中古車価格が上昇 対ロシア輸出低迷の影響は?
中古車の価格が上昇しています。中古車オークション最大手のユー・エス・エスによると3月の平均成約価格は91万1000円。22カ月連続で前年同月を上回っています。2月には100万6000円と統計を遡ることができる2000年以降で最高値となりました。
新車の生産・販売低迷響く
値上がりの理由は新車の生産・販売台数の低迷です。重要な部品の半導体不足による生産調整を背景に新車の納期がどんどん伸びています。車種によっては購入しても半年や1年までかかるケースもあります。代わりにすぐに乗ることができる中古車の需要が大幅に伸びています。
一方で市場に出回る中古車は減っています。そもそもクルマを購入する際、これまで乗っていたクルマが下取りという形で入っているのが、中古車の大きな発生源です。新車販売が低迷すれば下取り車が減り、中古車が減るということです。中古車の在庫は減り、価格上昇につながっています。
ロシアのウクライナ侵攻の影響は
USSの中古車オークション価格を見ると3月は最高値をつけた2月に比べ下がっていますがこれは季節要因です。例年、中古車相場は2月から3、4月にかけて相場が下がる傾向にあります。新生活や異動によって車を売却する人が増えるからです。ただ一部では、ロシアによるウクライナへの侵攻も影響があったようです。
日本中古車輸出業協同組合によると2021年に122万4924台が日本から海外へ向けて輸出されています。輸出先を国別にみると全体のおよそ13%にあたる16万台ほどでロシアがトップです。最大の輸出先だったロシア向けが経済制裁で大幅に減っています。
USSの池田浩照・常務オークション運営本部長は「侵攻が始まったのが2月の下旬。3月の第1週だけ、成約率に若干の下落が見られたが、その後はすぐに戻った。ロシア向け輸出の減少が価格に影響しているとは考えにくい」と話しています。
ロシア向けは日本の中古車輸出の1割強を占める最大市場ですが、年約670万台規模の国内中古車市場から見ればわずか数%にすぎません。中古車市場全体では大きな影響はなさそうです。
新車より高い中古車も!?
中古車不足の中、店頭では新車より中古車の方が高いというケースも目立ちます。特にトヨタ自動車の「ランドクルーザー」、ベンツ「Gタイプ(ゲレンデヴァーゲン)」などSUVの人気車種は引っ張りだこ。トヨタのランドクルーザー200ZXは新車価格が697万4000円。中古車情報誌では中古で1080万円の掲載もあり、新車の1.5倍高くなっています。
新車生産、正常化に時間
今後の中古車価格はどうなるのでしょうか。カギを握るのが自動車各社の生産動向です。ホンダは4月21日に鈴鹿製作所の生産台数が2月時点の計画と比べて5割減ると発表。トヨタも5月の世界生産を1割程度引き下げるほか、国内9工場の最長6日間停止します。まだまだ、半導体不足で新車の生産が正常に戻るのには時間がかかりそうです。納期の遅れも続きます。4月以降は中国・上海の都市封鎖(ロックダウン)による部品調達や物流停滞の影響が拡大しています。「高い中古車」はまだまだ続きそうです。