第4回 “街の歯医者さん”ではとどまらない。高松院長の新たなチャレンジ
みなさん、いかがお過ごしですか?神奈川県・横浜市・戸塚区にある高松歯科医院で受付をしている、山本と申します。
高松院長の地域貢献を紹介した前回のnoteはご覧いただけましたか?
やってみようと思ったことは迷わず挑戦する、高松院長の人柄がお分かりいただけたのではないでしょうか。「自分の領域内の仕事ではないから」「うまく行くかわからないから」など、やらない理由をあげるのは簡単ですが、やってみようと思ったことを行動に移すのは、意外と難しいものです。でも、当院の院長は、行動してしまうのです(笑)。
今回のnoteも、そんな院長の”らしさ”を感じられる内容となりました。
お届けするのは、新たにスタートした取組みについて。介護や予防歯科医療について言及していただいていますよ。
訪問治療で、「医科・歯科・歯科」の連携を
ーー 今回は、高松歯科医院で新たに取組んでいる治療についてお聞きしていきます。以前、「医科歯科連携」を強化するために、病院や医師個人に手紙を書いているとお話されていましたよね。その後、進展はあったのでしょうか?
あれから、ちょっとした出来事がありまして。実はもうすでに、「医科歯科連携」の取組みを始めているんですよ。
ーー いつの間に!?具体的に教えていただけますか?
当院に通っている患者さんから相談を受けたのが始まりでした。介護施設に入所している旦那さんの抜歯をしなければいけないのだけど「どうしよう?」と相談をいただきました。なんでも、入所先にくる訪問治療の歯科医師では抜歯ができないから、近くの大学病院に行ってほしいと言われたらしんです。
大学病院は診察までかなり待ち時間がありますし、行ったその日に歯を抜くことは、ほとんどできません。初診で検査をして、次の予約で抜歯をして、またその次に縫合跡の経過を診て……と。数週間はかかってしまいます。そんなの、高齢の方でなくても大変ですよね。
ーー 以前から、大学病院へ行く患者さんの身体的・精神的なご負担を、高松院長は問題視されていましたね。要介護の患者さんの場合、付き添いのご家族の負担も大きいですしね……。
患者さんの話を詳しく聞いていくうちに、介護施設に来る訪問歯科医の方が、たまたま私の知人であることが判明したんです。父の後輩で、そして僕の先輩でもある、幼い頃からかわいがってもらっていた先生でした。知り合いと分かれば話は早いです。私から直接連絡を取り、抜歯処置を申し出ました。
ーー 偶然知っている先生だったなんて、地元ならではのエピソードですね。あれ?でも、それって、「歯科歯科連携」では?
その先があるんですよ。訪問での治療を希望される患者さんは、ほとんどがご病気をされている方です。つまり、もともと主治医の内科の先生がいらっしゃる。そこで、訪問歯科医師に、内科の先生へとつないでいただけないかお願いしました。
外科的処置をする前には、患者さんの持病や服薬しているお薬の情報をお聞きする必要がありますから、自然と医師の方と連絡を取り合うようになっていきました。
医科歯科連携、歯科歯科連携。これが別々のものではなく、医科歯科歯科連携という新しいカタチが生まれたんです。
ーー もはや、ちょっとした医療チームですね。素朴なギモンなのですが、訪問治療で抜歯までできる先生って、歯科業界では珍しい存在なのでしょうか?
訪問治療を専門とする歯科医師のうち、外科的処置までカバーしている歯科医師はそこまで多くはないでしょう。抜歯自体が訪問かどうかに関わらず、リスクのある処置ですから。
ーー診療台で抜歯をするのと、患者さんのご自宅で抜歯をするのとでは、勝手が違うように思うのですが、そのあたり、抵抗はありませんでしたか?
昔、口腔外科医として勤務していた大学病院が、介護施設と提携していたので、当時から訪問による抜歯はずっとやっていたんです。もちろんやりにくさや難しさはありますが、勝手がわかっていたので、大きな抵抗はありませんでしたね。
それに、訪問治療をやるようになり、私が理想とする『患者さんの人生に深く関わる』というスタイルに、さらに一歩、近づいたような気がしているんですよ。
患者さんに来院していただくのではなく、私が患者さんのご自宅に伺い、普段生活している場所で治療をして、経過を見守る。患者さんと二人三脚で治療に取組んでいる。そんな気持ちです。
ーー大学病院で口腔外科医として働かれていた頃は、闘病中の患者さんに寄り添うあまり、先生自身が辛くなってしまった時期もあったとお話していましたよね。先生のそういった一面が、良い方向に作用しているのですね。
ご家族とおしゃべりをしたり、患者さんの暮らしぶりを感じながら治療ができるのは、とてもうれしいですね。人生に関わる仕事をしているなあ、と実感できる瞬間です。
歯科医がはじめた健康診断「オーラルフレイル・チェック」
ーー 通常の診察に加えて、訪問治療にも尽力されていることはよくわかりましたが、先生、また新しいこと始めようとしていますよね?新しい機器が届いたの、知っていますよ(笑)。
よく聞いてくれました!実はですね、当院で健康診断をやってみようと考えているんです。
ーー健康診断って、血液検査や心電図をはかる、あれですか?
いえ、歯の健康診断ですから、お口の健康状態を診るものです。その名も「オーラルフレイル・チェック」です。
フレイルとは、心身の機能の衰えや、未病の状態のこと。オーラルフレイル・チェックとは、口内のフレイルを検査することで、いまの身体の状態を調べる検査です。体の衰えは、本人が気づかないうちにじわじわと進行します。そしてそれが、寝たきり状態や要介護状態につながっていきます。でも、口の中の状態を診るだけで、衰えの兆しを見つけられるんです。
ーー 口の中の衰え……。パッと思いつくものだと、嚥下機能とかですか?
そう。嚥下機能もその一つですね。この検査では、飲み込みにくいと感じるその前に、機能低下の兆候を細かくチェックすることができます。
検査には専用機器を使い、結果は厳密に数値化されるので、年齢とともに変化する数値を経過観察することもできるんですよ。風船のようなボールを舌で押して、舌の筋力を計測したり、ゼリーを噛んで咀嚼力を計測することもできます。ほかには、舌の乾燥を数値化することも可能です。
さらに問診では、食べづらくなった・むせる・口が渇く…等、7つの項目から患者さんのオーラルフレイルの進行状況を診ていきます。
ーーそこまで細かくわかるんですね!たとえ自覚症状がなくても、この検査で不調の兆しを発見することができそうですね。
自覚症状がある場合、未病ではなく発病している可能性があります。検査を通してわずかな兆しを見逃さずキャッチできれば、早い段階で手を打てますよねこの検査が、患者さんの健康寿命を伸ばすことにつながれば、と考えているんです。
お口の総合病院として
ーー 検査結果が改善していたら、うれしいでしょうね。このオーラルフレイル・チェックでは、先生に診てもらえるのですか?
当面は私と、歯科衛生士である妻とで実施していく予定です。でもいずれは、言語聴覚士の方と連携をとれないかと考えているんですよ。ことばや聴こえ、そして嚥下能力の指導を専門とするプロの方に、検査や指導をしていただけたら、非常に心強いです。
ーーいますでに、保育士というプロに来ていただいていますよね。さらに言語聴覚士の方が加わると、患者さんのさまざまなニーズにもお応えできそうですね。
可能性が広がりますよね。「プロ」でいうと、これから訪問治療に力を入れていくため、口腔外科の先生に来ていただけないかな、と考えているんです。まだ構想段階ですが、高松歯科医院に訪問外科部門をつくり、外科的処置を必要とする患者さんのもとへ伺うんです。いまは私が個人でやっていますが、医師が増えれば、治療を必要とする患者さんを、お待たせすることもなくなるはずです。
まずは口腔外科の知人や後輩に声をかけて、下準備を進めようと思っているんですよ。
ーー なんだか総合病院みたいですね。
歯みがき教室やオーラルフレイル・チェックは、直接的な治療ではありません。でも、お口の健康を支えるためには、とても効果的な取組みなんです。
高松歯科医院が「生涯、自分の歯で!を目指す」とポリシーとして掲げている以上、お子さんから年配の方まで、幅広い方のお口の健康をサポートすることが、使命だと思っています。そのためには、「歯科医院なのにそこまでするの?」と思われるような、大胆な取組みも、どんどんスタートしていきたいですね!
【後記】
今回は、新しくスタートした訪問歯科治療とオーラルフレイル・チェックについて、ご紹介しました。
当院のポリシーに実直に、本当に一生分の歯のサポートをしようとしているのが、高松先生らしいと感じました。歯みがき指導もオーラルフレイル・チェックも気になった方は、ぜひお問い合わせくださいませ。
さて、次回のテーマは、「働く場所としての高松歯科医院」。スタッフ同士の連携や職場環境は、治療の品質にも影響を与えるものですが、当院では、どのような教育制度を設けているのでしょうか。
患者さんだけでなく、一緒に働くスタッフにも幸せになってほしいと考える、高松院長の考えをお聞きしてきましたよ。ぜひ次回もご期待ください!
◎ 神奈川県戸塚区名瀬町にある“街の歯医者さん” 高松歯科院のHPはこちら。歯のこと、健康のこと、お気軽にご相談ください!