季節の進む音がする。
日々、慌ただしく過ごしているうちに、
気付けば四月も終わりに差し掛かっていた。
今日の東京、最高気温は26度、とテレビでキャスターが言う。
ついこの間桜の季節が終わったばかりと思っていたら、一気に春を通り越して初夏のような気候だ。
夕暮れ時、久しぶりに自転車に乗って近所の公園へ。
夕陽を受けてきらきらと輝く木々、瑞々しい緑色、光の通り道が出来た池の水面。
全力で自転車を漕ぐ。
耳元を、爽やかな風が通り過ぎてゆく。
毎年言っている気はするけれど、目に映る緑の色が日に日に濃く、色濃く鮮やかになってゆくこの季節がほんとうに好きだ。
閉店間際の公園近くのカフェでアイスラテを注文する。
開放的なテラス席で、揺れる木漏れ日を眺めながらちびちびと冷たいラテを口に運んで、木々のざわめきを聴く。
慌ただしい日常を遠く離れ、抜け出してしまったような。ひとりきり、どこまでも静かでやさしい時間。
先週末、所要で故郷へ帰ると、東京よりもだいぶ北のほうにあるそのまちにも、春がやってきていた。
青空を背景に、色とりどりのチューリップが咲き乱れ。
砂埃を巻き上げ、強く風がふく。
きっとあっという間に大好きなこの季節も過ぎ去って、梅雨が来て、夏も秋も冬も。
年々、季節のめぐる速さがどんどんと加速しているみたい。
四季のあるこの国に生きる喜びを、移ろいゆく季節をできるだけ見逃さないように、目で、耳で、鼻で、肌で、感じていたいんだ。
そんなことをぽつり、呟いてみたくなった春の日。