アルバイト時給揺さぶる消費増税
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラス」。9月5日の「値段の方程式」のコーナーでアルバイト時給を取り上げました。色んな業種で人手不足が深刻なことは皆さんもご存じかと思います。そのため、アルバイトの時給自体が上がり続けています。
求人情報大手が8月20日発表した三大都市圏(首都圏、東海、関西)の
7月のアルバイト・パート募集時の平均時給は前の年の同じ月と比べて23円高い1058円でした。
時給は過去最高水準
過去最高水準です。
伸びが際立つ2業種
人手不足は今、あらゆる職種で言われていますから、ここまでは予想がつくと思います。今回、値段の方程式でアルバイト時給を取り上げたのには消費増税という理由で2つの業種の伸びが際立っているからです。
まずはこちらの業種。「デリバリー(配達)職」です。
アルバイト求人情報サービス「an」を手がけるパーソルキャリアの調査では、7月の全国の「フード系」の仕事全体の募集時平均時給は1006円で前年同月比1.4%高くなりました。フード系のなかで「デリバリー」スタッフは
2.7%高い1055円でした。レストラン、厨房・キッチン、その他フード系と比べても高い。デリバリーの時給の伸び率はフード系全体よりも高い傾向が続いています。
なぜデリバリー職の時給伸び率はフード系全体よりも高い傾向が続いているのでしょうか。その理由は10月の消費税率10%への引き上げと同時に導入される軽減税率です。
まず外食は購入方法で税率が異なり店舗の中で飲食する場合は10%。テイクアウトや宅配の場合は8%になるため、宅配サービスの利用が増えると予想され、各社の配達人材獲得競争が過熱しています。
もともとデリバリーを活用していた宅配のピザやすし店との奪い合いも激しくなっています。
今の若い人は自動車やバイクの免許を持っていない人も増えてきました。また雨や強風といった荒天時の業務が過酷なことなどから敬遠されがちです。
都内のハンバーガー店を取材しましたが、時給は店内の接客などが1015円、
デリバリーは1200円に設定しているとのことでした。
お店の人に話を伺いました。
「配達職は人気がありません。当店のスタッフで運転免許を持っている人にデリバリーの仕事をすすめても反応は悪いです。人材確保するために時給を高めに、さらに地域平均より高めの設定をしています。それでも応募が少ないのが現状です」
コールセンターも求人増
もう一つ、注目しているアルバイトはコールセンターです。事務系、受付、秘書、事務アシスタントなどの中でもこのように高め。
来月の消費増税に合わせて始まるキャッシュレス決済を使ったポイント還元を支援する、国の補助金事業が始まります。決済事業者の問い合わせ対応業務が増えるとみて、コールセンタースタッフなどの採用が拡大。時給を押し上げる一因になっています。
毎年10月には最低賃金改定も行われます。an編集長の川合恵太さんはこのように話しています。
今日の値段の方程式はこうなります。
アルバイト時給は当面上がり続ける
下がる要因は見当たりません。
放送の最後にキャスターの豊嶋広さんから質問がきました。「働き方改革法の同一労働・同一賃金で、アルバイトに賞与みたいな話が出ていますね。努力義務規定で強制じゃなかったと思いますが、人材獲得競争が激しくなれば出てくる話かなと思います。いかがですか」
確かに賞与を出すところも出るでしょうが、企業はコストアップをなるべく避けたいところ。「今後は自由な時間設定、例えば2時間だけの勤務など柔軟な働き方を提示して、職場の魅力を高めようという動きが広がってくるでしょう」と答えました。季節的にも年末に向けアルバイト時給は上がってくる時期です。過去最高水準を更新するのも時間の問題とみています。