名探偵コナン 緋色の不在証明
いくら総集編ものとはいえ、そして、突然、公開が発表されたとはいえ、コナン映画が観客動員数ランキングで初登場2位というのは物足りなさすぎる成績だと思った。ましてや、緊急事態宣言下で興行界全体が低調なんだから、ぶっちぎりで初登場1位を記録すると思っていたのに、「花束みたいな恋をした」の3週連続1位を許してしまうとは…。
「花束」は絶賛されているみたいだけれど、評価しているのって、作中のメイン2人みたいに中途半端にサブカルに足を突っ込んだ人たちで、尚且つ、メインの2人同様、東京の西側に住んでいる人、あるいは、そういう地域での生活が東京だと思って憧れている地方民だけだと思うんだよね。
完全にサブカルの世界に足を突っ込んでいる人間からすれば、何言ってんだこいつらって感じだし、東京の都心や下町地域の人間、特に東京生まれ東京育ちの人間からすれば、田舎者が都会人のフリしているだけでダサいなとしか思えないしね。
だから、この映画を評価しているのは、自分は田舎者で、尚且つ、知ったかぶりで映画や音楽、小説などを語っている連中だと思うな。まぁ、こういう言い方をすると、トンキン批判が好きなネット民には文句を言われるかもしれないが。
話はコナンに戻るが、ここ何年もコナン映画の興収は前作超えを続けていて、総集編の本作を除く直近2作に関しては興収100億円も期待されるほど(最終的には90億円台)の記録的大ヒットとなった。その要因となったのは、何度も繰り返し劇場に足を運ぶリピーターのおかげであることは言うまでもない。だから、既に世に出ている内容の総集編映画でも興行成績は変わらないはずと思っていたのだが、まさかの首位を逃すことになってしまうとは…。
以前から、コナン映画に熱狂する人は、テレビシリーズに興味がないというか見ていない人が多いのではないかと思っていたが(自分も今の土曜日の夕方放送になってからは、まともに見たことないし…)、この総集編映画の興行成績を見ると、本当にそうなんだろうなというのを実感する。だから、テレビシリーズをまとめた本作には興味がないのではないかと思う。
と同時に、テレビ、映画問わずコナンに対する興味を失ってしまった人も結構いるのではないかとも感じた。その要因となったのは、去年の緊急事態宣言で、劇場版最新作「緋色の弾丸」の公開が延期され、毎年ゴールデンウイークにコナン映画を見るという習慣がなくなってしまったことにあるのではないかと思う。
コナン映画に熱狂する人には、他のアニメや映画には興味を持たず、同じ作品を何度もリピートする傾向が見られるが、最近、それと同じような現象を4倍以上の規模で具現化したテレビアニメの劇場版作品があった。言うまでもないが、「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」だ。アニメや映画の熱心なファンからは、“面白いけれど大絶賛するほどじゃないよね。テレビスペシャルだよね”と言われるところも、コナン映画と同じ構図だ。
毎年恒例のコナン映画が途切れた時期がちょうど、緊急事態宣言下であり、その時期に配信サービスなどで「鬼滅」を見た人がハマってしまい、いつの間にか、コナン映画好きではなく、「鬼滅」のファンになってしまったってのも多いのではないかと思う。
こうした、コナン映画や「鬼滅」のファンには熱心なアニメや映画のファンではない人が多いから、緊急事態宣言下のような状況になると、映画館には足を運ばなくなる。
2度目の緊急事態宣言が発令されるや否や、「鬼滅」の興収は落ち着くようになったのが(まぁ、その前に興行記録は塗りかえているけれど)それを証明している。
そして、それと同じように今回のコナンの総集編映画も、わざわざ、緊急事態宣言下の映画館に、既にテレビで放送されたものをまとめただけのものを見に行く必要はないと判断されたのが思ったほど伸びていない成績の理由ではないだろうか。
それにしても、コナンってツッコミどころだらけの話だよな…。四半世紀にわたって放送されているけれど、キャラクターたちが年を取らないから、彼らが使っているアイテムがおかしなことになっているんだよね…。
10年前の話で、キャラクターたちがスマホを使っているのって違和感あるよな…。2021年の現在の視点からすれば、特に今の小中学生あたりからすれば、何もおかしくないかもしれないし、高校生や大学生あたりから見れば、10年前はまだ、ガラケー使っている人いたよねって記憶がうっすらあったとしても、コナンのキャラクターたちは上級国民だから、10年前でもスマホを使っていたかもねって理解できるかもしれないが。
でも、原作やアニメがスタートした頃を知っている世代からすると、10年前ってのは、80年代だからね。スマホどころか、携帯電話ですら一般人は持っていなかったよねって感じだしね…。というか、80年代の携帯電話は今の基準で見れば、携帯ってレベルじゃないしね…。
何が言いたいかっていうと、そろそろ、コナンはいったん完結させた方がいいんじゃないかって気がするんだよね。長期シリーズのアニメでも、「ドラえもん」とか「クレしん」は1話完結型だからいいんだけれど、コナンは、全体を通してのストーリーがあるから、四半世紀も続くと無理があるんだよね…。時代ものとか、未来の話なら、キャラクターたちが年を取らないものでも何年も続けられるけれど、現代が舞台だと、どうしても、辻褄が合わなくなってくるよね…。
そして、今回の総集編映画で一番酷いと思ったのは、米国の映画賞の授賞式が日本のゴールデンタイムに生中継されていたことかな…。頭悪い人たちが作っているんだな、コナンって…。
あと、エンドロールがバラエティ番組なみの超高速だったが、もしかすると、これって、金曜ロードSHOW!で「緋色の弾丸」の公開にあわせて流すために作ったものを映画館にかけたのか?