォックスは2010年代に入りドリームワークス作品だけでなく、自社のアニメーションスタジオであるブルースカイの作品すらまともに日本公開しなくなってしまった(一部作品が限定的に吹替版のみで上映されたケースはある)。
きちんと公開されたと言っていいのは日本で人気の高いスヌーピー(ピーナッツ)シリーズの久々の劇場版「I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE」だけだ。フォックスは海外アニメーションは金にならないと見て日本公開をしないことを原則としていた。

その後、ドリームワークスのアニメーションの配給権がユニバーサルに移ると事態は好転するようになった。ユニバーサル本体の作品の日本配給を担当している東宝東和を通じて日本でもドリームワークスのアニメーション作品が日本公開されるようになったのだ。
パラマウント時代や、その前のアスミック・角川時代に比べれば、まだ、日本で公開が見送られる作品は目立つものの、ほぼ無視状態だったフォックス時代に比べれば上出来と言っていいのではないだろうか。
とはいえ、東宝東和がドリームワークスのアニメーションに関してはギャガと共同配給という形を取ることにしたのは、ユニバーサルのアニメーションスタジオ、イルミネーションの作品ほど日本人には親しまれていないという不安もあるし、東宝東和としては“自社案件”であるイルミネーション作品のプロモーションを優先したいって思いもあるんだろうなという気はする。
でも、そのおかげで2019年の3作目「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」は無事、日本公開された。
邦題に“3”をつけなかったのは2作目が日本で一般公開されなかったことに対する配慮なんだろうとは思う。

このほか、1作目は劇場されなかったのに、2作目は公開された「トロールズ」シリーズもドリームワークスのアニメーション作品の配給担当会社の変更によるものだ。

そして、本題である「唐人街探偵」シリーズもイレギュラーな日本公開のされ方をしているシリーズだ。

1作目と2作目が映画祭での上映のみだったのに、3作目「東京MISSION」が日本でも一般公開されたのは日本ロケが行われた上に長澤まさみら日本人キャストが大量に出演しているからであることが理由であることは間違いない。
2作目「NEW YORK MISSION」(本作)にも妻夫木聡という日本人キャストが出ているのだが(3作目にも登場)、一般公開は当時見送られていたということは、ブッキーだけでは話題にならないって思っていたってことなのかな?まぁ、出番も少ないしね。

それでも、こうして、その2作目が3作目より後ではあるものの、日本公開されることになったのは、「東京MISSION」で本シリーズが注目され、しかも、日本人キャストが登場するからってことなんだろうとは思う。
とはいえ、前作より公開規模が縮小しているのは、旧作な上に「東京」が思ったほどヒットしなかったってのもあるのかな。

でも、日本の映画ファンにこのシリーズの存在は認知されたと思うので4作目は日本でもミニシアター公開かもしれないが劇場公開はしてくれそうな気はするな。ブッキーはレギュラー化するのかな?ついでに1作目も一般公開してほしいとは思うかな。

本作はニューヨークが舞台ということで冒頭でテイラー・スウィフトの“Welcome To New York”が使われていたが、イルミネーションのCGアニメーション「ペット」と同じだなと思った。
まぁ、本作ではオープニングだけでなく、その後も何度か、この曲がかかるんだけれどね。
というか、下ネタだらけだし、ゲイに対するステレオタイプ描写もあるし、黒人がアジア人を見下していることを皮肉ったような場面もある。
そうした、ポリコレ的にはどうなのよって感じる要素が多い作品というのはテイラーのポリシーには合わないと思うんだけれど、もしかすると、テイラーはこの映画に使われていることを知らないのかな?知っていたら激怒しそうな気もするのだが…。

ところで、本作は中国映画なのにエンド・クレジットに米映画協会(現在の正式名称には米が含まれない)のロゴが表示されていたのは何故?
米国資本が入っているの?中米合作ってこと?

作品自体はツッコミどころ満載、ご都合主義だらけ、脚本のアラも多いし、矛盾点も目立つ。でも、このシリーズがそういうものだというのは、先に見ていた「東京MISSION」で分かっていたので、そんなに気にはならなかった。

それから、「東京」を見た時に感じていた疑問も本作を見てなんとなく解決された。というか、ブッキーの役って日中ハーフだったのか。

とりあえず、KIKOは可愛い!
あと、主人公(若い方)の女装姿も可愛いと思う。

《追記》
トランプ前大統領の出来損ないみたいなNYPDの上司が出てきたが(しかも、部屋にはトランプ本人の写真も飾ってある)、アレって、本作が中国で公開された時の米国の大統領だったトランプのオッサンをおちょくっているってことなのかな?トランプ政権は中国に対して批判することが多かったしね。その反撃か?

《追記その2》
オリジナルのエンド・クレジットが終わった後に日本版エンディングテーマみたいなのが流れたが、あれって必要か?
吹替版ならともかく、字幕版なんだからいらないでしょ!

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