#東京ラブストーリー総論
ごくごく普通の朝
起きると妻がテレビを見ながら泣いていた。
東京ラブストーリー(以下TLS)2020版の最終回を観ていたのだ。
共働きなので、朝起きてから子供を食卓へ向かわせるまでの貴重な時間に。。。
お陰で妻はアイメイクが崩壊。マスカラパンダになっていた。
彼女がそもそもTLSを見るきっかけになったのは僕であり、先代のTLS(フジテレビのドラマの方)の最終回の舞台になった、愛媛県の梅津寺駅など2人で観光したりした。
ドラマのヒロイン達は24歳くらいの設定で、先代の放送時僕は小学5年生。今は42歳のおっさんで、いづれの放送のタイミングもドラマのターゲットから大きく外れてしまっていると思う。
だから、相当未来のお兄さんお姉さんの恋模様と、20歳近い歳の差のある若者達の恋愛模様を余りにも客観的に観てしまっていて、当事者気分で観れない自分が残念だと思うと共に、話は戻るけど、僕よりも6歳若い妻が朝からマスカラが剥がれ落ちるほど感情移入して泣けるドラマに出会ったのだと思うと、少し羨ましくもある。
そういった性差や年齢によって捉え方が異なるのは、このドラマに限った事ではないけれど、様々な世代にインパクトを与えたドラマの代名詞として現代でも語り継がられているドラマだと言う事は誰しもが認めるところであり、コミックの原作ありき→先代TLS放送と言う中で現代に蘇らせたスタッフや共演者の方々のプレッシャーと来たら半端なかったのではないだろうか。
現代版TLSの出演者に前作を観たのか?っと言う質問を記者会見でされていた光景がとても印象的で、主役のカンジ役の伊藤さん以外は観てないと言っていた。リカ役の石橋さんはマンガのみ観たと言う事で、観ない理由も観た理由も役者さんならではと思う回答だった。
ただ、作る側はきっとそうは行かないと思う。そして、そう感じさせるドラマだったと最終回まで観て感じている。
先代から脈々と引き継がれた名台詞や愛媛を舞台にした場面など、先代TLSファンを唸らせる名場面や新しい展開など要所要所に投入されていた。
僕の主観で言うと、今回は脚本家が女性であって、話の内容も限りなく原作に忠実に描かれていたのではないかと思う場面が多かった。
先代のTLSより一貫として完治目線で、完治がリカを最後に選ばなかった理由は分かっていながらも、その理由が現代的に解明されていて、スッキリ腑に落ちた人も多かったのではないかと思う。
そして、僕の様なTLSマニアおっさんから見ると、先代のTLSよりも三上健一と長崎尚子の恋模様が丁寧で、特に長崎尚子役の高田里穂さんにはMVPをあげたいくらいで、「あんな女性が恋敵なら叶わない!」っと思わせる完璧風に見えるお嬢様だった。
三上健一のクズっぷりを時代もあると思うけど、タワマン在住で車もスープラからポルシェのマカンになっていたり、医学部のボンボンを地で行くタイプを清原翔さんが丁寧に表現していた。
原作や先代のTLSを期待していた、特にリカの人選を期待していた人にとって、石橋さんもまた、現代のリカだと思える人選だった。
先代では脅迫状まで送りつけられた関口さとみ役の石井さんは、適役でとても声が印象的な女性だった。
最後に完治だ。
僕は現代版TLSのキャストは誰一人見たことも名前も聞いたこともない人達だったけど、完治役の伊藤さんは先代の完治と上手く暖簾分けできていたんじゃないかと思っている。
最近のフジテレビが、月曜9時に恋愛ものを当て込まなくなって久しい時代に、特に弁護士やら医者やら特殊捜査官やら、自分の周りを探しても余り見かけない職種を主人公にしたものばかりが放送される様になって、つまりは希少危惧種的な人種ばかりを扱う様になってから月9の恋愛ドラマは感情移入しづらくなっているのではないかと思ったりする。
そう言う時代に、今回のふつーのサラリーマンを演じきった伊藤さんはよく見つけて来たな〜っと思わせる人材だった。
月曜9時には自宅に帰れなかった。45分の週一回3ヶ月クールを我慢できなくなったセッカチな現代に、今回のTLSは2話同時配信と言う荒技で答えてくれた。
子供を育てることで手一杯だった僕に、コロナのせいもあるけれど、少し恋愛について考える機会を与えてくれたことに感謝している。
大河ドラマは2年先のドラマを選定して配役を選定して行く作業を繰り返している。今年の麒麟が来るは始まる前から配役等々に大騒ぎだった。放送が始まってからもコロナ禍でてんやわんや。
でも、個人的には大河ドラマは2年も先のことを放送される2年前に決断するのに良く時代を反映しているな〜っと毎回関心している。
そう言った意味で、先代のTLSが放送された平成の初めはバブルの絶頂からやや下火に向かっている状況だっと思う。
今回の現代版TLSも令和の始まり。世の中は大変な時代になってしまった。
そう言う時代を敢えて選んで放送されるTLSはきっと何かあるに違いない。
次回以降も不定期で東京ラブストーリーについて思うことを綴って行きます。