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2024年11月&12月聴いた音楽
11月
The Cure『Songs Of A Lost World』
16年ぶりの新作アルバム。数年前からリリースが噂されていましたが、ついに発売されました。1曲目の先行シングル「Alone」のように、全体的にミドル〜スローテンポの重厚でヘヴィなロックナンバーが並びます。
「All I Ever Am」はUKポスト・パンク〜ニュー・ウェイブの典型的な楽曲で、ラストの「Endsong」は長尺のシューゲイザーな楽曲です。UKインディーロックの真髄とも言える作品で、ダークでヘヴィなサウンドは個人的に非常に好みです。ザ・キュアーはポスト・パンク〜ニュー・ウェイブの印象が強いですが、後のシューゲイザーと呼ばれるサウンドにも大きな影響を与えています。
Robert Glasper『In December』
2023年にApple Musicで独占配信されていたアルバムが、フィジカルリリースとともに他の配信サイトでも聴けるようになりました。タイトルから予想できる通り、ホリデーアルバムで、クリスマスキャロルのグラスパー流カバーが並びます。
グラスパーは現在、ソウル・R&B/ジャズ/ヒップホップをシームレスそして巧みにミックスしたサウンドを作れるミュージシャンとして注目されています。今作もその手腕が存分に発揮されており、ムーディーでシルキー、そしてヒップなプロダクションが特徴です。これからの季節にぴったりの作品です。
Anjunabeats Essentials 02
AnjunabeatsからリリースされたトラックのDJミックス集。レーベルの方向性を体現した作品が並んでおり、トランスよりはプログレッシブハウスやEDM寄りのサウンドが特徴です。
Colin Stetson『The love it took to leave you』
アメリカ、ミシガン出身のバス・サックス奏者の新作アルバム。Arcade Fire、Bell Orchestre、Bon Iver、The NationalなどUSインディーロックバンドの作品やライブに参加しているアーティストです。
ソロ作品ではアヴァンギャルドなジャズを展開しており、今作もアンビエント・ドローンな楽曲が多いです。SUNNを彷彿とさせるような重厚なサウンドで、秋の夜長にぴったりの作品です。
Caribou『Honey』
4年半ぶりのカリブー名義での新作アルバム。盟友フォー・テット(今作の表題曲にもアレンジ参加)にも通じる、4つ打ちに縛られない多様なリズムパターンのダンスミュージックが収録されています。
As I Lay Dying『Through Storms Ahead』
待望の新作アルバム。冒頭からフルスロットルなテンションのメタルコアナンバーが並びます。昨今このタイプのメタルコアサウンドを演奏するバンドが減っている中で、非常に嬉しい作品です。
ギターソロがふんだんに盛り込まれており、クリーンパートが増えた印象です。エモーショナルなクリーンパートボーカルが個人的に好みです。
LINKIN PARK『From Zero』
ボーカルが変わって初のアルバム。ロックアルバムとしてならば良い出来だと感じましたが、ラウドロックやメタルかというと、やや違う印象を受けました。古参のファンはどう感じるのか気になるところです。
Night Tempo『Connection』
リリース日にSpotifyに来ていなかったので、遅ればせながら聴きました。インストトラックがメインで、いくつかボーカルトラックがあります。土岐麻子さんがフィーチャーした「Lil Bit」がとくに印象的です。
ブームバップ的なトラックによるシティポップサウンドで、彼のセンスの良さとシティポップ愛が感じられる良作です。BGMとして最適です。
Chicane『Trampolines』
UKのベテラン、エレクトロ/トランスミュージックアーティストDJであるChicaneのArmadaからの新作アルバム。チルアウトやダウンテンポな楽曲もあり、バレアリックサウンドを感じさせる聴きやすい作品です。さまざまなシチュエーションでのBGMとしてオススメです。
Kelly Lee Owens『Dreamstate』
UK、ウェールズ出身のプロデューサー/シンガーの新アルバム。The 1975のジョージ・ダニエルがダーティ・ヒットと共に立ち上げた新レーベル〈dh2〉からの第1弾リリースです。
ドリームポップとミニマルテクノを融合させた作風で、ポップでありながらフロアで機能するダンストラックが特徴です。ゲスト陣も豪華で、見逃すところだった良作です。
Ferry Corsten『Connect』
オランダ出身のトランスミュージック界のベテランDJ/プロデューサーであるFerry Corstenの新アルバム。「ザ・トランスミュージック!」と言わんばかりのトラックが目白押しで、非常にカッコイイ作品です。
London Grammar『The Greatest Love』
UKのインディー・ポップバンドの新作アルバム。デビュー10年で4枚目になります。ボーカルのハンナ・リードが非常に個性的で、ベス・ギボンズやトレイシー・ソーンを彷彿とさせます。
ダウンテンポでドラマチックな展開のサウンドが特徴で、The XXやポーティスヘッドのファンにはとくにオススメです。
12月
Jeff Parker『The Way Out of Easy』
トータス/アイソトープ217のギタリスト、ジェフ・パーカーの新作アルバムで、彼が率いるETAカルテットでの録音です。スタンダードからダブまでがつながっているようなアンビエント・ジャズ作品で、かなりアトモスフェリックなサウンドが特徴です。聴いていて心地よく、没入感が高まるため、かなりオススメです。
Anjunabeats The Yearbook 2024
Anjunabeatsから2024年にリリースされたトラックをコンパイルした作品です。知っている曲ばかりで、今年はAnjunabeatsのトラックをたくさん聴いたなという印象を受けました。良質なトラックが並んでおり、トランスからプログレッシブトランス、そしてEDM(自分がゲッタスタイルと呼んでいるもの)寄りのサウンドが多めです。
Anjunadeep The Yearbook 2024
一方、こちらはAnjunadeepから2024年にリリースされたトラックをコンパイルした作品です。こちらも知っている曲ばかりで、ハウス(ディープ&メロディック)からプログレッシブハウス、そしてエレクトロ(シンセウェイブ)なサウンドが特徴です。
土岐麻子『Lonely Ghost』
土岐さんの約3年ぶりのアルバムで、今年はソロデビュー20周年ということもあり、ベスト盤の発表やNight Tempoの楽曲、Good Bye Aprilの楽曲への参加などがありました。そのため、約3年ぶりの新作とはあまり感じませんでした。今作は、5年ぶりにプロデューサーにトオミヨウを迎えて制作され、バラエティに富んだ楽曲が収められています。シンガーとしての土岐さんの魅力が引き出されている良作です。
Marsh The Cove, Anjunadeep Explorations 2024 D&B Set
今年は、トランスやプログレッシブハウスのDJがドラムンをセットに組み入れたり、ドラムンのセットをスピンしていた印象があります。ここ数年のドラムンリバイバルの影響がこの辺にまで波及してきたということでしょうか。Marshのこのセットもカッコよかったです。
Seefeel『Squared Roots』
ロンドンのエレクトロ/ポストロック・バンドSeefeelの13年ぶりとなる新作ミニアルバム『Everything Squared』に続くミニアルバムです。『Everything Squared』の制作で生まれた副産物的な作品という感じで、00年代のIDM meetsアンビエントmeetsダブって感じなサウンドが特徴です。聴いていて心地よく、寝るときにでも聴いたら、そのまま気持ちよく眠りに入れそうな作品で、オススメです。
cumgirl8『the 8th cumming』
ニューヨークの女性4人組バンドのデビューアルバムが4ADからリリースされました。ジャケットを見て、えっ、4ADから?とは思いましたが、サウンドを聴いて納得しました。80年代のニューウェイブと00年代のエレクトロクラッシュのいいところを合わせたような感じで、ビッチな見た目に騙されそうだけど、結構しっかりとしたバンドだなと感じました。今後人気が出そうな予感がするので、オススメです。
Group Therapy 600 live at Hipódromo de las Américas, Mexico City
Above and Beyondのラジオ600回のイベントから以下の3つの動画を紹介します。
Kasablanca: Group Therapy 600 live at Hipódromo de las Américas, Mexico City Official
この二人のライブを観て、シンセプレイのライブのカッコよさを再認識しました。特に、ケミカル・ブラザーズの「Block Rockin' Beats」は、めちゃくちゃカッコいいです。
Genix: Group Therapy 600 live at Hipódromo de las Américas, Mexico City
プログレッシブハウスからEDM(ゲッタスタイル)な感じの良質なトラックを作る印象です。特に、今年(2024年)は、シングルリリースの「Leave The Light On」をよく聴きました。
Alex Sonata & TheRio: Group Therapy 600 live at Hipódromo de las Américas, Mexico City
このイベントの大トリを務めたデュオで、彼らのサウンドもほんとカッコいいです。プログレッシブハウスからEDM(ゲッタスタイル)な感じの良質なトラックを作る印象で、昨年(2023年)リリースの「Mantra」と「Tears Of The Kingdom」は、ほんとカッコいいトラックです。
Nicky Elisabeth b2b Qrion b2b Rezident b2b Romain Garcia | Live from the Anjunakitchen
Anjunadeepからリリースをする若手DJ・プロデューサー4人によるb2b×4のライブです。四者四様なサウンドセレクションで、観ていてとても楽しかったです。個人的には、Romain Garcia(フランス出身)がStardustの「Music Sounds Better With You」をスピンしていて、かなりアガりました。