気圧・気温・湿度の計測システムの構築ーーアマチュア無線交信のためにーー
気圧・気温・湿度の目的
携帯電話など、高品質な無線通信が一般化してしまっている現在において、アマチュア無線、とりわけモールス信号を用いた通信は、遺産的価値しか残っていないかもしれない。
しかし、現在においても、多くのアマチュ無線家によって、モールス通信は親しまれている、その中でも、和文通信では、「コチラ ノ テンキ ハレ、キオン 25ド、カゼ ナシ」といったように、天気や気温などの情報を交換することが日常的に行われている。世界中の気象情報がWebで得られる世の中であることは、多くのアマチュ無線家が熟知していることも、あえて記述しておこう。
筆者自身も、和文モールス通信を楽しむ一人として、従来はWebで得られる最寄りの測候所の気温などを打電していたが、今回、Arduinoなどのマイコンを用いた、気圧・気温・湿度の計測および表示システムを構築し、我が敷地内や屋内で得られた観測値を、実際のモールス通信で打電するようにしたので、ここに紹介したい。
屋外用WiFiマイコン
気圧・気温・湿度の計測の要となるマイコンは、(1)Arduino IDEが使えて、プログラム(スケッチ)の開発が容易なこと。(2)はんだ付けなど、ハードウエアの製作が必要最小限でできること。アマチュア無線機とはいえ、筆者の送信出力は、最大で100Wあることを考慮して、高周波の回り込みによる計測値のデータ転送に悪影響がでないように、(3)ケーブルによる計測値の伝送は避けてWiFi経由とすることとし、Wemos D1 R32を選んだ。
屋外の気圧・気温・湿度センサー
屋外用の各センサーは、次のとおり、よく使われているもの。
(1)温度 湿度 センサー DHT22
(2)気圧センサー BMP280
BME280という、気圧・気温・湿度センサーを使えば、1つのセンサー対応可能であるが、今回は、たまたま持っていた、この2種類を用いた。
小さな百葉箱の工作
屋外の気圧・気温・湿度センサーのうち、少なくとも気温・湿度センサーは、外気にさらされるところに設置する必要があるが、その一方で、防水対策はしっかりとする必要がある。この相反する要求を実現するために、小さな百葉箱を作ることにした。"プチ百葉箱"と称している。
百円ショップseriaで販売されていた小さな植木鉢と茶碗に穴あけ加工して構築した。
植木鉢を、さらに、もう1つ逆さまにかぶせ、そのうえに茶碗を逆さまにしてかぶせた。茶碗の中心には、スペーサー用のネジを取り付け、おねじ側を茶碗中心部で貫通させているので、バスコークで防水処理している。
このような、小さな百葉箱の構造で、空気は流れ込むが、水は入らないということを実現している。実際に、台風を接近による暴風雨を2回経験しているが、雨水の進入はなかった。
WiFiマイコンの防水と温湿度管理
屋外設置のWiFiマイコンは、百葉箱の固定を兼ねて、電工の分岐ボックスを用いた。上述の百葉箱から貫通する寸切りネジは、バスコークの防水処理を行った。
WiFiマイコンの電源12V及び、百葉箱に設置されている各センサーへの敗戦は、防水キャップを介して導入した。
この分岐ボックス内は、密閉構造となるため、余っていた温湿度センサーを取り付けて、温度と湿度をモニターすることとした。
データ信号の流れと表示
屋外に設置したWiFiマイコンを、WiFiサーバーとして機能させ、屋内設置のWiFiマイコンであるクライアントからの要求に従って各データを送信する。
屋内のWiFiマイコンは、I2Cサーバーとしても機能させて、屋外から受け取った各データを、Adafruit ILI9341を取り付けたArduino UNOに転送して、各データ値を表示させる。
Arduino UNOとAdafruit ILI9341は、直接接続できるが、I2C信号を接続する必要があるので、ユニバーサル基板を挟んで接続している。