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和洋の魅力を併せ持つ貸切宿で、山梨のワインと15年来の友情に酔いしれた旅

体が溶けてしまいそうな猛暑の日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はここ1ヶ月ほどで、週末は山梨(2回)、千葉、福島に足を運び、また、最近は花火撮影が立て続いたこともあって目まぐるしい毎日を過ごしてます。
そして、今は京都での撮影を終え、灼熱の太陽から逃げるようにホテルに引き上げてこの記事を書いています。

通常の夏もそうなのですが、今年の夏は特に日常が戻ってきたということもあり、街も人もギラギラと落ち着かない様子です。
そんな熱気にあてられ、この夏を全力で楽しまないと、という圧を自分自身にかけてしまい、疲れが溜まってきている今日この頃です。
やっと落ち着ける時間を作ることができたので、もう1ヶ月以上も前のことになってしまいますが、るうふ蔦之家に宿泊した思い出を綴ろうと思います。

蔦之家は、ワインの地として有名な山梨県の勝沼町に佇む、一棟貸しの和洋館宿です。
昭和初期に建てられたとある実業家の生家だったそうで、和と洋両方の魅力を併せ持つ、重厚な空間が印象的です。

ワイン畑に出迎えられて

有り難いことに、今回も古民家宿るうふさんのアンバサダーとして宿泊させていただきました。
旅のお供をしてくれたのは、私の中学校時代からの親友です。

宿に到着した時はちょうど強い西日が差し込んでいて、光と影の美しさにため息をつきながらシャッターを切りました。

ステンドグラスの色が落ちるお風呂の壁

玄関に入るとすぐに目に入る書斎には、高級そうな造りの机と、その後ろには壁一面の本棚が並んでいました。
当時この家に住んでいた人も、こうして机に向かって物を書いたり、本を読んだりしていたのかな・・・と、時空を超えた想像が捗ります。

そのうち一つの本を手に取り、しっとりとした紙の質感に触れると、紙の本の良さを改めて実感させられます。

写真を撮ったりして過ごしていると、あっという間に夕方になってしまいました。

期待に胸を躍らせる私たちの前にスタッフの方が置いてくれたのは、前菜の桃とチーズのカプレーゼ。

桃のとろけるような甘味と、アクセントのように効いてくる塩味に悶絶し、思わず親友と顔を見合わせてしまいました。
少し汗ばむ暑さの中、よく冷えたスパークリングワイン(シャルドネだったかな?)との組み合わせが抜群に合います。

それから、スタッフの方が目の前の鉄板で次々に料理を仕上げてくれました。
お肉は優しく繊細に、野菜は豪快に、てきぱきと鉄板で焼いていく手捌きに目が釘付けになってしまいました。

マグロのステーキ
牛肉のステーキ
お肉は個人の好みに合わせて火の通りを調整することも可能

大袈裟でわざとらしいと思われてしまうかもしれないのですが、もう、どの料理も最高に美味しかったです。
Instagramにも、「るうふ蔦之家さんに泊まって何が一番印象に残っているかと問われれば、美味しいご飯!と答えると思います。」と記載しましたが、これは本心です。
美しい料理たちを写真に収めたい、でもすぐにでも食べてしまいたい、と2つの相反する気持ちの間で葛藤してしまいました。

その後に提供いただいたのは、桜海老とグリーンピースなどを混ぜ込んだ
炊き込みご飯。

ここまでの料理でかなりお腹が一杯になってしまっており、炊き込みご飯を食べ切ることができず申し訳なく思っていたところ、スタッフの方が「お夜食用におにぎりにしましょうか?」と申し出てくださりました。
食べ物を無駄にしてしまうという心苦しさが緩和され、暖かな気遣いにほっとしました。

最後に、レモンピールの入ったシャーベットで夕食を終えました。
どんなに満腹でも、シャーベットであれば次々に口に運びたくなるのは何故なのでしょうか・・・。

夕食の後は、外のお庭で焚き火にあたりながら、中学の頃の思い出話に花を咲かせました。

揺らめく火を見つめていると、そういえば通っていた中学校の行事でキャンプファイヤーをしたことがあったな、と、埃を被った引き出しを開けるかのように記憶が蘇ってきました。
あの頃は、自尊心と劣等感の間でふらふらと彷徨い、行き場のない感情を持て余していた苦しい時期だったように記憶しています。
それでも、親友とあんなことがあったねと話していると、それなりに充実した日々を過ごしていたのかもしれないと思えてきました。

お風呂に入ってからは、お互いまだ飲み足りない気持ちを確認し合い、長い廊下を進んだ先にある蔵でワインを見繕うことにしました。

夜更けにワインを開け、グラスに注ぐ背徳感。大人になって良かったと実感する瞬間です。
スタッフの方が握ってくださった炊き込みご飯のおにぎりをつまみに、時間が経つのを忘れてお喋りを楽しみました。

私は人付き合いがあまり得意な方ではないため、交友関係が狭くなりがちです。
学生時代の友人は、お互いの環境が変わることで疎遠になってしまうことが多いですし、写真という趣味を同じくした人の中でも、趣味の領域を超えた分野について深く話せる人と巡り合うことは滅多にありません。
そんな私にとって今回蔦之家に一緒に泊まった親友は、性格や生き方が異なるにも関わらず、約15年間にわたって変わらず仲良くしてくれる貴重な存在です。

恥ずかしくて直接伝えることはできないのですが、私は親友の存在に心から感謝しているのです。
一緒にいる理由や動機付けなしに、そして条件付きの愛情抜きに、純粋にこの人が好きだから一緒にいたい、と思える人がいること。
このような関係性を築くのは、夫婦や恋人、そして親子関係では必ずしも容易くはないと思うのですが、親友の存在が、私にはいざという時に頼れる拠り所があるのだという安心感を与えてくれています。

・・・少し重たい話になってしまいましたが、この日は結局、甲州で製造されている白ワインを2本空けてしまいました。
何故か、日本の政治と未来について熱く語り合っていたのを覚えています。笑

夜遅くまで割と量のあるお酒を飲んだのですが、翌日の朝にはお酒が残っている感覚が全くなく、むしろ空腹を感じるほどでした。

朝の庭で撮影した紫陽花。まだこの時期に咲いているのだと驚いた。

朝食には、色とりどりのおばんざいが目に嬉しいお重定食をいただきました。

おかずは少し濃いめの味付けなので、白米とよく合います。

朝食を終えて一息ついたところで、書斎の机の上に用意されていたシーリングスタンプ(封蝋)作りを親友に体験してもらい、私は写真を撮ることにしました。

火で炙って溶けた蝋を封筒の上に垂らしてから、葡萄型のスタンプを押していきます。

映画で見たような綺麗なシーリングスタンプが押せました!
葡萄の形が細かく、高級感を醸し出しています。

すぐそばに置いてあった葡萄色のインクをガラスペンに付けて文字を書くと、思ったより長い間インクが切れないことを発見したのも面白かったです。

その後は、複数人のるうふのスタッフの方々がいらっしゃり、様々なシーンで宿内の撮影をさせていただきました。
私の親友もモデルとして加わっていたのですが、違和感なく溶け込んでいて、なんだか嬉しかったです。

るうふさんの宿では、全ての宿に専属のフタッフさんがいらっしゃいます。
蔵の中には全自動麻雀卓があります。麻雀が好きな方は是非遊んでみてください。
蔵の2階はシアターになっており、ワインを片手に映画を楽しむのも良さそうです。
居間でおしゃべり。楽しそうで会話に加わりたくなります。

和気藹々とした撮影を終え、日常に戻るのが惜しい気持ちを抱えつつ、夫へのお土産の信玄餅と一緒に帰路につきました。

こうしてnoteの記事を書きながら写真を見返していると、スパークリングワインが唇の上で弾ける感覚、薄暗い蔵の中のひんやりとした空気、西陽の落ちる廊下で感じた足の甲の熱など、微細な記憶が呼び起こされました。
日々を忙しなく過ごしてしまいがちですが、こうして足を止めて過去を振り返り、その時々で自分がどう感じたのかに焦点を当てるのも、大切な時間なのかもしれません。

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