カノジョも彼女
原作コミックの単行本、これまでに出ている全巻を持っているのに、全てビニールをかぶったままで全く読んでいない。そんな作品がアニメ化されてしまい、とりあえずアニメの方で内容を把握し、そのまま原作を読まずに、気がついたらブックオフに売り払っているなんてことが多いが、本作もそんなパターンになりそうな作品だ。
それはさておき、本作もそうだが、個人的には、コミックやアニメ、ラノベなどオタク向け作品でおなじみのパッとしない男が色んなタイプの女性・女子から好意を寄せられるハーレムものというジャンルはもう限界だろうと思っている。
確かに、女性の権利や男尊女卑の撤廃を主張する、いわゆるフェミと呼ばれる人たちが、萌え系のコミックやアニメなどのミニスカートや巨乳の描写を批判しておきながら、男性アイドルやイケメン俳優のセクシーなグラビアやananのセックス特集を絶賛しているのはダブルスタンダードの極みでしかない。
それは単にイケメンでない者が多いオタクは気持ちが悪い。だからオタクが好きな萌え系の作品も気持ち悪いと言っているだけにしか見えない。
とはいえ、日本のフェミ相手ならその理論は通じるが、世界的視点で考えれば、日本のフェミの主張の矛盾に関係なく、こうした萌えコンテンツが女性・女子の性的搾取として批判される世の中になっているのは事実でもある。海外の映画賞・映画祭で女性監督作品を評価しないとポリコレ的視点を持ち合わせていない前近代的な老害オッサンどもが運営している映画賞・映画祭と思われるようになっているしね。
だから、ここ20年間のハーレムもののほぼ全ての作品に影響を与えたとも言える「ラブひな」の作者・赤松健が自民党の犬みたいなウヨった活動に熱心になっているんだと思う。そうしたロビー活動を通じて、自分たちは保守勢力の味方だとアピールすることで、何とか、コミックやアニメに対して規制されないように策略しているんだろうと思う。保守勢力なんて基本、体育会系脳だから、作品の思想に関係なくコミックやアニメなんて軟弱なものと思っているので、ちょっとした外圧でもあれば平気で規制してしまうから、こういうアピールに必死なんだろうね。
とはいえ、ハーレムものというものはプラスアルファの要素がないと、なかなか生き残れない時代になったのも事実だと思う。
「彼女、お借りします」では、主人公に好意を寄せるのは、レンタル彼女という風俗や水商売の一歩手前の存在の女性が多いが、それは格差社会の拡大によって、金持ちでもイケメンでもない平凡な男はデートする相手とも巡りあえなくなったし、女性も風俗や水商売とまではいかなくても、それに近い仕事をしないと生活できない人が増えているという社会情勢を反映しているのだと思う。
また、「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」では友人が自殺に至るいじめを受けたり、自身も親から虐待を受けたりという辛い過去を背負ったメインヒロインが家出して、援交のようなことをするようになった背景が描写されているが、これも、社会的な要素が加味されているのだと思う。
でも、本作「カノジョも彼女」に関しては、全くもってそうした社会的メッセージはないと思う。主要登場人物は皆、裕福そうだし、知能はともかく、男女問わず、ルックスは良いしね。
しかし、単なるハーレムものとして敬遠されないような工夫はされている。
それは、主人公をバカ正直な奴にしたことだ。これは原作者ヒロユキの連載作品としては前作にあたる「アホガール」のバカな(こっちは本当に学力がどうしようもないほど低い)主人公の延長線上にあるのだとは思うが。
ニ股している(まぁ、性行為はしていないからそこまで厳密には二股ではないが)ゲスな主人公に対しては、フェミでなくても叩きたくなるとは思うが、本作ではさらに、主人公が恋愛感情を抱いていないものの、一方的にアタックしてくる女子を入れると三股になってしまうから、フェミ的な人に叩かれる要素は多分にあると思う。
ところで、三股といえば、TOKIO HOT 100でクリス・ペプラーがゴシップ・コーナーで“みまた!”と言っているので、“みまた”という読み方が一般的だと思うようになっていたが、本作のように“さんまた”って読むのが普通なのかな?そういえば、最初、TOKIOで“みまた”って聞いた時は違和感あったなってのを思い出した。
話は戻るが、三股に加えて、主人公に思いを告げてはいないものの片思いしている女子もいる。彼女をカウントすると、四股になるから、そりゃ、フェミは発狂しそうだよね。
それが、そこまで叩かれる案件になっていないのは、ハーレムを形成する面々が同じ年齢だからってのはあるのかもね。
社会性があるのに、「ひげひろ」が叩かれたのは、メインヒロインが女子高生で主人公が年上の社会人、つまり、男はロリコンだからという要素が強いと思うしね。
他のハーレムものって、主人公に好意を寄せる女性の年齢ってバラバラのことが多いし、年下メンバーも目立つが、本作は主人公と四股メンバー全員が同学年だし、そのうち1人以外は同じクラスだから、キラキラ映画(少女漫画原作実写映画)みたいに見えなくもないので、うまく批判をかわせたってのもあるような気もする。
とはいえ、本作にフェミの批判が介入する余地がないかというと、そうでもないんだよね。
最近、深夜アニメでは女性キャラクターが着ている服の胸の部分だけ色が濃くなっているとか、下着と重なっている部分だけ色が濃くなっているという描写がやたらと目立ち、そういう描写にフェミ的な人が噛みつくことがあるけれど、本作でもそういう描写が多いんだよね。
というか、今期放送の深夜アニメでいえば、「白い砂のアクアトープ」もそう。「ルパン三世」みたいな元々、性的・暴力的な要素が強く、大人の登場人物が多い作品でそういうことをやっていたとしても気にならないけれど、10代から20代前半くらいの女子でやられると、やっぱり、気持ち悪く感じるのは事実だよね。ぶっちゃけ、風俗嬢みたいに見えてくるしね。
こういう気持ち悪い描写が、いつの間にか増えてきたよね…。
そういえば、2期作る気マンマンではあるものの、とりあえず、これで終わっても問題はないという終わり方をした“1期”最終回を見ると、制作者側も視聴者側も正妻(メインヒロイン)のサキサキよりも、“第二夫人”ポジションの渚の方に感情移入しているってのがよく分かるよね。
最終回なのに、メインヒロインの出番は少なく、ずっと、渚が出ずっぱりだったしね。
「かのかり」でいえば墨に近い性格だけれど、墨が主人公のスピンオフ漫画が作られるくらいだから、そういう渚とか墨みたいなタイプの娘がオタクは好きなんだよね。自分もそうだが。
そして、その墨の声を担当していた高橋李依が本作では似たような性格の渚ではなく、優等生っぽいイメージでありながら、実は主人公に片想いしている“4番目の女”紫乃を演じているのは、ちょっと意外なキャスティングだなと思った。
《追記》
もちょがED曲“ピンキーフック”を担当するということが発表された時、てっきり、もちょも声優として参加するのかと思ったけれど、楽曲担当のみだったというのはちょっと驚いた。
同じ枠で放送された、同じマガジン連載コミックのアニメ化作品で、同じハーレムものである「かのかり」では、メインヒロインを雨宮天が演じていたから、TrySailつながりで本作ではもちょが出てくるのかと思ったが、歌のみだったのか…。
それにしても、この“ピンキーフック”って曲、めちゃくちゃ良曲だぞ!もしかしたら、もちょ楽曲で一番一般受けする曲かもしれないと思ったほどだ。
深夜アニメ、しかも、ハーレムもののテーマ曲だから、アニオタ・声優好き以外にはほとんど知られていないけれど、これが実写の深夜ドラマの主題歌とかだったら、もっと、一般の間でもヒットできたんじゃないかな。
それはさておき、この曲のMVでもちょは、SWEET, SHY, MYSTERIOUS, VIVIDと4タイプの女子・女性を演じわけているけれど、個人的にはVIVIDがめちゃくちゃタイプなんだよね。次はMYSTERIOUSかな。服装とかメイクが好き。
世のオタクの間では多分、SHYが一番人気で、次がSWEETだと思うが…。
まぁ、どのタイプのもちょも可愛いんだけれどね。TrySailの最新アルバムのリード曲“Re Bon Voyage”のMVなんて、ほとんどTシャツみたいな格好だけれど、あれもかなり可愛いしね。