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世の中の様々な値段に関わる疑問を解き明かす「値段の方程式」。今日のテーマは「猛暑の夏 進化するかき氷」です。ことしも夏は暑いですよね~。
一般的に気温が22、23度を超えるとアイスクリームが売れ、30度を超えてくると氷菓やかき氷が売れるようになるそうです。今年は東京でも6月あたりから30度を超える日が増えています。かき氷は好調です。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

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まずはかき氷の原価から見てみましょう。かき氷店や屋台で使われている氷は氷販売店(氷屋)から仕入れています。

業務用の氷の最小単位は1貫目(かんめ、3.75キロ)で約500円。1貫目の半分が半貫目というサイズで、一般的なかき氷機にセットする大きさです。半貫目で10杯程度作れます。
試算しますと250(円)÷10(杯)=25円
これがかき氷1杯あたりの氷の原価ということになります。
次に氷にかけるシロップは1.8リットルで1000円前後。これで25杯程度作れます。
1000(円)÷25(杯)=40円
1杯あたりのシロップの原価です。氷とシロップで材料費は65円です。仮に500円で販売すれば原価率は13%です。
もちろん、業務用かき氷機には10万円以上しますし、場所代や人件費などもかかりますのでので原価はもう少し高くなります。 

キーワードは「高級化」

氷とシロップだけのシンプルなかき氷もおいしいですが、この夏のトレンドは進化したかき氷。キーワードは「高級化」です。東京・浅草にある「よろず茶屋444」を取材しました。出てきたのがこちらのかき氷「まるごと めろんみるく」です。

3種類のメロンを使っており、見た目のインパクトがすごいです。使っているメロンは2個分。すっきりした甘さのメロンと中に入っているミルク氷の相性は抜群。冷たくて暑さが吹っ飛びました。価格は3850円。多い時で1日50個売れるそうです。「この夏は週末の予約がすぐいっぱいになる」と店主が話していました。

氷販売店も大忙し

町の氷屋さんも大忙し。東京・渋谷の「冨士氷室」を12年ぶりに訪れました。取材したのは7月下旬。一番の忙しい時期で氷を何種類にも加工し配達していました。こちらでは1貫目の角氷を400円で販売しています。「電気代・配送コストなどで仕入れ価格は上がっている。業界は秋にかけて10~30%くらい上がる」と話しています。 
きょうの値段の方程式です。

「かき氷価格↑=猛暑で人気+高級化+電気代高騰」

節電で注目

かき氷は夏場の定番デザートですが、その時々の社会情勢で売れ行きが伸びる節目があります。業界で指摘されているのが東日本大震災の影響です。2011年に震災が発生した際に、日本の全ての原子力発電所が稼働を停止しました。電力不足が懸念されるなか、夏場の節電でした。なるべく電気を使わず、夏の暑さを乗り切るかに関心が集まりました。テレビの情報番組では、手頃な涼として、かき氷の話題を取り上げることが急増しました。今年の夏も電力不足で節電が言われる一方、この猛暑ですから震災時と似たような状況になっています。最近はインスタグラムに代表されるSNSの普及も追い風になっています。

写真映えの影に製法技術

かき氷がより写真映えするようになった作り方があります。「エスプーマ」という半液体状の食材にガスを注入し、食材を泡状にする作り方です。かき氷の場合はシロップを泡にして、かき氷の上にふんわりのせます。シロップをそのままかけると、かかった部分の氷は溶けてしまい、形が崩れます。エスプーマで作ると長く形を保て、いい写真が撮れますね。

店頭価格も上昇

スーパーやコンビニで売っている氷の値段も小幅ですが上がっています。日経 POSデータで人気商品の「ロックアイス」の店頭価格を見てみると昨年夏は4回目の緊急事態宣言でガクッと下がりました。今年はジリジリ上がっています。

日本かき氷協会によりますと、かき氷店はゆるやかに増えているそうですが、新規にオープンした店が高い家賃や冬は売上が少ないことからすぐ閉店してしまうケースが多いそうです。一時期のタピオカブームのようにお店が爆発的に増える状況ではなさそうです。この夏は熱中症に気をつけながら、いろんなタイプのかき氷を食べ歩きするのも楽しそうです。




 

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