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『障害報告:システム不具合により、内閣総理大臣が40万人に激増した事象について:長谷川京』を読んだ
○読む前
Kindleのおすすめに出てきた。
本の表紙とタイトルの異常さに心惹かれ、読み始めた。表紙には人の顔が無数に並び、テレビの砂嵐みたいなザザッとした感じが不気味さを掻き立てる。
○ 障害報告:システム不具合により、内閣総理大臣が40万人に激増した事象について
・今で言うマイナンバーカードみたいな、国民皆管理統合データベース上の不具合で職業・総理大臣として多くの人が登録されてしまった。
・権限があればいろんなことができる。衆議院の解散を142回も試みられたか。『だれでも総理くん』なんてツールもできてどんどん総理が増える。
・働かなくても一ヶ月で、30万!?詳細は・・・大臣なんて、特殊な名前の大臣が設置された。
・システム担当者3ヶ月の減俸で済んでよかったね
・総理候補の中から正当な総理の職にある者を特定…え?元々の人に戻すだけでしょ?と思ったけど生体認証のデータもダメか。自分を証明するって難しいもんな。
・最終的な解決策が全員を総理にする!か。直接民主制が過ぎるよ。
○ エイリアンステイツ・51からの大統領選遊説
・エイリアンの血を引くアメリカ大統領が誕生した。ハーフの総理大臣っていないよなあ。混血はダメなん?
・宇宙難民を受け入れ、落ちてきた宇宙船を51つめの州とした当時の大統領の柔軟性よ。排他経済水域の拡大、太平洋に軍事拠点を作れるメリット…善意ではなく欲だったか。
・見た目が自分たちと違うと感情移入しづらい。じゃあ動物もの見て感動するのはなぜ?
・ぜぜぜぜと笑うのだった。笑い方も違うか!
・エイリアン第二世の身体構造はさほど人間離れはしておらず、人と同じような五体を持ち、顔も人間と同じように眻と鼼と腔があった。変な漢字!触手は名残があるのか。
・大統領に誰がなるかじゃなくて、どんな考えを持つ者がなるかが重要だから、エイリアンがなってもいいのかも?
・エイリアン2世のリュイと日本人のルーツをもつ僕。似ているところがあって惹かれているのかも。
・人間免許を更新し、〝人間化学物質〟の閾値をちゃんと満たしていることを証明した。我々が人間だと言い張れる理由はないよな。
・ルッキズムか。しょうがないことだと思うが。
・キツネは自分を現実に寄せるのが上手、ハリネズミは、未来を自分に寄せるのが上手。じゃあ私はキツネかも。
・エイリアンは寿命が短い。リュイも寿命を全うしようとしている。人間化学物質も低下して人として扱われない。
・死んでしまったリュイとの今までの旅をまとてめ動画サイトで公開。大統領選投票で候補者一覧に名前がないにも関わらず、数万人がリュィの名前を投票用紙に書いた。物語が強力な武器になった。
・リュイが旅の中でしてきたポッドキャストのリスナー、ニコラスが大統領に。エイリアンが先住民であった過去を秘密のままにしていく。
○ 極道會襲名式(ヤクザバース・トランザクション)
・仮想東京ネオ新宿イチの歓楽街、歌舞伎町X。すごくネオンがギラギラしてそう。電脳世界。
・裏取引(ビジネス)とか高級車(ベンツ)とか読み替えが多いな!
・氷河期に突入した地球で、脳転移技術と量子コンピュータ、そして、社会実装された仮想世界によって人格も肉体も電子の世界へ
・死と暴力が余すこと無く移植したのは何故か。平和に暮らせよ
・肉体の優劣は処理速度に依存する。武来組の組長ムラサキは負け、刑務所に入っていたミトラだけが残る
・魔導鏡號(マジックミラー号)によって仮想世界と現実をつなぐ。機械の体で現実へ
・計算資源を賄うために大昔の数多の幹部たちは、自らの脳を捧げ、バイオコンピュータとなった。
・仇である九鬼は現実世界からきたやつだった。このバイオコンピュータたちを利用し力を得ていた
・背中から飛び出したケーブルを極道の遺体と接続して襲名(ジャックイン)し、九鬼を倒すミトラ
・壮大だった。任侠物はあまり見ないから、他の作品もこんな感じ?粋な姿見られる?
○ EXO2100決勝_五年目の真実_最終版_本当の決定稿_完成バージョン.xls
・こういうタイトル付けがちだよね、わかる
・競技人口が多いスポーツがExcel?
・『敷き詰められたその純白のセルの内部に、多くのプレイヤーは宇宙を見出す』エクセルプレイヤー、アトラスの言葉。美しい数式なんて表現するもんな。そういうこと?
・アトラスは、エクセルスポーツ界の〝禁じ手〟を行ったスキャンダルによって表舞台を追われ、今では英雄ではなく、日本のエクセル文化を殺した戦犯とされている。
・禁じ手は閏年に関係するバグによるもの。
○ 太古から現代に紡がれる日本文化の歴史シリーズ:第抵シ撰シ托シ回 死亡遊戯(デスゲーム)
・娯楽の一つに死亡遊戯
・日本最古の神話にもデスゲームの記載が
・竹取物語もデスゲーム?まあ確かに宝を持ってくるときに死んでるけど。ゲームマスターがかぐや姫か。
・爪楊枝にフグ毒をつけ、致死量にギリギリ達しないようにするといった簡易な死亡遊戯
・電子化した世界で行われる死亡遊戯はもはやただのゲームだな
・ブラックホールを使用するようななったが、なぜか復元できてしまった。敗者なのに勝者になってしまう。不意に出てきた「おまえ」の画像には驚いてしまった、こわ
○読み終わった後
ふだんSFって読まないから新鮮な気持ちで読めた。出てくるテーマ自体は身近に感じる物ばかりなのに話を進める方向性が変わるだけでこんなにも奇妙な世界に人を引き込んでいくんだな。すごかった。タイトルのパンチ力に惹かれて読み始めたけど、出会えてよかった。