あなたにとって故郷とはなんですか。
わたしの故郷は北海道東部に位置する厚岸町です。人口8500人ほどのとても小さな町です。
美しい海に豊かな自然。豊富にある海産物はその中でもなんと言っても牡蠣が有名です。最近では、ジャパニーズウィスキーとして人気を博した厚岸ウィスキーの名前から、ここは日本のどこだろうって厚岸を知った方もいるかもしれませんね。
わたしはその小さな町でこの世に生を受けた。
幼稚園の年長には隣り町へ引っ越すことになったので、厚岸での生活はたった5年間という短い時間だったけれど、わたしの両親も厚岸生まれ厚岸育ち。そのため厚岸町には深い思入れがあった。
でもわたしは最近になるまで、故郷への思いをどこかに置き忘れたまま過ごしてきた。
進学のため12歳で親元を離れていたし、都会に強い憧れを持っていたので、狭い価値観の世界ではあったが、自分は絶対東京に行くんだということを原動力に勉強も寄宿生活も頑張ってきて。
だから悲しいくらい、故郷を振り返ることはなかった。ひどすぎるよね。
わたしが生まれた昭和40年代は、高度成長期ということもあり、この小さな田舎町も漁業が盛んで、今よりうんと活気に溢れていた。
桜牡蠣まつり、立夏に行われるあやめ祭りに夏祭り、そして秋の牡蠣祭りなどそれはそれは、大勢の町民で賑わっていた。幼いわたしもその日が来ることをとても楽しみにしていた。
家に来た獅子舞に頭を噛まれて怖くて泣いたこと、従姉妹たちと一緒に祖母と手を繋いでお祭りに行ったこと。
祖母の手の温もりはいつまでも忘れられなくて、あの途方もない安心感のあるふっくらしたその手はいつの日も温かく、とにかく優しい手だった。
あの頃の記憶は決して忘れることはない。
今も変わらずわたしの心の奥に深く刻まれている。
この時代の昭和の温かな風景は日本各地に存在していたのでしょうね。
わたしにとって故郷ってなんだろう。