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百花

映画館に行ったのは20日ふりだ!
緊急事態宣言などが発令されて映画館が休業したわけでも、体調不良だったわけでも、家庭の事情が発生したわけでもないのに、こんなにご無沙汰になってしまったとは…。
 
先々週の週末は@JAM EXPOの全日程(金土日の3日間)に参戦してしまったし、先週は土曜日は単日開催のアイドルフェス「IDOL CONNECT」に、日曜日はTM NETWORKのツアーに参戦してしまった。

しかも、この数週間は仕事も忙しく、複数の案件を同時進行で進めていたので、金曜日の通常業務終了後や土曜日にも作業することがあった。

そこへ来て、この間に最終回を迎えた連ドラが3本もあったので、それもチェックしていた。

なので、映画館になかなか足を運ぶことができなかった。この間に不入りで打ち切りになってしまった作品もあるし、見るのを断念した作品も多数ある。

そんなわけでやっと見ることができたのが本日公開の新作「百花」だ。
本来ならこの3週間に公開された作品を見るべきなのだが、不入りのせいか、上映回数が減ったり、「ソニック」字幕版のように都内での上映館がなくなってしまったような作品まである。

また、睡眠不足が解消されていないので上映時間の短い作品を見たいという気持ちもあった。
一昨日から昨日にかけてはかなり面倒くさい作業をしていたので睡眠不足や疲れがたまっていて、昨夜は仕事関係の電話がかかってきていたことも気付かないほど熟睡していた。今朝だって、アラームが鳴るまで目が覚めなかった。
にもかかわらず、今朝目覚めても、一昨日から昨日にかけての睡眠不足や疲れは解消されていない。それに、面倒くさい作業は一旦区切りがついたと言っても、抱えている案件が全て片付いたわけではない。

なので、気軽に見られる上映時間(KINENOTEによると1時間44分)の本作を見ることにした。

本作は東宝の社員でありながら、映像制作会社STORY inc.の代表を務め、東宝以外の映画会社が配給する作品も手掛けているプロデューサーで、小説や脚本の執筆も行っている川村元気が初めて監督を務めた作品だ。

しかも、川村作品には実写だけではなくアニメもあるし、実写作品だって、本作や「怒り」、「ラストレター」のようなアート性の強い作品もある。
プロアマ問わず、映像制作や執筆の活動を行ったことがある者なら、嫉妬せずにはいられないキャリアだ。

そして、彼の関わってきた作品は「デトロイト・メタル・シティ」や「モテキ」など一部作品を除けば、リア充やエリートが喜ぶような題材ばかり。映画マニアやシネフィルで川村元気企画・プロデュース作品が好きなんて喜んで語る人はほとんどいないと思う。
「悪人」や「怒り」は李相日、「ラストレター」は岩井俊二、「君の名は。」や「天気の子」は新海誠の監督作品だから評価しているのであって、川村元気のプロデュース能力を評価しているわけではないという人がほとんどだと思う。

まぁ、人を巻き込むのが、人を使うのがうまいから、これだけ充実したフィルモグラフィーになっているのだとは思うので、その辺は評価すべきだとは思うが、いかんせん、好き勝手できていることに対するヤッカミのような感情は多少でも映像制作に関わったことがある人間なら抱いてしまうよねとは思ったかな。

そんなわけで不安を抱えながら本編を鑑賞することとなった。

やっぱり、ダメダメ映画だった。

まず、冒頭から3分の1までのホラー的な描写は明らかにアカデミー作品賞にノミネートされた傑作「ファーザー」のパクリだよね?

本作の原作自体は2019年に発表されているから、2020年度作品「ファーザー」のストーリーをパクっているということはないと思う。
男女が逆転しているが、認知症を患う親と世話をする子どもの複雑な関係を描くというストーリーの根幹が似たのはたまたまだと思う。

でも、冒頭の違和感を抱かせるようなホラー的演出は明らかに「ファーザー」のパクリだと思う。

というか、無駄遣いと言っていいほど、どうでもいい役を長澤まさみが演じているのは、彼女が「MOTHER/マザー」の演技で評価されたからでは?
「マザー」の女優を「ファーザー」風のホラー演出の映画に起用したら、シネフィルが騒ぐよねみたいなノリで起用していないか?

まぁ、認知症になった母親を演じた原田美枝子は、「ファーザー」で認知症の父親を演じアカデミー主演男優賞を受賞したアンソニー・ホプキンスのように、国内の賞レースを賑わせることになるとは思う。認知症が進み可愛らしい仕草を見せたかと思えば、廃人のような表情を見せたりするところもそうだし、メイクの力は借りてはいるのだろうが四半世紀ほど前と思われるシーンでも自らその役を演じ、しかも、下着姿も披露しているのだから、まぁ、賞レース受けはいいだろうとは思う。

でも、朝ドラ「ちむどんどん」が酷い出来だから、彼女が同作で演じているイタリア料理店オーナーの演技も大根にしか思えないんだよね…。本作では別に声の出し方を変えているわけではないから、聞こえる声は「ちむどんどん」と同じなので、どうしても大根演技に見えてしまうんだよね…。

それから、唐突に母親の過去の回想シーンが長々と挿入されるが、そのシークエンスの冒頭で“阪神線の線路がどうの”という会話がされた時点で、阪神大震災を描く気なんだというのがバレバレで興醒めしてしまった。
しかも、発生直後の瓦礫の山となった町の中を彼女が歩くシーンで彼女以外の人間が誰もいないっておかしいだろ!瓦礫のセットを作るのが精一杯で(CGかも知れないが)、エキストラには金が回らなかったのかな?こういうのが日本映画のダメなところなんだよね。

とはいえ、さんざん、母親が見たいと何回も繰り返していた“半分の花火”の謎が明らかにされるシーンはちょっと感動した。
空高く打ち上げないため花輪状に広がらない花火のことを言っているのかと思ったら、建物に隠れて半分しか楽しめない住宅街から見える花火のことだとはね…。

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ところで、主人公(というか母親の方が出番が多いようにも感じたが)と、ほとんど出番のない長澤まさみ演じるその妻がレコード会社勤務という設定はいらないよね?

まぁ、母親がピアノ講師で子どもの頃にピアノを習っていたから、その時は嫌々だったのに、気付いたら音楽が体に染み付く状態になっていて、そのまま、音楽を仕事にするようになったということなんだろうけれど、音楽マニアとか、音楽を仕事にしている人以外にはそんなの理解できないから、尺に限りのある映画では、その設定はいらなかったと思う。

自分はよく分かるけれどね。幼稚園の時、嫌々ながら、園内で開講されていたピアノ教室に通わされていたからね。他に男児で通っているのはいなかったから、本当、その教室は嫌で嫌で仕方なかった。牛歩戦術でゆったりとその教室が開かれている部屋まで移動した記憶があるくらいだからね。

でも、この経験がその後、活かされてしまったんだよね。一度聞いた曲をすぐに認識できるようになったのは、ピアノを習ったおかげだしね。しかも、収入の5分の1くらいを音楽ソフトを買ったり、ライブに行ったりすることに費やすほどの重度の音楽マニアになってしまったからね…。

それにしても、主人公が勤めるレコード会社が送り出したAIアーティストの楽曲、作中でも言及されていたけれど、本当、凡作だよね。それを主題歌にするって、お茶目なジョークのつもりなのかな?

ところで、本作を新宿バルト9で鑑賞したが、カップホルダーにポップコーンの食べかすみたいなものがたまっていたぞ!
掃除していないだろ!それで、感染症対策のお知らせ画面とか出しているんだから呆れてしまう…。
まぁ、清掃や消毒に人を回せるほど人手がないんだろうね。


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