【車中泊旅2024夏7/2~】8/1 Day31:表銀座縦走二日目 燕岳から大天井~大天荘テント泊
北アルプス表銀座縦走二日目。朝5時前に槍ヶ岳に走るモルゲンロートと朝焼けを楽しみ、テラスで朝食。その後、燕岳から大天井まで歩きました。
〇燕岳でのモルゲンロート
モルゲンロートという言葉を知ったのは去年。上高地から涸沢カールに登って、翌日朝に初めてモルゲンロートを目にしました。ドイツ語でモルゲンは「朝」、ロートは「赤」。モルゲンロートは早朝に上り始めた太陽の光に照らされて山肌が赤く染まる現象を差す登山用語だそうです。
モルゲンロートが見られるのは自分から西側の山々。表銀座縦走では槍ヶ岳に到達する前までは、常に穂高連峰と槍ヶ岳が西側になるので毎日これらのモルゲンロートを見る事ができるんです。
今日はその第一日目。穂高連峰も槍ヶ岳もまだ少し遠いですが肉眼で見る事ができました。一番尖った槍ヶ岳の先が赤く灯されるように光ったあとはスルスルと幕が降りるように赤い光が山肌を照らしていきます。空全体が夜の帳のグレーから茜色へとグラデーションして山が赤く照らされる光景は時間にしてほんの数分。あとは白々とした明けた色になってしまうのです。
燕山荘は東西に視界が開けた場所に建っているので、東側の日の出が見られるテラスと西側のモルゲンロートが楽しめるテラスの距離は5mほど。両方を忙しく渡り歩けば両方楽しめるというロケーションが素晴らしいです。
私は動画のタイムラプスでモルゲンロートを撮影したかったので西側に張り付いていましたが、夫はご来光とモルゲンロート両方をカメラで撮影していました。
〇燕山荘のテラス席で朝ご飯
朝日もすっかり昇ったので、東側にあるテラス席で朝食タイムにしました。アルファ米の白米にインスタント味噌汁とふりかけを入れてお湯を注いで15分。味噌味のふっくらご飯が出来上がりました。湯を沸かすのにはモンベルのジェットボイル ジップを使っていますが高速で湯が湧くのでとても助かっています。
燕山荘の東側は天気が良ければ遠く下界の安曇野まで見渡せる風景です。しかし今朝は全て雲海。これはこれで神秘的で美しい景色でした。遠くには富士山が黒いシルエットで雲間から頭をのぞかせているのも見えました。
良い景色、美味しい朝ご飯で今日もスタートです。
因みに燕山荘のカフェ部門SUN ROOMは朝4時50分開店。前日に食べそこなったケーキを朝から食べる事も可能というわけです。ご飯食べちゃったから、またケーキは食べられなかったんですけどね。
〇イケメンなヘリコプターの動きを見物
今日は4時間ほどのトレッキングなので、朝は山荘の周辺を散策したりしてゆっくりと過ごしていたらヘリコプターが荷物を運んできました。上空でホバリングするヘリコプターが降ろした荷物から滑車をはずして、持って帰ってもらう荷物に滑車を取り付けます。合図とともにヘリコプターはぐっと頭を突き出すように前進してから、体を90度ぐいっと傾けながら旋回し、その遠心力で荷物を振り回しながらバラバラと音を立てながらもの凄いスピードで下山していきました。
この光景は昨年も涸沢カールで見ました。ヘリコプターが荷物を持って下山する時、必ず一度前進してから左か右にぐいっと旋回して飛んでいくんです。このぐいっと旋回するのがもう、何というか、私にはイケメンに見えて仕方ありません。きゃーーー、かっこいいわーー。
この朝はヘリコプターは5回くらい往復してこの作業を行っていましたので、ヘリの音がする度にヘリポートにかけよってイケメンぶりを観察させて頂きました。
〇燕山荘から大天荘までの道 3時間40分
7時40分。さて、そろそろ大天井に向けて出発するとしましょう。燕山荘から見えている道は尾根伝い。右手にはずーっと槍ヶ岳が見えているようです。
最初の3時間は見えていた通り、多少の上り下りはあるものの稜線をあるくお散歩コース。天気はいいし景色は素晴らしいし、やっぱり昨日1200mも登ってきたから今日は楽ちんよねー!などと思いながら歩いていました。
しかし、「大天井山頂と大天荘」と「大天井ヒュッテと槍ヶ岳」の分岐点から大天荘までは一気に登り道へと変わって昨日同様の厳しい40分間となりました。データ的には300m登る道なのですが、今日は楽な一日だと思い込んでいただけに予想外の登り40分はかなり大変でした。
〇大天荘でランチ、テント張
大天荘のテント場は予約なしで早い者勝ち。最初にテント場を見に行ったら、まだまだ空いていたので受付してお金を払って、テント場の権利確保だけして、ランチを先にする事にしました。
私はおにぎりと豚汁のセット1100円、夫はカレーライス1200円大盛り100と豚汁単品700円。コーラ1本500円も買ったので、合計3600円でした。
山登りにおいて、費用、荷物、手続きの組み合わせのバランスをどう計画するのかは醍醐味の一つだと思います。
山荘泊は荷物が少なくて済んで快適な睡眠が確保できる反面、コストがかかり予約も必須です。テント泊は大抵は予約不要で自由度が高いく費用も安いのですが、食事やテントなどの荷物が増えます。
昨年は長くても2泊3日でしたのでテント泊、食事は自炊中心にしました。今年は5泊6日なのでテント泊にして、お昼は山荘の食堂で思いっきり食べて、夕飯は軽めにして荷物を減らすという作戦にしました。
表銀座の山荘はどこも素敵なランチを出してくれるので、この作戦は山の食生活の豊かさも確保できて本当に良かったです。
大天荘ではインディアン・ランチ(ナンとサフランライス、3種から1つ選べるカレー、チャイ、フルーツか一品)1800円や冷やし中華1200円などバラエティに富んだメニューもありました。
〇大天井頂上へ
ランチ後にテントを立てたら、目の前にある大天井山頂2922mに登りましょう!大天荘のある場所は2870mなので標高差52m。頂上までは20分くらいでした。
大天井からの眺めは左手手前には、明日歩く尾根とその先に西岳が見え、その奥に穂高連峰と槍ヶ岳、右手奥に立山、右側には今日出発してきた燕岳。名だたるブランド山が全て視界に入ってきます。だから銀座なのね!深く納得した景色でした。
翌日訪れた西岳は、槍ヶ岳がぐっと近くなって迫力があるのですが、ブランド山達がバランスよく均等な距離感で見える大天井の景色が、私には一番銀座感が強く感じられました。
〇27歳女性とおしゃべり
山頂から戻ってきたら恒例のバータイム。今宵は酎ハイとハイボールで乾杯です。山荘内の食堂は誰にでも解放されていて、食堂内には100円でフル充電できるUSBとACアダプタ充電設備がありました。充電されるまでは食堂で飲み物を楽しみました。
夕方になって外の日差しが和らいできたので、夕方からはテラスでまったり。大天荘のトイレは山荘宿泊者と共有。燕山荘のように山荘泊とキャンパーのヒエラルキーを感じず、手を洗う洗面所も用意されているので大分人間らしい気持ちになれたのも良かったです。
やがて同じテーブルに27歳の女性が座ってきたので、おしゃべりする事になりました。彼女はソロの登山者。東京近郊の山なら一人で車を駆って登山するそうです。今回は少し遠いので公共の交通機関で私たちが二日かけてきた道のりを一日でここまでやってきました。いやー、若い。
久しぶりの20代との会話は面白かったですよー。登山の話にとどまらず、40代50代の会社の上司の老害ぶりまで多岐に渡りました。この会話の運びの柔軟性がやっぱり若いなぁという感じで、いい刺激になりました。女性という性別に媚びていなくて、スマートで正直な物言いが気持ちいい、頭のいい感じの女性。ヨーロッパやアメリカで出会う成熟社会でいい方向に育った女性と同じ感じがして「いいぞ、いいぞ」と一人で感心してしまいました。
若い人と話して刺激をもらったっせいか、私はお腹が空いてきたので「どん兵衛 天ぷらそば」で夕食とさせて頂きました。
〇大天荘での夕焼け
大天荘から見る夕日は、槍ヶ岳のかなり右側に太陽が落ちます。日が落ちた後に穂高連峰の背後がオレンジ色に染まって美しかったのですが、雲が全くなかったので、あっさりと終了。夕焼けは雲があった方が楽しいですね。
ということで本日も無事終了。日没と同時に歯を磨いて(歯磨き粉はなしです)、19時半に就寝。