消費者の安心感をどう得るか 教科書は「EVERLANE」
チャーリーさんの「丸分かりビジネスモデル」。今回は米国のアパレル企業「EVERLANE(エバーレーン)」を取り上げています。
アパレル製品は季節ごとの流行があるうえ、価格に対する消費者の不信感が強いです。夏や冬のバーゲンがそのいい例です。「バーゲンまで待てば安くなる」という消費者が増え、正価販売が難しくなりアパレル各社の収益を圧迫します。そもそも正価とはなにか、という疑問もあります。
エバーレーンは自社で製造・販売するすべての商品の原価を公表しています。電子商取引(EC)の強みを生かし、中間流通を省きコストを削減しました。有名ショップを名指しし、「当社の製品はあの有名ショップと同じ品質でこの価格です」とうたいます。掟破りの手法ですが、これも消費者の納得感につながっています。
アパレル製品の生産は労働集約型です。日本のアパレル業界は生産コストを抑制するため、まず中国、さらにタイやミャンマー、バングラディシュへと製造拠点を移してきました。「お客様に安く商品を提供する」という使命のために、より安い労働力を求めていくのは間違いではないでしょう。一方で、アパレル製品の価格に対する消費者の不信感はそのままにしていたのかもしれません。
日本のアパレル業界ではファッション通販「ZOZOTOWN」の一人勝ちといわれます。運営するスタートトゥデイはアパレル各社からの委託販売という形態で、在庫を持たないためリスクを減らせます。何かと話題の前沢社長のキャラクターもあり、宣伝コストも抑えられる強みを持っています。購入額4999円以上なら送料無料⇒送料自由。お客様が決めてください⇒一律200円と送料をめぐる混乱もありました。プロ野球球団の保有に意欲を見せたほか、最近も前沢社長が月旅行に行くという話題を振りまいたりしています。テレビCMをうたなくても各メディアがこぞって取り上げます。こちらは会社の知名度向上やPR費の削減につながっています。消費者の安心感につながっているかは分かりませんが。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO35710890V20C18A9H46A00/
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