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ベビーシッター料金上昇 女性活躍推進への影響は

世の中の様々な値段がどうやって決まっているのかを解き明かす「値段の方程式」。今日のテーマは「ベビーシッター料金上昇 女性活躍推進への影響は」です。間もなく新年度を迎えます。生活環境の変化に伴いお子さんをベビーシッターに預けようという方もいらっしゃると思いますが、料金も上昇してきました。

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜〜金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

利用料金、最も多いのが「月1万〜3万円」

事業者が加盟する全国保育サービス協会の調べによりますと2021年度の1時間あたりの平均利用料金はおよそ2550円。5年前より360円(16%)以上上昇しています。東京に限ると3300円ほどの水準です。

協会の利用者アンケート調査では1カ月あたりの利用料金で最も多かったのが1万円から3万円未満との回答。次いで3万円から5万円未満で、この2つを合わせると44%になります。

都市部中心に利用者増加

料金上昇の背景にあるのはなんでしょうか。まずは都市部を中心に利用者が増えていることです。利用を後押ししているのが、国や自治体の支援制度の拡充です。全国保育サービス協会に申し込み、承認を得た企業が従業員に対しシッター割引券を配布できる仕組みがあります。2021年度からは子ども1人あたり1日4400円まで使えるようになり、実施企業や利用枚数が増加しました。

利用者急増の一方、シッターの人数自体は減っているんです。全国保育サービス協会に加盟する事業者に登録している人は2021年度はおよそ1万3000人で前の年に比べて6000人以上減少しています。

コロナの影響なども考えられますが、シッターには国家資格がなく非正規雇用が多い。労働時間もフルタイムでないため、安定した収入を得られないことも人手不足の背景にあるとみられます。

ここで今日の方程式です。

料金の上昇は国や自治体の支援制度拡充による利用者急増にシッターの人手不足が加わったということだったんです。

女性活躍支援、業界に新しい動きも

値段の話からはちょっと離れますが、働く親たちの不安や負担を軽減するとともに人手不足を解消しようという動きが出ています。病院でフルタイムの勤務をしていない助産師にシッターとして活躍の場を提供する事業者が登場しました。ベビーシッター派遣サービスのジョサンシーズは助産師がシッターを務めているのがウリです。渡邊愛子代表は「助産師は看護師の資格も持っているので『お子さんがこういう状態だからミルクの量を増やしてみませんか』など家族にあった子育てのアドバイスができるのが強み」と助産師を起用するメリットについて話します。
入会金は無料。年会費のかわりに月会費を徴収するというシステムを取っています。シッターが必要な期間がどのくらいあるか見通しがつかないことから年会費が経済的負担になるのでは感じる人も多いようです。そのため、積極的に利用してもらうためにハードルを下げているということです。


利用者を取材しました。生後10か月の女の赤ちゃんを育てる埼玉県の木綿裕美さんはこれまで月に2回ほど産後の骨盤矯正の際に利用していました。4月からは職場復帰するため、利用頻度は増える見通しです。木綿さんは「自分も子育てに不安な中で人に預けるのがすごく不安だった。助産師がみてくれるので安心した」と話します。利用者にとっては育児の専門家である助産師がシッターを務めてくれるということは、単に子どもをみてもらうだけでなく、産後ケアのアドバイスなどがもらえるというメリットがありそうですね。
ジョサンシーズをはじめ0歳0カ月からの低月齢の赤ちゃんを受け入れるところが増えています。その背景には女性の社長や起業家の比率が徐々に増加していることがあります。女性の社長はおよそ58万人でこの12年間で2.7倍に増えました。起業家のうち女性の比率は22%に上昇しました。実際、ジョサンシーズは起業家や役員の利用も増えているそうです。なるべく早く職場に復帰しなければならない女性を後押ししたいという思いもあります。

男性側からのニーズも増えそう

女性の活躍推進や少子化の抑制には男性の育児参加も欠かせないといわれています。ただ、男性の育休取得率は2021年度で14%と依然として低いのが現状です。取材した木綿さん夫妻が最初に利用したきっかけは、夫に育児の仕方や子どもの抱っこの仕方をトレーニングしてもらうためだったそうです。今後は育休を取る男性のための育児の先生として活用するケースも増えるかもしれませんね。




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