アートワールドについて

アートワールドの中心的な活動場所で重要になるのは「都市」である。「国家」ではない。なぜなら近代美術そのものが最初から国際性を持って生まれたためである。

アートワールドの人々の多くは、国境を超えて活動するので、国家観念には希薄である。そのため彼らにとっては、「アメリカ」「日本」「中国」よりも、「ニューヨーク」「東京」「香港」といった都市観念が重要になる。

芸術活動が盛んな都市は 「art capitals(芸術首都)」と呼ぶ。 芸術活動で重要なのは、ニューヨーク、ロンドン、ロサンゼルス、ベルリンの4都市。続いて北京、ブリュッセル、香港、マイアミ、パリ、ローマ、東京。

そして各都市で毎月のように開催されるアートフェアやビエンナーレが芸術関係者たちの試合会場となる。アートワールドを外観できるアートフェアやビエンナーレは以下のものになる。これらのフェアに参加しない芸術家や画廊は、アートワールド内で戦っていないことになる。

20世紀はヴェネツィア・ヴィエンナーレやドクメンタなどの国際展がアーティストの評価を高める力を持っていた。しかし、21世紀に入ってから力をもってきたのはアートフェアである。アートフェアは現在何百とあるが、特に重要なのはアート・バーゼルである。

アート・バーゼルはアートワールドのメッカ。毎年6月に世界中の画商やギャラリストやコレクターはもちろん、あらゆる分野のエキスパートやジャーナリストが参加する国際的な近現代美術のアートフェアである。アート関係者であれば絶対に見過すことのできない場所である。

"近現代美術"である理由は、ここは、持ち主が長年手放さなかった巨匠の作品に出会えるチャンスの場所であり、同時に現代の新しいアーティストたちにいち早く目を付けることができる場所だからである。

バーゼルは近代美術と現代美術を独自に融合させることに成功し、来場者が芸術運動の歴史と、その延長線上にある現代美術を理解できるよう心がけている。

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