部活動の地域移行を考える
(所属ブログからの転載です)
2016年くらいだったでしょうか.
「ブラック部活」という言葉が使われ出したのは…
2017年-2018年には大きく問題視され始めたと思います.
で,政府も動き出して学校の働き方改革を踏まえた部活動の改革ということで部活動の地域移行が決まりました.
来年度(令和5年度)から3年間かけて段階的に移行していきます.ビジネスチャンスもあればいろんな人のいろんな目論見により,すでに,動き出している地域もあります.で,これが本当に様々な問題を解決するのか,というのが重要なところです.
ほとんど問題も解決せず本質を失う
というのが私の結論です.
教員の働き方は一部改善されるでしょうが国民全体の働き方で考えればゼロサムになるので意味がないです.文化活動やスポーツ活動の多くはボランティアコーチや指導者によって支えられているという前提が踏まえられていません.まあ,これは大した話ではなりません.
大事なことは,学校の部活動はなぜ学校管理下で行われたのか?ということです.ここの議論がほとんどされていないように思います.
ここがかなり重要で「教育とは」に関わってきます.
この議論すらされないということは本質を失う可能性が極めて高いです.
ちなみに,スポーツ庁の見解では(武道学会で私が直接質問したら)学校でも地域でも効果は何も変わらないということらしいです.分析が甘すぎて,驚きました.
書き出すと熱くなってくるので少しだけ
教育基本法第三条に生涯学習の理念があります.
で,平成30年度文部科学白書第三章に生涯学習社会の実現がありまして
のことをいいます.
で,国際的には専門性の細分化と縦割りによって生涯学習への効果が失われていることが問題視されています.
で,生涯学習つまりホーリスティック教育が極めて重要ということでSTEAM教育のような概念が出てきました.つまり,分野横断的で相補的なアプローチをしていこうというのが流れです.
部活動を学校から地域に移行し(ある意味で細分化と縦割りへ)ボランティア(もしくは僅かな謝礼)の指導者に青少年の教育を任せることになります.地域指導者も教員と比べると時間数も実習数も極めて少ない資格を持っている程度でしょう.どの国も「偶発的要素の最小化」を考慮し,青少年の育成を行おうとしていますが,日本の運任せ的なシステムには驚かされます.(たまたま良い指導者や良い環境に出会わなければならない)
地域でホーリスティック教育を実施できるようなシステムをデザインしているわけもなく,生涯学習社会を構築するような話も出ていません.
日本の「失われた30年」からの脱却のために青少年の教育(生涯学習)が極めて重要ですが,その視点が語られていないことを懸念しています.
みなさんにも関わってくることですので少しでも考えてもらえればなと思います.