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Genspark「世界初の協働エージェント(MoA) システム」

検索AI「Genspark」から、「世界初の協働エージェント(MoA) システム」が発表されました。

たまたま、Gensparkにログインしたところ、「あれ、画面が変わってるぞ?」と異変に気づきました。

ダッシュボードが刷新された

具体的なリリース内容については、以下のページに記載があります。

概要

複数モデルの統合による精度向上
MoAは、特定のタスクに特化した複数のAIモデルを組み合わせることで、それぞれの強みを活かしながら最適な結果を生成。
例えるなら、各分野の専門家が協力してプロジェクトを仕上げるようなアプローチ。

信頼性を高めるプロセス
各モデルのアウトプットを分析し、一貫性を確認。
モデル間の違いを反映・調整し、最も優れた要素を取り入れることで、洗練された最終出力を提供。

応用分野での信頼性
チャット: 多数の言語モデルを統合し、文脈や深さを保ちながら正確な回答を提供。

画像生成: 複数の画像モデルを使い分け、ユーザーが希望する結果に基づいたビジュアルを作成。

翻訳: 文脈や文化的ニュアンスを考慮した正確な翻訳を実現。

どうやら、まず複数のAIによる生成結果を出させて、モデル間の矛盾などを調整したり、優れた回答をピックアップしたりなどして、最終的により良い結果に統合するシステムみたいです。

実際に動かしてみる

さっそく動かしてみましょう。使い方は、モデル選択部分で「Mixure-of-Agents」を選択するだけです。

混合エージェントを設定した

質問内容は、これまでChatGPTやGeminiなどのモデルの出力テストに使ってきた、いつものプロンプトにします。

「日本で生成AIの活用が企業で浸透しない原因を深く分析してください。」

プロンプトを入力すると、複数のAIモデルが一斉に動き始めた。

複数のAIが同時に出力開始

動作していたのは以下の3モデルで、いずれも最もメジャーなテキスト生成AIの主力モデル。

主要なLLMを総動員

「Reflection」のところでは、複数のAIによる出力の分析が確認可能になっていた。どうやら各モデルの出力の強みと弱みを分析したうえで、共通点などを洗い出し、総合的な評価をくだしているようです。

各モデルの回答分析:

モデル1の分析:

強み:
文化的、技術的、経済的、法的・倫理的、競争環境という5つの明確な分類
各要因の詳細な説明と具体例
日本特有の文化的背景への深い洞察
弱み:
解決策の具体性が不足
デジタルトランスフォーメーション(DX)との関連性への言及不足
モデル2の分析:

強み:
実践的な改善提言の提示
組織的な視点からの分析
具体的な解決アプローチの提案
弱み:
経済的要因への言及が少ない
国際競争力の視点が不足
モデル3の分析:

強み:
技術的な課題の具体的な説明
データに関する課題の詳細な分析
時期(2023年11月時点)の明示
弱み:
解決策の提示が不足
業界別の違いへの言及なし
共通点と相違点:

共通する主要な障壁:
人材不足
企業文化の保守性
法規制の不確実性
異なる視点:
モデル1は文化的側面を重視
モデル2は組織的解決策を重視
モデル3は技術的・実務的課題を重視
総合的な気づき:

各モデルは異なる角度から問題を捉えており、相互補完的
技術的課題と文化的課題の両面からのアプローチが必要
具体的な解決策と導入事例の提示が重要

協働エージェントのアウトプット

このMOAシステムによる複数のAIの協働アウトプットは以下の通り。

日本企業における生成AI活用の課題と解決策

1. 現状分析と課題の全体像
背景: 日本企業における生成AI活用の遅れは、複数の要因が複雑に絡み合って生じています。
以下に主要な課題を体系的に分析します。

2. 主要な阻害要因
組織・文化的要因:
意思決定の特徴:

保守的なリスク管理体制
コンセンサス重視の意思決定プロセス
前例踏襲型の企業文化
組織構造の課題:

部門間の連携不足
ミドルマネジメント層の理解不足
変革への抵抗
技術・インフラ要因:
データに関する課題:

質の高い日本語データの不足
データの分散と統合の困難さ
レガシーシステムとの連携問題
インフラストラクチャー:

クラウド環境の整備不足
セキュリティ対策の不十分さ
システム更新の遅れ
人材・スキル要因:
専門人材の不足:

AIエンジニアの慢性的不足
データサイエンティストの確保困難
プロジェクトマネージャーの経験不足
教育・育成の課題:

社内のAIリテラシー不足
教育プログラムの未整備
人材育成の時間的コスト

3. 具体的な解決アプローチ
短期的な対策:
段階的導入戦略:

小規模なPoC(実証実験)から開始
成功事例の可視化と共有
明確なKPIの設定
人材育成施策:

外部専門家との協業
社内研修プログラムの整備
クロスファンクショナルチームの形成
中長期的な戦略:
組織体制の整備:

AI活用の専門部署設置
経営層のコミットメント強化
部門横断的な推進体制の構築
技術基盤の確立:

データ基盤の整備
セキュリティ体制の強化
システム統合の推進

4. 成功のための重要ポイント
経営層の役割:

明確なビジョンの提示
適切な投資判断
失敗を許容する文化の醸成
具体的な推進方法:

明確な目標設定
段階的な導入計画
効果測定の実施
継続的な改善サイクル

5. 今後の展望
生成AI活用の成功には、技術導入だけでなく、組織文化の変革と人材育成が不可欠です。
特に以下の点に注力することで、持続的な成長が期待できます:

経営層の強力なリーダーシップ
段階的かつ計画的な導入
継続的な教育・訓練
成功事例の共有と横展開
これらの取り組みを通じて、日本企業の競争力強化と業務効率化を実現することが可能となります。

Claude 3.5 Sonnetによる採点

例によって、Claude3.5 Sonnetに先ほどの回答を採点させたところ、OpenAIの「o1」と同スコアの89点の高評価でした。単に出力トーンの問題かもしれませんが、全体的にかなり簡潔な文体で個人的にはあまり回答に深みを感じていなかったこともあり、高スコアは正直意外でした。

構造化や解決策が評価されて高スコアに

他モデルとの比較

これまで行ってきた他のモデルとの簡易比較では、o1と並びトップになりました。なお、毎回同じ注意書きを繰り返して恐縮ですが、まったくもって厳密な性能比較ではありませんので、その点はご理解ください。

o1に並んだ

おわりに

検索AI「Genspark」の新機能、協働エージェント(MoA) システムを試してみましたが、いかがだったでしょうか。同じ問題に対して複数のAIの出力を利用する、というのは生成AIを利用する人であれば誰でも一度は考えたことのあるアプローチだと思いますが、実際にサービスとしてローンチされましたね。実際にどの程度精度が高まるかなど、今後の情報に注目していきたいと思います。

また、今回試したのは「一般チャット」機能のみでしたので、画像生成や翻訳などはこれから利用してみたいと思います。

それでは次のnoteでお会いしましょう。

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別モデルとの比較は以下の過去記事で行っています。


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