しんでし!2


「おぉ勇者よ。しんでしまうとはなさけない!」
王様の声が響き渡る。意識がゆっくりと戻ってくる
ぼんやりとしていた視界も開け、今自分が置かれている状況を把握する

地面にメリこんだ後、
「石の中にいる!」って天の声が聞こえた所までは覚えている。
あろうことか敵ではなく自分の指で・・・

恥ずかしさと共に、自分のスキルの恐ろしさを再確認した。
まぁ・・全裸なのも再確認したんですけど。

「まったく・・30分も経たないうちに戻ってくるとは。其の度に全員招集する我が身にもなれい!」

と王様から謂れのない批判を受ける。
いやいや!俺だってこうなるとは思ってなかったし!
メリコミ死とかアメコミか!という語呂の良さに
一人でニヤニヤしているとさらに怒られた。

「おぬしが2回も邪魔するから、わしの大好きなミット・マングロー〇主演のミット黄門が終わってしまったではないか!」

今日王様おかしくない?

誰だよミット黄門って!
今は某金八の武田鉄〇さんが黄門様なんだぞ。
お銀ももういないんだぞ。ジェネレーションギャップ!!
主演ミットじゃなくてミッツだろ。間違えちゃいけないよ。
「人という字は」じゃなくて「ミットっという字は」って突っ込みたい。

そもそもミット黄門ってどんな番組だよ!

助さんがキャッチャーで格さんがピッチャーの青春スポーツ番組?

格さん「俺のこの魂の1球!一休さんのトンチでも返せないぜ!」
助さん「どんなネタでも拾ってやる!だから滑るのを恐れるな!」

ミット黄門(67)「ミットを甲子園に連れてって!」

はい。もうカオスすぎる。どんな番組だよ!
おっさんずラブもびっくりだよ!

格さんピッチャーなら、格さんだけにインロー(内角低め)が得意ってか?

ニカク「山田くん、座布団全部持ってって!」

妄想の中で格さん2人でニカクさんだったんだとか思いながら
山田くんと座布団防衛戦をしているうちに王様のお小言が終わった。

「次こそはマオウを倒してくるがよい」

ドヤ顔で決めセリフを告げると満足そうに王様がほほ笑む。

ここでふと感じた疑問を投げかけてみた。
「王様、一つ質問が・・・」
決めセリフ後のやりとりに王様は不機嫌そうに「なんじゃ?」と返す。
「マオウってどんな姿をしているとか情報をいただけるとありがたいのですが・・・」

「ふむ・・」と王様は返し、思い出すように言葉を選びながら話す。

「マオウはな・・・昼と夜は普通のおっさんの姿をしておる。だが・・」
「だが・・?」
「朝になるとマオウとなる。」

何その不思議設定!朝じゃないと倒せないの?

「そうなんじゃよ。それゆえに、このマオウの呼び名は、あさだま」

ちょおおおおおおおおおっとぉまったあああああああああああああああ!
危ない。何か大切な物が終わってしまう音が聞こえた。
そんな大天使様倒せるわけない。
ってか昼夜はおっさんって!その間に倒せばいいじゃん。

「おっさんモードの時は戦闘力53万なのじゃよ・・・」

何そのドラゴン〇ールのフリー〇みたいな戦闘力!
「僕にホコリをつけたのは、親以外では君が初めてだよ」
とか言わせたらやっとフラグ立つ!みたいなレベルじゃん。
どちらに転んでも勝ち目がない戦いを強いられる身にもなってくれ・・

いや、まてよ・・・

スキルで力全振りにして一発でも当たれば勝てるのでは?
避けられて終わる気もするけど・・
そんな考えをしながらも王様に礼をした。

「ありがとうございます。あと、もう一つお願いがあるのですが・・」
「なんじゃ?」
「洋服を下さい・・・」

王様から
「歴代の勇者も全裸だったからそういう癖があると思った」
と言われながらも、
洋服を着てお城から出ることができた。癖ってなんだよ。ないよそんなの!

服を着る時に気づいたのだが、力が元に戻っている。
どうやら「死に戻り」をすると
変化させた能力も最初のステータスに戻るようだ。
もしかしたら効果時間とかそういう制限があるのかもしれない。

それにしても。
どうしてこの世界はこんなに汚れちまったんだろう?
俺を見る世間の目はまるで
ガラクタになっちまった壊れたおもちゃを見るような
価値がねぇって淀んだ目をしてやがる
恨むなら人じゃねぇ。こんな世界を作った世間を恨むんだ。

涙は流すんじゃねぇ。食いしばってでも、しがみついてでも
生きて生きて生き延びて。テッペン取れりゃそれでいい。

裸エプロンを用意された人間の。最後の悪あがき。

なんでやねえええええええんんんんん!!!!!!
裸エプロンって!もうほぼ全裸じゃん!どこの新婚夫婦だよ!
って逆だよ!俺、男!女の人の裸エプロンはいいけど、男の裸エプロン・・

頭の中で「じぉんれのそ」の「イマジン」が流れてくる。
想像してご覧。っていやだあああああああああ!!!

あれ。かわいい男の子の裸エプロン意外と似合うし、
むっちゃマッチョだと逆にそれがアクセントにな・・らないな。
「冷蔵庫みたいだよ!決まってるよ~!」というあのお決まりのフレーズで
ポーズを決める裸エプロンマッチョマン

だめだ。今日の俺、何かがおかしい。

王様の洋服のチョイスに涙しながら全力で走ってビューの元へ。
きっと明日の回覧板で「じょぉかぁ」が出現とか書かれるんだろう。
息を切らしながらビューの家へと飛び込む。

「早かったのぉ?」
ゆったりとお茶を飲みながら従者に俺がめり込んだ穴を修復させている。

「そりゃ裸エプロンだから・・・」
「そんな事より、死に戻りの秘密が1つわかったぞ。どうやってお城に運ばれていくか。」

ん?長い歴史の中でそれは解明されてない謎だったの?
確かに。めり込んで天の声の後どうなったかは気になる。

「学説にも諸説あってな。そのうちの1つが有力とされていたのじゃが・・・」
「ちなみに、どんな学説なんですか?」
「パトラッシュネロシンドロームじゃ。」

ん?パトラッシュネロシンドローム?どこかで聞いたことがあるようなないような。

「天使たちがゆっくりと体を持ち上げお城へと運ぶのじゃ。その学説が正しかったのじゃよ。」
あぁ・・パトラッシュ・・・僕もう疲れたよ・・・のあれね。
幻想的なシーンが蘇る。
って今日は特に異世界の記憶が流れ込んできてるな。

「じゃあ、天使が運んでいったんですね」

「いや、大柄のガチムチお兄様が5人くらいで来て、おぬしを引っこ抜いて持っていきおった。」

おおおおおおおおいいいいいい。俺のファンタジー返して!抱きしめた心の小宇宙(コスモ)も返して!

「リーダー格の人から「500円」要求されたんで、払っておいたぞ。」
え?お金取るの?もしかして、所持金がなかったら
身ぐるみ剥いで送料の代わりに持ってくの?
「そうらしいの・・モンスターがお金を持つ理由もこれで判明したのじゃ」

・・・・・ここはとあるモンスター村。
子スライムは初めての旅とあって期待に胸・・はないな。
期待にスライム体を膨らませている。
お母さんスライムは我が子の旅立ちを心配そうに見つめている。
「ねぇ。武器は持った?」
「手がないからもてないよ母ちゃん。」
「ねぇ。お金は持った?」
「飲み込んでるよ。なんでニンゲンのお金が必要なの?僕ら使えないのに」
「あんたが倒したニンゲンに必要なの。それがないとあんたもやられるからね」
「何にやられるの?」
「ガチムチマッチョマンっていうニンゲン。レベルマックスなの。勇者より強いのよ」

「わかった。頑張ってニンゲン倒してくるね!」
手を触れないので全身を震わせてボディランゲージをしている。
可愛い・・・我が子を送り届けながら今夜の夕飯の支度を始める。
「スラ太・・・頑張るのよ・・・」

・・・謎の回想シーン来たけどこれ何?
ってかガチムチマッチョマンいるなら勇者いらないじゃん。マオウ倒せるじゃん!パーティに入れたら最強なんじゃ・・?

そうね。仲間って必要だよね。
考えたら18歳になるまで勇者教育で、まともな青春時代を過ごせなかった。
俺にだって青春の1ページを残したい・・・仲間欲しい。

「ビュー先生・・・・俺・・・仲間が・・・欲しいです・・・」

ビューは少し悩むと・・
「ワシは学術誌にこの研究成果を出すから忙しい。乙女の祈りはワシの弟子に任せることにするのじゃ。」
「弟子・・・?」
「ルイージの酒場におるぞ。尋ねてみると良い」

僕まだ未成年なんですけど・・・・

果たして。ゴク・・ワタリは、仲間を作ることができるのだろうか?
次回、ドラ〇ンボー〇『ワタリ、酒場に行く』
来週もまた、見てくれよな!

TO BE CONTINUED!





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