春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46
コロナ前から展覧会にやって来る“客層”は変わりつつあった。
本来、美術館・博物館における展示作品の鑑賞方法というのは自由なものだ。
たとえば、展示作品が100点あったとしたら、そのうちの99作品は素通りで眺めるだけで済まし、残りの1作品のみを長々と隅から隅までじっくり研究するという鑑賞の仕方をしたって問題ない。
また、展示作品が100点ある場合、一般的には入口に近い方に展示されている作品を1番とし、以下、進路に従って番号がふられていくことが多いし、展示スペースごとにテーマを設けて、そのテーマごとに、これまた、入口に近い方からチャプター番号がふられていたりもする。
でも、展示作品番号や、展示スペースのチャプターの順番通りに見なくてはいけないなんて決まりはない。
一旦、出口から退場してしまうと再入場は認められないが、そうではない限りは、どんな順番で見ても構わないことになっている。
極端な話、100番から見はじめて、最後に1番を見るという鑑賞の仕方だってOKだ。
でも、最近のミュージアムの来場者は、整列して見なくてはいけないと思っている人が多いようだ。好きな順番、自分に合わせたペースで見ている人をマナーを守っていない輩と勘違いしている人も多いように見受けられる。
何故、そうなったのかというと、ミュージアム側が、美術に興味がない人の来場を促すようになったからだ。
音声ガイドやイメージキャラクターに人気声優や俳優、アイドルなどを起用するようになり、そうした人たちのファンが展覧会にやって来るようになったからだ。
こういう人たちは、コンサートや舞台、イベントなどと同様に、ミュージアムでも整列して順番に鑑賞するものと思いこんでいる。
そして、何故、コアな美術ファンではなく、美術に興味がない人の来場をミュージアム側が促すようになったのかといえば、理由は明白だ。金儲けだ。
海外の美術館などから作品を借り受ける際に発生する経費が高騰していることから(海外は順調に物価や給与が上昇しているが、日本はそうではないということも影響している)、展覧会の入場料も値上げせざるを得ない。
でも、それだと美術ファンの来場回数が減ってしまう(ひと昔前だと一般料金1500円程度が相場だったが、最近は1800円以上が当たり前になっている)。その値上げによってヘビーユーザーが減った分をどう補うかとなったら、美術に興味がない人を来場させるしかないし、いくら、国や自治体が運営に関わっているミュージアムが多いとはいえ、運営費を賄うために安定した収入を得なくてはならないから、そうした商業主義に走ることも仕方ないのかもしれない。
また、コロナ禍になってからは、混雑緩和のために、日時指定制を設ける展覧会も多くなっている。
コロナ前なら人気展示会の場合、1日に1万人以上が来場することもあったが、コロナ禍でそんなことをしたら、超密状態になってしまう。
だから、日時指定制にして来場者を絞らなくてはならない。
となれば、来場者1人あたりの平均単価を上げなくてはならないわけだから、音声ガイドの利用者やグッズ購入者の増加が見込める、声優や俳優、アイドルなどの起用の割合をさらに高めることになるというのは避けられないことなのだろうとは思う。
でも、それでいいのかな…。
全然、美術ファンを増やしていないよね?
国や自治体が運営していようが、民間の経営だろうが、やっぱり、美術というのは後世にも伝えていくべきだと思うんだよね。
運営もアーティストも観客も好き勝手なことをほざいているだけの音楽フェスを支援する金があるなら、国や自治体はその金を美術館・博物館に使った方がいいのでは?
ちなみに私は、文句を言いながらも、今回が2度目の鑑賞となりました。
最初に取ったチケットの指定された日時だと、もしかすると行けないかもと思い、別の日時(今回)でも購入したけれど、最近に購入した日時で何とか鑑賞できてしまったので、2度目の鑑賞となった。
最初に見た時に、“こんな美術ファンをバカにしたような展覧会を国立を名乗る博物館で開催するなんて許せない”と思ったが、チケットが勿体ないので、2度目の鑑賞にチャレンジすることにした。
やっぱり、美術好きとしては腹立つな、この展示会!
展示されている美術品は複製ばかりだし、乃木坂メンバーが出演している映像展示はYouTubeにアップされているteaserレベルだし、こんなので1800円というのはボッタクリもいいところだよ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?