MathML 4.0が2年ぶりに更新された
2024年10月28日、MathML 4.0が、初期草案(2022年9月8日)から2年ぶりに更新されました。なお、筆者によるMathML 4.0 日本語訳もご覧になれます。
今回、主な更新点について見ていきたいと思います。
mlabeledtr要素の削除
mtableで式を並べて書くときに式番号を付けることができる要素でした。実態としてほとんど実装されておらず、今回削除されました。
intent属性の大幅更新
意図している音読方法を表すための属性であるintent属性が大幅に更新されました。MathML 4.0から加わった要素ということもあり、今後も大きく更新されていくものと思われます。
空要素<none/>に代わって空要素<mrow/>を使用
mmultiscriptsで添え字が省略された箇所を表すのに、空要素<none/>ではなく、空要素<mrow/>を使用するようになりました。次に示すコードは、MathML 4.0 仕様書の例を抜粋したものです。
<mmultiscripts>
<mi> F </mi>
<mn> 1 </mn>
<mrow/>
<mprescripts/>
<mn> 0 </mn>
<mrow/>
</mmultiscripts>
上の例は$${_1 F _0}$$のMathML表記で、<mrow/>のところは、元々は<none/>が使われていました。
Automatic Publishingになった
メーリングリストwww-math@w3.orgの10月17日のメールで提案されているように、Echidnaを利用したAutomatic Publishingになったようです。詳しい日本語の文書が無いので正確な解釈でないかもしれませんが、https://www.w3.org/TR/に置かれている文書が、Editor's Draft並みの頻度でEditor's Draftにあわせて自動更新されるようになるようです。
すぐに最新の情報が反映されることは大きなメリットですが、頻繁に更新されて安定しないのは翻訳者泣かせでもあります。
今回、MathML 4.0の主な4つの更新点について見てきました。Automatic Publishingになったこともあり、2024年10月28日以降も何度か更新されていっています。今後、MathML 4.0がどのように変わっていくのか注目していきたいです。