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【適応こそ上手?】場に合わせて、盆踊りを踊り分けること
こんにちは、高尾可奈子です!
突然ですが皆様は、盆踊りに行ったことや盆踊り活動について、日記や記録を書いたり、SNS発信をしたりしていますでしょうか?
仲間と情報共有や楽しさも分かち合えて、より一層盆踊りを楽しく踊れますよね!
そしてそのときに、少し悩むのが、名前ではないでしょうか!?
本名にするか、あだ名にするか、、
折角なら親しみやすく覚えてもらいたいし、盆踊りを踊る人だとすぐに分かる名前にしたくても、なかなか思いつかず、、
いっそ芸名を作りたい!と思っていたり?
皆さんは、どんなお名前で呼ばれていますか?
何かアイデアがあれば、ぜひ教えてくださいね!
さて、今回は、、
盆踊りの踊り方を臨機応変に変えられることが、もしかすると盆踊りの一つの究極の完成形なのかもしれない、、
という話題についてです!
私なりの考察なのですが、土地を離れて、たくさんの盆踊り会場を人間が回るようになってまだまだ短いので、ひょっとするとその一人の身体のあり方が、さらに重要な盆踊りの要素になるかもしれないと思ったためです。
SNSでも、盆踊りとその地域以外の踊り手の関係性についてはしばしば議論されていたり、話題に上っていますよね。
盆踊りの個性ある踊りも、もちろん素晴らしく見飽きない楽しさがありますよね。
その中で、個性とは別軸で、いかに空間のエネルギーの一部に溶け込み、一体化できるかという要素も、盆踊りの本質的な面白さなのかもしれません。
是非、ひとつの考察として、みていただければ幸いです!
では、早速、、
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盆踊りに共通する、「調和」の価値観
全国どの盆踊り会場においても、共通して見られる盆踊りのスタンスがあるように思います。
それが、「調和」です!
地域の人々の温かな交流の場として盆踊りは開催されていたり、旅人でも誰でも踊るのが歓迎であったり、同じものを食べて飲んで、年齢性別立場関係なく対等に騒ぎ、歌い踊る。
現代では、他にはどこにも見られないような貴重な場です!
調和の反対語は、軋轢・不和・不仲ですが、盆踊り会場は祭りの意味も大きく、日本の伝統的な祭りの中には「けんか祭り」という種類もあるように、あえて反対のエネルギーをぶつけることによって結果的に調和を目指すという考え方もあるようです。
そして、神や仏を奉り、祖霊を鎮めるという盆踊りの目的を果たすことによって、混沌とした世界を調和に向かわせることとなります。
現在では、エンタメ化された盆踊りも増えていますが、そこでも踊りを通じたコミニュケーションが積極的に取られています。
各地の町会や自治体で開催される盆踊りでも、その地域の人々が顔を合わせ交流する、またとない機会となっているようです。
調和という視点から、盆踊りを覗いてみると、、
広がりある世界が見えてきますね!
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調和とは、空間に溶け込む踊り?
それでは、盆踊りのひとつの理想の姿かもしれない、調和をもたらす踊りとはどういった形の踊りでしょうか?
私の考えではありますが、まずは、生き写しの踊りを目指してみるのも、良いのかもしれません!
その会場で踊られている踊りを、そっくりそのまま吸収して自分の身体で再現してみる。
実は、とても難易度の高い技ではありますが、全く同じ会場はひとつもなく常に新しい出会いで踊ることができて、とても面白い遊びかもしれません!
はじめは目に見えた踊りを、ひたすらに真似していきますが、踊っている人の呼吸や息づかい、さらには群衆の生み出すエネルギーが生き物のように次第に感じられていきます。
よく、登山をする人が山の面白さについて、自然の一部に戻れること、足元から自然と一体になった感覚を味わえることだと語るのを聞いたことがありませんでしょうか?
それととても近い感覚。
生きているものと繋がる。
自然から生まれた存在である私たち人間が、その根源的な部分に戻れる・感じられる瞬間。
もしかすると、そういった何か大きなエネルギーを体感するところに盆踊りのしくみがあるように思うのです。
少し、感覚的・哲学的な方向に話が逸れてしまいましたので、戻してみると、、
その場の一回限りの空間に、まるで一体となって溶け込むかのように自身の動きを意識して合わせてみると、普段体験できないゾーン体験が可能になるかもしれない!ということなのです!
集団トランス状態は、究極の娯楽の形なのでしょうか?
調和を目指すことによって、集団が作り出すエネルギーにすっと入り込み、感情を揺り動かし高める盆踊りならではの体験ができるのかもしれません。
個人個人の動きや息遣いが揃うことで、バラバラで違う方向を向いている場合とは比較にならないくらい、深いレベルでのコミニュケーションも可能となります。
例えるならば、楽器のセッションのような感じでしょうか?
活発なコミニュケーションは、その場の空気をさらにポジティブで強固なものにしていき、その場に居合わせた人々の絆をより強く、日常を生きる活力を与えてくれることでしょう。
私たちが踊り続ける、興味深いその意味にも、どこか近づけるきっかけとなるのかもしれません。
盆踊りが調和を目指しているかもしれないことにも納得の、さまざまな効果が生まれているようです!
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武道の精神とも重なる!
さて、調和と盆踊りについて考えてきましたが、、
その調和という要素は、武道の精神にも深く根を張っているようなのです!
武士の誕生と盆踊りの誕生は、かなり大まかに歴史を大別していくと、同じくらいの時期に生まれたものです。
それは、農耕など土地に縛られた生活から一歩離れ、広い一定の領域をまとめ上げるリーダーの登場であったり、争いの多い世で新たな階級層が生まれた時期と言えるのではないでしょうか。
武道が生まれたのは、それよりさらに後の明治時代以降。国家の政策として、富国強兵など世界に追いつこうと、戦争に向けて人民を訓練するような世の中の流れも要因にあったのかもしれません。
そういった歴史の流れもありますが、現在では運動として体育に取り入れられていたり、オリンピックの正式種目にされていたりと、国際的な認知も広がり、その精神性には注目が集められています。その武道、特に合気道において、今も大切にされている精神があるようです。
「合気道の基本は無抵抗。力に対して力を以て対抗するのではなく、相手の力と同じ方向に引きで受けとめる感覚。攻撃に直接反撃するのではなく、むしろ攻撃と調和することによって、害を与えず効果的に攻撃を無効化できる。」
この精神性を知った時は、目から鱗でした!
確かに、相手と対峙する時に、相手が向かってくる場合は掴みどころも見つけやすいように思いますし、逆に相手が自分の動きに同化している場合は触れることすら出来ないような感覚、、
相手の身体も柔らかく溶け込んでしまい、掴みどころがない感じは素人なりにも何となくの想像はできそうです。
武道も、調和を大切にしているという事実は、とてと興味深いことですね!
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その場の雰囲気に合わせる方法とは?
それでは、次は具体的に、、
盆踊りの会場で、その場で起こる流れを読み取り
そこへ合わせていくための方法について考えてみたいと思います。
盆踊りは、さまざまな要素が重なり合うことで成立していますので、それぞれに注目して見ていきましょう。
①踊る人々、見る人々、作る人々
盆踊りは、民俗芸能の中のひとつとされています。
その民俗芸能が民俗芸能たる所以こそ、人にあると感じています。
人の長きにわたって受け継がれる環境適応の知恵や技術を芸能事として昇華させた行動は、人の情熱によってはじめて未来に向かって存在していくことが可能となります。はじめに人ありきなのですね!
現在、盆踊りを踊る人々も、はじめは先に盆踊りを踊る人の存在に憧れて、何かを感じて、その強い衝動で踊り始めた方がほとんどなのではないでしょうか?!
踊る個々人のエネルギーが重なり合って、集団の一体となる大きなパワーが生まれていくところに盆踊りの根本の部分が垣間見れます。
実際の盆踊り会場でも、踊る人がどういった人々なのかによって、8割以上成果が決まるといっても過言ではないかもしれません!
人数が10人よりは1000人の方がきっと爆発的なうねりのパワーが生み出されます。
櫓も提灯も何もない薄明かりの場所でも、楽器や音源がなくても、踊り上手が何人か集まり輪を作って唄い踊り出すだけで、そこには素晴らしい盆踊りが成立してしまうのです!
踊る人の熱意やその結果としての身体動作は、何よりも盆踊り、ひいては民俗芸能に重要な要素です。
例えば、踊り会場で目を惹きつけるような踊りの素晴らしい人を見つけたら、それに近づけるようにご自身も踊って見たり、、エネルギー溢れる踊りの人を見つけたら、その勢いに身を委ねてみたり、、そうすることで、盆踊り全体としての活気をさらに高めることに繋がります!
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他にも、盆踊りを見る人々の姿勢も、実は全体の盆踊りの成功を左右する部分なののかもしれません!
見る人は見られる人を、鼓舞し、やる気にさせることができます。
盆踊りを見ることを純粋に楽しむ姿勢だけで、不思議と場が明るく活気が良くなりますよね。
逆に、踊りの輪の外側でお祭りを楽しむ人々が、盆踊りに目も向けずはしゃいでいると、少し寂しい気持ちを感じる踊り手も多いのではないでしょうか。
子供たちがかけっこをして、踊り手とぶつかる場面もしばしば見受けられて、お互いに興味を示さずに折角の機会を味わい尽くせていないのは非常に残念なことです、、
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そして、盆踊りを作る人々が、盆踊りの未来の姿に及ぼす影響は特に大きいように思います。
作る人々の全般的な知識や経験値、美的価値観が、完成する盆踊りの形を大きく左右します。
逆に、主催者や発案者や踊り手を先導するリーダーたちが、どんな情熱をもって何を意図して何を目的として盆踊りを作っているのか、、
そこに思いを馳せながら踊りで応えることこそ、場を尊重して適応することなのかもしれません!
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②会場の広さ、形態、物理的条件
次に、踊る場所の状況を細かく感知して、そこに上手く合わせていくことも、踊り自体への適応へ繋がるのかどうかを見ていきましょう。
例えば、広い公園などの会場であってもそれ以上に輪の中で踊る踊り手の人数が多く、手がすぐに隣の人とぶつかってしまう場面は意外にも少なくありません。
そんな場合に、周りの状況を意識せずに通常通り踊ると、周りの人は逆に踊りにくくなってしまうことも。
全体を俯瞰して見ると、一人が綺麗に踊っていても全体はチグハグして揃っていないバラバラな盆踊りに。
例えば、子どもが後ろで踊っている場合は、後ろに下がる振り付けの際に歩幅や可動域や動作のスタート速度の違いにより、ぶつかってしまうことがあるので、少し目線を向けて見る。
神社の境内などでの盆踊りの場合で木々を避けながら踊る必要がある際は、多少輪が崩れてしまってもお互いに道を譲り合いながら、回転していく。
このように、周囲の状況をよく認識しながら、臨機応変に自由に踊っていける踊り手こそ、踊り上手なのだなと感じます!
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③踊る時間帯・季節
盆踊りは、同じ夏でも早い遅いや、お昼か夜かといった時間帯によって、その印象が一気に様変わりします!
真夏の猛暑日だと、夜でもかなり暑いですよね。
体力を奪われすぎないように、抜きも上手く入れた踊りをしてみると、熱中症予防にもなりますし、涼しげな雰囲気を演出することができます。
また、最近では日中のイベントの一環として、盆踊りが開催されることもあり、日差しの強い時間帯にジャンプや小走りの運動量の高い曲を踊る機会もあります。
子ども向けの盆踊りタイムを設けている会場では、一番早い時間帯をお子様優先の時間として設定していることも、、
元気に楽しい雰囲気で勢いよく踊る踊りが、より盛り上がるかもしれませんね!
日差し対策で、麦わら帽子やサングラスをかけたり、、ファッション性と実用性を兼ね備えた新しい浴衣コーディネートもきっと素敵なことでしょう!
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④信仰など、踊る目的
盆踊りは、一般的には、、
お盆に地上に帰ってくる先祖の霊をもてなし、再び地に沈めるという主な目的があると言われています。
しかし、民俗芸能である盆踊りは、その時代の民衆の生活に根を張るものであるため、時代の流れとともに変化をしてきた歴史があり、また未来に向けても生活とともに変化をしていくだろうと思います。
現在ある盆踊りを、細かくその踊る目的にフォーカスして見ていくと、いくつかの種類に分けることもできるようです。
例えば、無形文化遺産などに指定されている西馬音内盆踊り、郡上踊り、東京の佃盆踊りなどは、古き時代の価値観をしっかりと残す形の踊りです。
衰退する盆踊りも多いなかで、その希少さから文化保存対象とされていて、特にその土地では守られるものとして共有され受け継がれているようです。祖霊信仰も、強く根づいています。
そんな盆踊りの場では、シンプルな所作・振り付けの一つ一つの持つ意味を意識して噛み締めながら踊ってみる、遥か先の時間や空間に思いを馳せながら踊ってみることで、適応した踊りができるように思います!
静寂に近い音と優雅でゆったりとした雰囲気に身を任せ、自己表現というより祈りに限りなく近い踊りに浸ることで、その根源的な部分に触れられるのかもしれませんね。
また、9月以降の盆踊りは、通常奉納踊りと呼ばれていて、季節が変化することで、もつ意味合いも若干変わってきますから、踊る心持ちも違ってくることが自然かもしれません。
他には、イベント事やエンタメに振り切った盆踊りもありますね!
ポップスでガンガン踊るダンスに、盆踊り所作を組み合わせたような踊りは、盆踊りに馴染みのない若手世代にも新鮮に映るようです。
ノリがよく、よく分からなくても入りやすい誘導がされていたり、工夫を凝らした内容は、気負わずに純粋に楽しく踊れればそれで150点なのかもしれませんね!
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⑤踊る曲の内容
流れる曲の伝えるところや旋律や間合いのリズムに意識を向けて、その意図するところを想像しながら踊ることも、豊かな踊りを可能にするかもしれません!
私個人としては、まずメロディーから心揺さぶられることが多いですが、皆さんはいかがでしょうか?
情緒ある歌詞に意識が向く方もいれば、楽器の独特の響きが好きという方もいるかもしれません!
そういったところを感覚的に掴みながら踊ると、不思議と音に溶け込んだ魅力的な踊りができるでしょう!
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あえて逆らって踊ることも!?
環境にいかに調和して踊ることができるのか、、
様々な側面から見ていきましたが、必ずしも溶け込む方向性のみで考える必要もないかもしれません!
視野を広げて、あえて逆方向に逆らう力を加えることで、盆踊りの可能性を発見できることもあるでしょう!
絶対的なものや正解はほぼなく、常に流行を取り入れながら長く続いてきた風流さこそ、盆踊りの魅力の中でも大きなところですね。
江戸時代以降、国から禁止令が出るほど、風紀を乱すとみなされた歌舞伎も今では日本が誇る立派な伝統芸能となったように、新しいものでも良いものであればいずれは古典となる流れがあることは興味深いです。
はみ出しもの・河原者と呼ばれた人々が、反発を受けながらも、民衆を熱狂させる文化を作り出していった過去。
現代においても、これまでの常識や価値観などを超えたところで表現をしてみることで、斬新な芸能が生まれる可能性は高いように思います!
盆踊りの現在は、1000年の歴史の中でも過渡期にあるのではないでしょうか?
盆踊りの長く続くものを本質的に理解して尊重する姿勢は素晴らしいですが、たまには現代に生きる自分自身が本当に求めているもの・欲求・うちなる衝動に正直になって、そのまま踊ってみることで、古典的な盆踊りとは逆行しても、盆踊りの進歩に繋がる可能性が高いように考えています!
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いかがでしたでしょうか?
もしかすると、少し難しい内容に突入してしまった部分もあるかもしれませんが、どこか盆踊りについてより広い視野で考えていただける部分があったならば幸いです!
盆踊りは調和という価値観が比較的見られるということ、その調和を目指すための踊り方とはどういったのもなのか、そして盆踊りの未来に繋がる踊り方とは、、
是非皆さんのご意見も伺えればと思いますので、お気軽にコメントなどよろしくお願いします!
では、、高尾可奈子でした!