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TLC 来日公演30th Anniversary of CrazySexyCool

今回の来日はジャネット・ジャクソンの来日公演のオープニングアクトを務めるのが主たる目的だ。この2組は映画「ポエティック・ジャスティス」つながりでもある。ジャネットは主演と主題歌“アゲイン”を担当。TLCはサントラ盤にプリンス提供曲“ゲット・イット・アップ”で参加している。

ちなみに日本の招聘サイドの公式表記によると、TLCは今回、SPECIAL GUESTとなっている。オープニングアクト=前座=格下というイメージが日本にはあるため、邦楽アーティストの公演の場合、オープニングアクトという言葉を使わないことがほとんどだが、洋楽アーティストに対しても、そういう言い方をするんだとちょっと驚いた。

3公演行われるジャネットとTLCのカップリングによるライブのうち首都圏の会場に選ばれたのはKアリーナ横浜だ。ここは、最寄駅から会場への動線も会場内の動線も酷く、音にこだわっているという割には洋楽の音には全然向かない音響システムなので個人的には行きたくないアリーナ系のハコNo.1となっている。だから、このカップリング公演には行かないことに決めていた。

そんな中、来日中唯一となる単独公演も開催されるとアナウンスされたので参戦を決めた。
レフトアイがいないTLCのライブを見る価値はあるのだろうかとか失礼な考えも一瞬よぎったりもしたが、でも、残りの2人は健在だし、1990年代から2000年代初頭にかけて放った楽曲の数々を聞けるし、豊洲PITレベルの会場で見る機会なんて滅多にないだろうから行ってもいいかなという気分になった(上から目線ですみません)。


 
ところが、これも厳密には単独公演ではなかった。

こちらは、SPECIAL GUESTではなく、Support Actsという肩書きでPUSHIMとTinaが、さらに開演時間前にはDJ WATARAIがオープニングDJとして出演することも発表された。オープニングアクトが3人いるということだ。

これって、もしかするとオープニングDJを含めたオープニングアクト3組のパフォーマンス時間の方がTLCのライブより長いパターンなのではと思った。

ジャネットのオープニングアクト時のセトリに何曲か足しただけのものではないかという気もしてきた。

それにしても豊洲PITというか、こういうライブスペースで行われる単独ライブって入場の仕切りが悪いよね。ライブスペースでの単独公演は整理番号順の入場にすべきではない。

これは終演後の画像だが



そんなわけで前方エリア客の入場が終わらないうちにオープニングDJがプレイを始めてしまっていた。何のためのオープニングアクトなんだろうか。きちんと見せる気がないなら出す必要ないだろ!

あと、エモーションズ“ベスト・オブ・マイ・ライフ”とマライア・キャリー“エモーションズ”を繋ぐというベタベタなプレイやめなさい!

そういえば、昔、DJ WATARAIをDJ WATARIだと思っていたことあったな…。哲也かよ!まぁ、マツケンサンバみたいなノリで渡哲也がDJごっこをしてもおかしくないしね…。

そして、WATARAIのプレイからシームレスでTinaが登場した。というか、彼女の後ろでトラックを鳴らしているのはそのままWATARAIだった。
それから、Tinaの最後の曲の時にはWATARAI以外のDJも登場し、このDJがPUSHIMのバックを担当していた。
さらに、PUSHIMの最後には再びWATARAIとTinaも現れ4人で楽曲を披露した。

3人のアーティストがそれぞれ前座を務めるというよりも、3人+名前がお知らせページには出てこないDJの合わせて4人で1つの集団を形成した1時間20分くらいのライブイベントを行い、パートごとにソロやユニットで出てくるという形を取ったって感じなのかな。

そんなわけで予想通り、TLCよりもオープニングアクト組の合計時間の方が長かった。



TLCのライブ自体は1時間程度の短いものだった。おそらく、現在の2人で活動するにはこれが限界なのだろう。だから、長いオープニングアクトが必要となったということだと思うが、だったら、チケット発売時からそういう構成だとアナウンスすればいいのにと思った。

短い尺なのにやたらとDJを中心としたバックバンドのメンバーによる煽りタイムが何度も出てくるし、そのたびにメンバーははけていたから、体力的にはこのくらいのライブが限界なんだろうね。ほんのちょっとだけ歌って終わりの曲も何曲かあったしね。

そして、予想通り、というか最近の海外での公演のセトリを見て分かっていたが、やはり、アンコールはなかった。

アンコールのかわりに演劇で言うところのカーテンコールみたいなものがあって、チリが観客の前に姿を現したが、T-ボズは出てこなかったから2人一緒の行動はあまりしないんだろうな=不仲なんだろうなというのは何となく感じた。



とはいえ、ライブ自体は満足できる内容ではあった。ほんのちょっとだけ歌った曲も含めてではあるものの全米トップ40ヒットとなった楽曲は全て披露したから、リアルタイムでTLCの全盛期に接した人なら楽しめたはずだ。

“クリープ”のループし続けるカッコいいバックトラックをバックバンドの生演奏で再現していたことには感心してしまった。

それから、体力面や人間関係の面では不安要素はあるものの、T-ボズとチリの歌唱力は衰えていなかったし、ルッキズムは良くないが、あえて言わせてもらえれば見た目も劣化していなかった。

TLCは歌唱力のあるパワフルなT-ボズ、アイドルっぽいイメージのチリ、問題児っぽい雰囲気の故・レフトアイとタイプの異なる3人による、いわゆる三位一体状態が魅力だった。
今回のライブではT-ボズにしろ、チリにしろ、全盛期のイメージを保ったまま大人になったという感じだった。というか、2人とも50代だが一般的な米国人よりはかなり若く見えた。

一方で不満点もあった。

観客のほとんどがオーバー40なのはどうなんだろうかと思った。
K-POPグループ、NewJeansの世界的な人気の背景には90年代カルチャーのリバイバル的な側面があると思う。特に90年代R&Bっぽい楽曲を歌っていることが、他のK-POPグループより中年ファンも多い理由とも言われている。
そして、日本以外の国や地域ではNewJeans経由で90年代の音楽や映画、ドラマなどを発掘する若者も増えている。
でも、日本では何故かそうはならないため、若者はNewJeansが中年に受けている理由が分からず、若い女性にちょっかいを出すためとか、若いフリをするためだけに好きと言っているなどと揶揄している。
そんな状況だから、本公演に若い観客はほとんど来ていなかった。

また、通常の洋楽ライブではシンガロング祭りになるのに本公演ではあまりそれを聞くことができなかった。もしかすると、本公演に来た観客の多くは日本で人気のある曲“ノー・スクラブス”及び同曲を収録した99年リリースの3rdアルバム『ファンメール』しか知らないのではという気もしてきた。

全米チャート的には最大のヒット曲は“ウォーターフォールズ”だし、最も売れたアルバムは同曲収録の94年の2nd『クレイジーセクシークール』なんだけれどね。
というか、本公演は同作の30周年を記念したものとなっていたのに、オープニングナンバーがデビュー曲(1stアルバム収録)の“エイント・2・プラウド・2・ベッグ”なのも謎だ。一応、メンバーはその趣旨を理解しているっぽいのに、何故、関係ない曲から始めたのだろうか?



それから、これは本公演に限ったことではなく洋楽ライブ全般に言えることだが、スマホを頭より上に掲げてずっと撮影している連中って何なんだろうかね? ちゃんとライブを見ろよって思う。

ぶっちゃけ、地下アイドルのライブでマサイしている奴等より迷惑だ。

マサイしている連中は曲の間ずっとしているわけではないし、ジャンプしているから自分の目の前をふさぐのは短い時間だ。

でも、スマホを掲げている連中は下手すると、その曲の間中ずっと掲げているから、ずっと視界を遮られてしまう。しかも、ずっと撮影している奴って、会場で自撮りしているのも多いから、それも邪魔で仕方ない。

アイドル現場ではペンライトやグッズをあまり高くあげてはいけないというレギュレーションのライブが多い。特に地上アイドルでは。
そう考えると、ドルオタよりも洋楽マニアの方がマナーがなっていないということになるのだろうか。




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