ダイオードの種類の解説
※LEDの話はしません。
※自分用備忘録です。
半導体素子の中で最もシンプルな構造のDiについて説明していきます。
といっても『PN接合が〜』とか『空乏層が〜』とかみたいな動作原理の面は置いておいて、実際の回路設計や部品選定において必要になる知識を書き残します。(動作原理についておれの理解が深いわけじゃないし、そもそも解説されている書籍やサイトが既にゴマンとあるからね)
一般的に整流用のダイオードには3種類あります。(ツェナーは次回)
整流用ダイオード
一般整流ダイオード
らしいです。何を以てして一般を騙るのかはメーカーによるところだと思いますが、『整流用ダイオードの中でショットキーでもファストリカバリでも無いもの』くらいの認識で良いんじゃないでしょうか(適当)。
ダイオードの動的特性
一般整流ダイオードに限らず全てのダイオードに共通し、ユーザーが認識しておくべき特性として2つ、『順方向電圧』と『逆回復時間』がある。
まずは順方向電圧(以下Vf)について。
ダイオードのPN接合には空乏層があり、ここで0.7〜1[V]程度の電圧降下が生じる。
仮にこのダイオードに1[A]流れることを考える。1[V] x 1[A] = 1[W]の損失が生じることが分かる。10[A]なら10[W]。
大電流を流す用途においてVfは深刻な要素なのだ。
次に逆回復時間(以下trr)について。
順方向に電圧のかかっているダイオードは、コンデンサのように電荷を蓄える挙動をしている。
ダイオードに順方向に電圧がかかっている状態から電圧の向きが逆になった時、ほんの一瞬だが逆方向に電流が流れる。この逆電流が流れている時間を逆回復時間(trr)という。
Vfもtrrも、小さければ小さいほど理想的なダイオードと言える。これから紹介するファストリカバリダイオードとショットキーバリアダイオードはそれぞれ、trrとVfが小さいことが特徴のダイオードだ。
ファストリカバリダイオード
ファスト(速い)リカバリ(回復)。分かりやすいネーミング。
ファストリカバリダイオードはtrrの短いことが特徴のダイオードで、おおよそ数十[nsec]〜数百[nsec]くらいだ。
とはいえ弱点もある。ファストリカバリダイオードには『Vfが大きい』という弱点がある。大体1.5[V]〜3[V]くらいにまでなるらしい。一般整流ダイオードが0.7[V]〜1[V]くらいと考えると倍以上だね。一般的にtrrが小さいものほどVfが大きいというトレードオフ関係がある。
数十[kHz]〜数百[kHz]くらいの高周波でスイッチングし、かつVfをあまり気にしなくて良い用途ではファストリカバリダイオードを使用する。
ショットキーバリアダイオード
ショットキーバリアダイオードはVfの非常に小さいダイオードだ。
その値は定格によってだいぶ変わるが、0.5[V]を下回る製品もある。おまけにショットキーバリアダイオードはtrrが非常に小さい(理論上は0)。
「そんなん最高じゃん全部ショットキーバリアダイオード使おうぜ。」
そう思っただろう。
残念ながらショットキーバリダイオードにも弱点はある。それは『漏れ電流が大きい』ということだ。
ダイオードに逆方向電圧をかけても電流は流れないと一般的には言われているが、厳密には微量の電流が流れており、それを漏れ電流という。
一般整流ダイオードだと漏れ電流は数十[nA]程度で、大体の用途では無視できるくらいの電流だ。
しかしショットキーバリアダイオードの漏れ電流は1[mA]〜数十[mA]であり、かなり無視しにくい数値だ。さらにその値は温度が上がるほど増える。
漏れ電流が流れる→発熱する→温度が上がり漏れ電流が増える→・・・という負のループが発生し最終的に無尽蔵に発熱する現象を熱暴走という。
低Vfが求められる用途で、かつ熱暴走のリスクを把握し、逆電圧のかからない or 発熱<放熱が満たせることを設計で担保できるときにショットキーバリアダイオードを使用する。
余談
そのうち会社の新入社員用研修資料でも作ろうと思っている。
その時にこんな内容で作ろうかなーって思ってその下書きとしてこの日記に書き記した。
そのうちツェナーの解説書くのと、もしできたらMOSFETのデータシートの読み方とか書きたいなと思っている。
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