光失
今は、こうだ。
仕事のキャリアを積んだからといって、虚しさだけ残った。
山を登ったり、キャンプに行ったり、
あの楽しい風景が、がさがさとした白黒に思い出されるだけ。
なんの目的で、暮らしていったらいいのか、わからない。
近所を歩くのさえ、つまり、自分の健康を維持することさえ、
無意味に思える。
犬との別れで、さみしくかなしいという思いは、自然な感情でしょうが、
そんなのは、守り切れなかった飼い主だけの主観であって、
犬を独り苦しませてしまったこと、あんなに大事だったのに。
犬の信頼に、答えられなかった。
自分を許せないのだ。