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ベン・アフレック監督作品は今回も当たり!「AIR/エア」
ベン・アフレックは過小評価されている映画人の1人だと思う。
おそらく、その背景には2000年代前半のジェニファー・ロペスとの恋愛スキャンダルでイメージが悪化したことがあるのだと思う。
そのJ.ローとの共演作「ジーリ(日本では劇場未公開)」がラジー賞のワースト作品賞を受賞したほか、同時期の主演作「デアデビル」が賛否両論だったことも俳優としての評価を下げてしまったのではないかと思う。
個人的には「デアデビル」はエヴァネッセンスの“Bring Me To Life”などサントラ面は最高だったと思うが…。
また、「アルマゲドン」や「パール・ハーバー」とマイケル・ベイ監督、ジェリー・ブラッカイマー製作の大味な大作映画に続けて出演したことも評価に値しない俳優のイメージを増幅させてしまったのではないだろうか。
親友のマット・デイモンも「オーシャンズ」シリーズや「ボーン」シリーズといった大ヒット作に出ているが、前者はシネフィル受けのいいジョージ・クルーニーやスティーブン・ソダーバーグ監督と組んだ作品だし、後者はアクション映画の流れを変えたスタイリッシュでリアリズム溢れる作品と評価されているのでシネフィルの攻撃対象にはならないのだと思う。
とはいえ、俳優としてのベン・アフレックが過小評価されるのは仕方ないのかなと思う面はある。マット・デイモンと一緒に脚本を書き一緒に出演した「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」では、2人揃ってアカデミー脚本賞を受賞したが、演技部門でノミネートされたのはマットだけだったからね…。
多分、マットに比べるとルックスが整いすぎるというのも評価が厳しくなる要因なんだと思う。
でも、映画製作(制作)者としてのベン・アフレックまで過小評価すべきでないと思う。
最初の監督作品「ゴーン・ベイビー・ゴーン」が日本で劇場公開されなかったのはラジー賞のイメージが強かったからなんだと思う。
でも、それ以降の監督作品4本は配給会社がワーナーになったということもあってか、超拡大公開ではないもののきちんと日本でも劇場公開されるようになっているので、日本でもシネフィルと呼ばれる人種にベン・アフレック監督という存在が評価されるようになっているんだとは思う。
とはいえ、「アルゴ」はアカデミー作品賞を受賞し、ベンもプロデューサーとして同賞を受賞したけれど、監督賞にはノミネートされていないところを見るとやっぱり、世界的に過小評価されているのかな…。
アカデミー作品賞を手掛けた俳優出身の監督としては、「普通の人々」のロバート・レッドフォード、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」のケビン・コスナー、「許されざる者」のクリント・イーストウッド、「ビューティフル・マインド」のロン・ハワードなどかいる。
このうち、レッドフォードは評価の高い作品は自分が俳優として出ていないものばかりだし、ケビン・コスナーは監督としてラジー賞も受賞している。また、ロン・ハワードは完全に監督業が本業になっていて俳優業はほとんどやっていない。
そう考えると出演作品は減ったとはいえ、今でも俳優としての活動をしているクリント・イーストウッドが最もベンにタイプの近い俳優監督となるのだろうか。ベンも多くの監督作品に自ら俳優として出演しているし、ワーナーで作っているという共通点もあるしね。
ただ、イーストウッドは2000年以降だけで18本もの監督作品を発表している(ドキュメンタリーを除く、うち俳優としての出演作は6本)のに対して、ベンは2007年の監督デビュー以降、本作がまだ5作目と少ないので、まだ俳優監督という若干見下したような肩書きは消えないかなと思う。
本作「AIR/エア」はベン・アフレック監督作品では初めて親友マット・デイモンが主演を務めた作品だ。しかも、2人揃ってプロデューサーとして名を連ねている。
これまでに「グッド・ウィル・ハンティング」や「最後の決闘裁判」など2人が共同で裏方仕事もやり、尚且つ、俳優としても共演した作品には良作が多く、しかも、これまでのベン監督作品は良作だらけということもあり嫌でも期待が高まってしまった。
結論を先に言うと、今回もベン・アフレック監督作品は面白かったといったところかな。
ネット民には経済ニュース好きが多いけれど、そういう人たちがこの映画を見たら思いっきり楽しめるのではないかと思う。
というか、エアジョーダンって突貫工事で作られたのか…。月曜日のミーティングに間に合わせるために、土日の休日出勤で作ったってことでしょ…。ビックリだ…。
それから、80年代の映画をリバイバル上映で見た時みたいな古い感じの画質にわざとしているのが面白かった。そのおかげで80年代っぽい雰囲気はかなり出ていたと思う。
そして、ワーナー映画といえば最後にもう一度ワーナーのロゴが出てくるのが定番だが本作はそうではなかった。しめはアマゾンのロゴだった。本作におけるワーナーは単なる配給担当で、アマゾン主体で作られたってことなのかな?
それから、本作は80年代洋楽世代にとってもたまらないものになっていると思う。80年代の名曲やヒット曲が次々と流れるしね。
多くの人がブルース・スプリングスティーンの“ボーン・イン・ザ・U.S.A..”の歌詞の内容を勘違いしているという台詞があったのに、曲を流さないんだと思ったが、実話映画化作品でよくある登場人物のその後を紹介するエンディングできちんと流れていたので一安心した。
ただ、1984年の話なのに85年のダイアー・ストレイツ“Money For Nothing”とか、86年のRUN D.M.C.“My Adidas”、マイク・アンド・ザ・メカニックス“All I Need Is A Miracle”を使うのはどうなんだろうかとは思った。
使われているシーンや作品のテーマと歌詞の内容は合ってはいるんだけれど、オープニングなど至るところに84年にヒットした映画などの当時の風俗の描写を入れていただけに使う楽曲に関してももっとこだわって欲しかったかな…。
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