バイクで死を悟った話
2024年の大晦日、誇張抜きで死ぬほどの恐怖を味わった。
思い出すことすら恐ろしいけど、自戒として日記に書き綴る。
発端
おれは星を撮るのが好きで、バイクの免許も元々は移動手段として取った。
今年の冬休みは星の名所として有名な奥三河で撮ろうと思い、新豊根ダムに行くことにした。
不穏な天候
当日の豊根村の天気予報は快晴。
…のはずだったんだが、東の空を分厚い雲が覆う。
明らかに星なんて見れそうな空じゃない。
なのだが、おれは愚かにも天気予報を盲信し
「豊根村まで着けば雲が切れるのでは?」と根拠のない憶測でエンジンを吹かす。
ここで引き換えしておけば。。。
大雪
設楽町を走っていたら事態は最悪なことに。
雪が降ってきたのだ。
結構がっつり、路面が白く覆われるほどには降ってきた。
街灯もない夜道、雪、強風、濡れた路面、急勾配急カーブ、寒さでヘルメットは曇り、体もかじかむ。
視界は雪とヘルメットの曇りで遮られ、ハンドルは強風で煽られる。全神経を視覚とハンドリングのみに集中させる。
スリップしたら間違えなく死ぬ。
今までの人生でこれ程までに死が目前に迫ったことは無い。
凍結注意の看板、0℃を示す気温モニタ、華奢なガードレール一枚で隔たれた先にある崖と闇。。。
視界に入るものすべてが死を想起させる。
1時間半の鉄骨渡り
命の危険を前にして天体観測なんて言っていられない。
すぐさま目的地変更して安全な場所を目指す。
ネットで現在の天気(←予報じゃなくて現在の天気ね)を確認したところ、新城まで行けば晴れているらしい。
落ちたら死ぬという、さながら鉄骨渡りの気分で新城を目指す。
最悪なことに新城に向かうにはこの様な山道を越えなくてはいけない。止まることも戻ることもできず、ただ進むしか無い。
時速30kmくらいでおそるおそる坂道を下り、道路が直線になった隙を狙ってヘルメットの曇りを取る。
ヘルメットのバイザーを上げると雪が顔にビシビシと吹き付ける。
痛い。
約40kmの道のりを、1時間半かけて恐怖と戦いながら走った。
生還
新城まで来ると空は晴れ、路面も乾燥していた。
どうやら雪が降っていたのは奥三河の一部だけだったようだ。
今回の恐怖を味わって、、、
怪我をしたり死んで痛い思いをすることへの恐怖よりも、死んでしまったら大切な人に二度と会えなくなってしまうということに対する恐怖のほうが圧倒的に恐ろしかった。
おれのことを案じてくれて、またおれ自身が自分の命よりも惜しいと思う存在がいることってなんて幸せなことなんだろうか。
そんな幸せな自分の立場を軽んじており、安易に冬の峠道をバイクで走ろうとしていた。
もう二度とこんな危険なことはしない。
余談
この投稿のバナー画像、パワポで作ったんだけど結構うまく作れたつもり。
でも実際にはもっとバイザーが曇ってたし、曇りから発生した水滴でさらに視界が悪くなっていた。
そんな視界の中走っていたなんて、今思い出しても身の毛がよだつ。