あたしの!
学園を舞台に身近なところで三角関係とか四角関係(場合によってはそれ以上)が展開され、友情関係にヒビが入ったり、家庭の問題に悩んだりする、でも、大人のキャラクターは数えるほどしか出てこないという典型的な内容の少女漫画原作のキラキラ映画。
興行成績も振るわないのか、3週目に突入したのに入場特典をもらえた(週替わりで特典を配るほど予算のある映画とは思えないし…)。
大人のキャラクターはほとんど出てこないと言ったが、高校生のちゃんとした役割を与えられている登場人物もごくわずかだ。メインの4人組と狂言回し的なコンビ以外はほとんど出てこない。
メインの4人は女子2人、男子2人という構成で、女子は渡邉美穂(元・日向坂)、齊藤なぎさ(元・=LOVE)という元アイドル。男子は木村柾哉(INI)、山中柔太朗(M!LK)という現役アイドルだ。
INIやM!LKはアイドル呼称で良いのか否かというのは意見がわかれるところかも知れないが…。
旧ジャニーズの性加害問題で、所属アイドルの起用を控えていた制作陣も多少はいたと思うが、彼等がその隙間に入ってきたということなのだろう。ただ、現時点ではジャニオタのように何度も映画館に足を運ぶような熱狂的なファンはそんなにいないようだ。NHKは報道班の“クーデター”で旧ジャニーズの紅白復帰を阻止できたが、民放や映画会社は禊は済んだモードだから、再びこの手の映画は旧ジャニーズだらけに戻ってしまうのだろうか?
ところで、作中で登場人物たちが好きなアーティストの名前として、アイエヌワンをあげていたのはメタなネタなのだろうか?
今まで、INIはアイエヌアイもしくは通称イニと読むと思っていたが、正式な読み方はアイエヌワンなのかと思ってしまい、鑑賞後に調べ直してしまったくらいだ。結局、アイエヌワン読みはメタなギャグだったようだ。
そのINIメンバーの演技はお世辞にもほめられたものではないし、元イコラブのなーたんもアイドルを辞めて女優を本業にするほどの演技力があるとは思えないが、ミホワタナベは良かった。
日向坂時代にグループとして“主演”した深夜ドラマ「声春っ!」で演じた嫌味な優等生役の演技は見事で、その後、彼女がグループを卒業し、女優を本業にすると宣言したのも納得できるものだった。それだけに、ヒロインらしからぬ汚れキャラ(悪事を働くわけではない。破天荒なキャラという意味)もハマっていたし、脳内キャラで様々な性格のバージョンを演じわけていたのも見事だった。
彼女の演技を堪能する作品と考えれば上出来だと思う。
また、友人同士が同じ人を好きになっても友情は成立するのか、スクールカースト的な立ち位置で上下関係がある2人の立場が同等になっても、それまでの関係でいられるのかという、多くの人が10〜20代の頃に経験するような人間関係の描写は感動的だった。
本作の三角関係(厳密には四角関係だが)のように、ゴタゴタあったけれど、最終的には三角関係(厳密には四角関係)も続き、友情も復活するというのは難しいとは思うが。
というか、学園の人気者のイケメンはヒロインが好きと宣言しているから、三角関係を続けるのは無理だと思うのだが…。
でも、誰もがこういう恋愛を取るか友情を取るかという経験をしているから、感情移入できるんだよね。
そう言えば、自分の場合は自分が三角関係の敗者となった。でも、“彼女”が選んだ男との友人関係はその後も続いた。というか、その男と“彼女”の関係はそんなに長く続かなかったようだ。
おかげで、彼が自分と違う進路に進んでも年に1〜2回は会う関係になれた。
しかし、彼に子どもができてからは会う機会は減った。特に学校に通うようになってからは減った。最後に会ったのって何年前だろうかってレベルになっている。
三角関係よりも、友達関係がカットアウトしたりフェードアウトしたりする理由って、就いている職業とか、結婚しているか否かとか、子どもがいるかどうかなどといった所属コミュニティの違いによる生活習慣や思想の相違の方が大きい気がする。
まぁ、三角関係(四角以上含む)を一度でも経験したことがある人なら楽しめるし、感動できる作品だと思う。見ているうちに演技なんて気にならなくなるのでは?まぁ、後で思い返すとまた気になるとは思うが…。