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ハチミツ値上がり 健康志向で世界が注目

世の中の様々な値段がどうやって決まっているのかを解き明かす「値段の方程式」。今日のテーマは『ハチミツ』です。
イギリスにこんなことわざがあるのをご存知ですか。

ハチミツと人類は有史以来長く関係を築いてきました。古くは紀元前8000年スペインの洞窟壁画にハチミツを採取する人が描かれています。日本では徳川家康の孫娘、千姫が輿入れするときに多くのハチミツを持たせたことが伝わっています。昔はかなり貴重だったことがうかがえます。そのハチミツの価格が上がっています。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

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ハチミツの今年5月までの平均輸入価格は1キログラムあたり433円、昨年の平均と比べても1割高く、10年前と比べるとほぼ2倍です。

値上がりの理由は主に4つ

天候不順についてはカナダで高温や干ばつ、 東ヨーロッパは開花時期に多く降った雨が響きました。カナダと東ヨーロッパのハンガリーからの輸入量は合計で日本の輸入量の1割以上あります。 輸入業者は「ここ数年はどこかしらの生産国で天候不順や異常気象などの影響で不作になっている」と話します。 

コロナ下で注目された栄養素

次に健康志向の高まりです。コロナ下でハチミツの栄養素が注目されました。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、酵素、ポリフェノールなど150種類以上の栄養素が含まれています。同じ甘い砂糖(上白糖)と比べてもカロリーが低いのも特徴です。ただし、赤ちゃんは腸内環境が整っておらず、食中毒になる可能性がありますので、与えないでくださいという注意点もあります。
ロシアのウクライナ侵攻も影響しました。生産国ランキングでもウクライナは5位にランキングしています。

日本の製品価格にも影響が出ています。日経POSデータで店頭価格を見ると、ウクライナ&ブルガリア産蜂蜜の値段が1年前より2割高くなっています。

国産も値上げを検討する動きが相次いでいます。容器や梱包資材などさまざまなものが値上がりしてコストアップ要因に。近年はミツバチが天敵のダニに襲わて減少するケースもあります。秋田県湯沢市のサクランボの今年の収穫量は平年のおよそ3割にとどまっているそうです。開花の時期に低温や降雪などが重なり、ハチが飛ばなかったことが影響したようです。

値段の方程式です。

ハチミツ値上がり=健康志向の増加+天候不順

ミツバチは花の蜜をとるときに、野菜や果物の花に授粉させるという大事な役割を果たしています。世界の食糧の90%を供給する100種の農産物のうち、70種以上がハチによって受粉が媒介されていると言われます。食糧生産に重要な役割を果たしていますが、FAO(国連食糧農業機関)は「世界中で絶滅の危機に瀕している」と警鐘を鳴らします。

今回、昨年9月にオープンした観光施設「はちみつとミードのはちみつ工房」(千葉県君津市)で取材してきました。

この施設はハチミツのことを知ってもらおうとハチの生態を見てもらったり、採れたてを食べてもらったりという見学ツアーを毎日、無料で開催。季節の花のハチミツや、ハチミツとレモンのジュース、さらにハチミツから作る「ミード」というお酒などオリジナル商品を直売しています。
運営する蜂蜜工房の井嶋幸裕代表取締役は「イチゴの農家さんやスイカとかメロンとかナシとかの農家さんにレンタルでハチを貸したりしています。人間の手でやっていたらもとてもじゃないけれども(受粉が)追いつかないところを、5000匹のハチたちが働いてくれます。ハチが減ればかなり農作物に影響が出るんじゃないか」と危惧しています。食糧問題が今よりも深刻になることは確実です。冒頭で紹介したことわざ『ハチミツの歴史は人類の歴史』。この歴史をもっと長く続けていけるように気候変動への対策を含め、人間は努力しなければいけませんね。



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