【コンタクトケースとさようなら】

　大学一年の秋、僕は浮気がバレて同棲していた彼女が家を出て行った。
　大学で誰もが羨む高嶺の花と言われていた彼女、大学一年生の僕に対して、大学四年生の彼女、ロックバンドが大好きな僕に対して、クラシックが大好きな彼女、自炊生活の僕に対して、実家親の手作りお弁当の彼女、ガールズバーのボーイの僕に対して、塾講師兼家庭教師の彼女、裸眼の僕に対してコンタクトの彼女。

　心地よい毎日に勘違いをした僕。優しすぎる彼女に対して刺激が欲しくなっていた僕は浮気をした。すぐにバレた、学校が終わって夕方家に帰ると彼女の荷物が全てなくなり、「さようなら」とだけ書かれた手紙。

　自分のしたことを何度悔やんでも彼女は戻ってこない。当然である。後悔の毎日の中彼女のコンタクトケースが出てきた。
「さようなら」とコンタクトケースに伝えて捨てたけど思い出は捨てられず今も僕は彼女のことを思い出して後悔をする。