Slack から Mattermost へデータ移行
この記事で解説すること:
Amazon Lightsail の Ubuntu に立ち上げた Mattermost に、Slack のデータを移行させます。
Mattermost を操作する mmctl コマンドについては、別の記事にまとめます。
Ubuntu への Mattermost のインストール方法は、以下の記事をご覧ください。
インポートの準備
それでは、インポートの準備を進めていきます。
※ 事前に、インポート先となる Mattermost のチームを作成しておいてください。
少し順番が前後しますが、公式の手順に沿って行っていきます。
作業用ディレクトリの作成
SSH でサーバー(Amazon Lightsail インスタンスの Ubuntu) に入り、今回の作業用ディレクトリを作成しておきます。
$ mkdir tmp
必要ファイルのダウンロード
Slack データをインポートするには「mmetl」と「slack-advanced-exporter」を使用します。
それらをインストールするため、先ほど作成した tmp/ ディレクトリに必要なファイルをダウンロードします。
$ cd tmp
$ wget https://github.com/mattermost/mmetl/releases/download/0.0.1/mmetl.linux-amd64.tar.gz
$ wget https://github.com/grundleborg/slack-advanced-exporter/releases/download/v0.4.0/slack-advanced-exporter.linux-amd64.tar.gz
もし、Ubuntu 以外で使用する場合は、OS ごとにダウンロードするファイルを選択します。
必要ファイルの解凍
先ほどダウンロードした圧縮ファイルを解凍します。
$ tar -zxvf slack-advanced-exporter.linux-amd64.tar.gz
$ tar -zxvf mmetl.linux-amd64.tar.gz
インポート元データの準備
次は サーバー操作から一旦離れて、Slack の公式の手順通りにデータをエクスポートします。
エクスポートした ZIPファイルを FTPソフトでサーバーに転送します。
今回は FileZilla を利用し、先ほど作成した tmp/ ディレクトリに転送します。
接続方法は以下の記事を参照させていただきました。
Slack API OAuth Token の発行
Mattermost の公式の解説 (以下のURL) の「Next, follow these steps to create a bot token:」の 1 〜 9 のステップを実行します。
エクスポートしたデータにメールアドレス情報を紐付け
Slack のエクスポートデータには添付ファイルとメールアドレスは含まれていないため、それらを紐付けます。
まずはメールアドレスを紐付けます。
$ ./slack-advanced-exporter --input-archive {Slackからエクスポートしたファイル} --output-archive export-with-emails.zip fetch-emails --api-token {発行したslack API トークン}
「export-with-emails.zip」というファイルが作成されます。
エクスポートしたデータにファイルの情報を紐づけ
次に、添付ファイルを紐付けます。
$ ./slack-advanced-exporter --input-archive export-with-emails.zip --output-archive export-with-emails-and-attachments.zip fetch-attachments
「export-with-emails-and-attachments.zip」というファイルが作成されます。
以上で、インポートするファイルの用意ができました。
Mattermost 用にファイル変換 & 圧縮
次は、これらのファイルを Mattermost 用に変換していきます。
この後の作業で Mattermost を操作するためのコマンドである mmctl を使用しますが、まだパスを通していないので、公式のように
$ mmctl import upload hogehoge.zip
と入力しても、実行されません。
そのため、事前にパスを通すか、毎回パスを指定して実行するか を行うよう注意してください。
パスを指定して実行するなら、今回の場合は、
$ /opt/mattermost/bin/mmctl import upload hogehoge.zip
となります。
それでは、インポートするファイルを Mattermost 用に変換していきましょう。
インポートするファイルを変換
$ ./mmetl transform slack --team {チーム名} --file export-with-emails-and-attachments.zip --output slack-export.jsonl
「slack-export.jsonl」というファイルと、「bulk-export-attachments」というフォルダが作成されます。
{チーム名} には、事前に Mattermost で作成したチーム名を入力します。
もし分からない場合は、以下のコマンドでチーム名の一覧を確認できます。
$ mmctl team list
上述したように、mmctl コマンドのパスに注意してください。
bulk-export-attachments/ フォルダを data に移動
$ mkdir data
$ mv bulk-export-attachments data
zip コマンドをインストール (まだインストールされていない場合のみ)
$ sudo apt update
$ sudo apt install zip
それらを圧縮
$ zip -r slack-export.zip data slack-export.jsonl
「slack-export.zip」という圧縮ファイルが作成されます。
以上で、Mattermost 用にインポートファイルを変換・圧縮が完了しました。
Mattermost にインポート
それでは最後に、Mattermost にインポートしていきます。
ログイン
$ mmctl auth login http://localhost:8065
//「Connection name」:適当な文字列
//「Username」:Mattermost で作成した管理者ユーザー名
// 「Password」:Mattermost で作成した管理者ユーザーのパスワード
Mattermostのチームの最大ユーザー数を増やす
$ mmctl config set TeamSettings.MaxUsersPerTeam {増やしたい人数}
{増やしたい人数} には、Mattermost の最大ユーザー数を指定します。(500 など)
人数を増やしておかないと、後でインポートした際に以下のようにエラーになります
$ mmctl import job show {Import process job IDの値}
// Status: error
// Data: BulkImport: Unable to import team membership because no more members are allowed in that team, limit exceeded …
インポートについては後述します。
インポートファイルのアップロード
$ mmctl import upload slack-export.zip
Upload session successfully created, ID: gobrahsndinuubja6ax1pbjnrh // ID が生成される
Import file successfully uploaded, name: ru5u8cyqt3na3xmqyha67jjp5w
ファイルサイズが大きすぎると、「Error: failed to create upload session: : Unable to upload file. File is too large.」といったエラーが表示されるようです。
この場合は、以下のコマンドで Mattermost の最大ファイルサイズを変更してください。
$ mmctl config set FileSettings.MaxFileSize {増やしたいサイズ}
{増やしたいサイズ} には、アップロードするサイズよりも大きい値を選択します。
これを実行してもエラーが出る場合は、サーバー側でファイルサイズオーバーが起きている可能性がありますので、サーバー側 (Nginx) の設定を変更します。
アップロードしたファイル名を確認
$ mmctl import list available
今回は、以下のファイル名でアップロードされました。
gobrahsndinuubja6ax1pbjnrh_slack-export.zip
アップロード時に発行された ID と同じ値が使われています。
インポート
$ mmctl import process {先ほど確認したアップロードファイル名}
Import process job successfully created, ID: pqnw1q6aw3riikdhbof3xx84ey // ID が生成される
{先ほど確認したアップロードファイル名} は、「mmctl import list available」コマンドで確認した ZIP ファイルです。
インポート状況の確認
$ mmctl import job show {先ほどの Import process job IDの値}
実行後、「Status: in_progress」と表示されれば成功です。
インポートされているか確認
Mattermost を起動し、Slack のチャンネルがインポートされているか確認します。
最初はサイドバーに表示されていないので、チャンネル名を検索して探します。
インポートされていない場合は、一旦 Mattermost を再起動すると表示されるはずです。
また、以下のコマンドでもチャンネルの一覧を確認できます。
$ mmctl channel list {チーム名}
以上で Slack から Mattermost へのデータ移行が完了しました。
チャンネル名がランダムな英数字に変換される件について
Slack でのチャンネル名が日本語だと、Mattermost に移行した際に チャンネル名だけランダムな文字列になってしまうようです。
色々と試してみましたが、対処法としては
Mattermost への移行後に、一つずつ手作業でチャンネル名を修正する
Slack からデータをエクスポートする前に、Slack で半角英数字のみのチャンネル名に変更する
のどちらかしか解決策がなさそうです…💦
試したこと
Slack データの差分追加は可能
例:8/31 までの Slack データA を入れた後、9/1 からの Slack データB をインポートすると、データA でインポートした Mattermost 上のチャンネルの続きに、データB のメッセージのやり取りが追加されます
差分データをインポートする前に Mattermost のチャンネルでメッセージを送っても、そのメッセージも含めて時系列順に差分インポートされる
つまり、Slack と Mattermost の同時運用も可能
途中で Slack のチャンネル名を変更しても、Slack データの差分追加が可能
でも、 Mattermost に追加されたチャンネル名を変更すると、Slack データの差分追加はされない
例:データA でインポートした Mattermost 上のチャンネル (チャンネル名変更済み) の他に、データB のチャンネル (Mattermost で変更する前と同じチャンネル名) が新たに生成される
新たに生成されるチャンネルは、データB でエクスポートしたメッセージ期間のみの内容
Mattermost 上のチャンネル名だけ変えて URL は変更しなかったとしても、差分インポートするとチャンネル名が元に戻って (ランダムな文字列に戻って) しまう
Mattermost のチャンネルの URL は「https://{example.com}/{チーム名}/{チャンネル名}」となる
別の記事では、
・Ubuntu に Mattermost をインストール (今回の記事の一つ前の記事)
・Mattermost を操作する mmctl コマンドについて (チャンネルの削除方法など)
を解説しますので、よろしければご覧ください。
普段は、以下のブログで記事を書いていますので、よろしければご覧ください。