少女援助 (第一話)
第一話 「出会い」。
大学二年生の女子大生ゆかり(20)が染めた現代的な援助交際をめぐる人生の転換期…そこで彼女がみたオトナの世界とは。
都内に通っているどころにでもいる少女、ゆかり。
彼女が現代的な援助交際に手を染めたのは、人生の焦りを感じていたころだ。
それこそ今風に言えば"パパ活"という方がわかりやすいかもしれない。
彼女はあまりキャリアや欲に関心がないタイプで、頭の固い現実思考派だが、
たまたま彼女が働いている飲食店のバイト先に現れた男によって価値観が揺らぐようになる。
その男は慎吾と言う名前で年齢は30代半ばで、偶然彼女がその男を接客することなった。
「いらっしゃいませ。ご注文はいかがなさいますか?」
当然何気ない接客だ。
まして彼女は笑顔を出すタイプでもない。
それにこのバイト先は県を跨いだ先で、派手な人種も少なく、地元の客しかこないようなお店である。
そしてそのありきたりな接客に、話したこともない店員ゆかりに慎吾は笑顔でこう答えた。
「何でもよいから君のおすすめのドリンクを勧めてくれないか、僕は君の好みを知り、せっかくここまで来たのだから会話を弾ませたいんだ」
オトナの余裕というべきか、軟派というべきか。
慎吾は小慣れた様子でゆかりに話す。
ゆかりは呆気に取られて、言葉を詰まらせた。
「えっ、あっ、えーっと、今のおすすめはこちらのドリンクです」
少し恥ずかしながらゆかりは勧めた。
「では、これで。」
シンプルに決断した慎吾。
そして早々に会計を済ませたあと慎吾はゆかりにこう続けた。
「バイトの休憩中か終わりにでも僕の席においで」
ゆかりは頭の中では戸惑っていたが、思わず
「あっ、はい。」
と答えたのだ。
ゆかりは男性経験も少なく、地元の友達と遊んでばかりなので彼氏と付き合ったのも一人。
ましてオトナの男性から誘われるような機会もバイト先以外にほとんどない環境だ。
ゆかりはしばし緊張しながら、休憩時間を迎えて慎吾のもとへやってきた。
「あっ、あの、、バイト休憩で、、えーっと先程は買っていただきありがとうございました」
ゆかりは緊張を隠しきれない。
そこで慎吾は
「あはは、そんなに緊張しなくてもいいじゃない。ありがとうね、そして君は可愛いからここに呼んだんだよ」
ゆかりは頭が真っ白になった。
それに慎吾は人身掌握に長けているのか、ゆかりを口説いてるようだ。
「君の名前は何て言うの?僕は今井慎吾っていうよ。たまたま仕事でこのエリアにきて立ち寄っているんだ。なかなか来る機会ないけど理由が出来た。君と話すという理由でね」
ゆかりは返答に困った。
「あっ、ゆかりって言います。今大学二年で、、えっ、あっ、はぁ。」
「ゆかりちゃんね?大学二年なんだ、そろそろ就活が始まるね。どう?色々と企業を調べたりしているの?」
ゆかりの事を短時間で引き出そうとする慎吾。
彼女の休憩時間も残り3分と迫った。
「私、そろそろ、、」
慎吾はすかさず
「あっ、君の力になれると思うからLINEを交換しよう」
時間が迫ったゆかりは焦りで正確な判断が出来なくなったのか
「えっ、あっ、はい、、私がQRコード出しますか?」
早々にLINE交換が終わって職場に戻ろうとするゆかり。
「じゃあ、私はこれで失礼します…」
このLINE交換が価値観を変えようとはゆかりは知る由もない。
慎吾の目的は何なのか?
ゆかりは慎吾への疑念が晴れることなくバイトを続けるのであった。
第一話・終。
【次回(第二話)「正と性」は、慎吾からのLINEによって、益々ゆかりが想像できない世界へコントロールされていく。二人の関係はいかに…】