Instanceって何と訳す?
MathML等の技術報告書の勧告の手続き等を定めたW3C手続き文書(2023年6月12日版)に、"A distinct instance of the W3C Council"という文言が出てきます。さて、この"instance"って何と訳すと良いでしょう。
プログラミング言語のオブジェクト指向の分野では、"instance"は「インスタンス」と訳されます。クラスとして定義されたものの、実際に動く部品を指す用語です。そのままカタカナで表現されたものですが、それだけ日本語にはこれに馴染む言葉がないということでしょう。
また、"for instance"という表現があります。これは"例えば"という意味ですが、"instance"に実例という意味があるので、「実例を示すと」ということかと思われます。
それでは、本題の"A distinct instance of the W3C Council"はどう訳すと良いでしょう。筆者は「W3C評議会における個々の評議会」と訳してみました。
"W3C Council"は、組織としてのW3C評議会を指している思われます。一方、"instance"は、実際に開催される評議会を指していると思われます。日本語だと、組織としてのものも、実際に開催されるものも同じ言葉で表現することがあります。例えば、国会の場合も、組織としてのものも、実際に開催されるものも国会と呼ばれます。よって、どちらも評議会と訳すことで良いのではないかと考えています。
筆者個人としては、先にカタカナ語のオブジェクト指向の「インスタンス」を知っていたので、評議会の文脈で"instance"が出てきたことに戸惑いもありました。ただ、こういう戸惑いも言葉の面白さかと感じています。
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