写真展から得るもの
令和5年4月25日(火)~30日(日)で写真展に参加しました。
写真家の別所隆弘さんが主催するオンラインサロンのB’sに所属するサロン生が「壁」というテーマに基づき作品を展示するものです。
サロン生の撮影ジャンルは多岐に渡り、ポートレート、スナップ、風景、ドローンとプロアマ関係なく多くの写真家が所属するこのサロン。
去年の12月に募集が始まり最終的には39名の出展者で開催されました。
私は数少ない、というか私だけかな?
水中を撮影する者として参加しました。
まずは、主催の別所さん、協賛のGoogle様、幹事の皆様本当にありがとうございました。
そして、ご来場いただいた多くのかた、本当にありがとうございます。たくさんのかたのご来場に恵まれ、とても良い写真展になりました。
思考編
「壁」というテーマの壁
写真展を開催するにあたり、必要なものは言葉にすれば一言で済みます。
「自身の写真をプリントして展示するだけ」です。
一見簡単そうな作業に思えますが、途方もない思考の数々を巡らせ写真展に臨むことになります。
今回の写真展のテーマは「壁」。
水中を撮影する私にとって「壁」とは一体何なのか。スタートはここを考えることから始まりました。
水中にある「壁」というと真っ先に思い浮かんだものがイワシウォールとかイサキウォールとか、クレバスの壁とか、そういった物理的なものです。
まぁ、イサキの写真持ってないけどな。
ジープ島にイサキウォール出ないし。
次に考えたこととしては、内面的な「壁」。何かを乗り越えた的な感じのやつ。
ただ、この路線は結構多そうな予感がしました。
実際、今回の展示者さんで自己の内面的な壁を表現するものとして作品を出展していたかたは多かったように感じます。
私も内面的な壁を乗り越えた瞬間って感じたことはあります。ですが、それはジープ島で撮影した写真に紐づくものが無かったというのが一番ですが、内面的な表現は少々苦手なので、別の方向で検討することになります。
スキューバダイビングというスポーツに思う事
今回出展した写真はトップに掲載したイルカの写真です。
水中では当然言葉を発することができず、スキューバダイビングにおいてはハンドシグナルやジェスチャーで意思の疎通を行います。(厳密には水中でも、音声で会話ができるツールもありますが、一般的ではないので今回は無視で)
そこは、日本人であろうと海外の方であろうと海に潜ってしまえば「言葉の壁」というものは一切関係なくなります。海という通常では死に直結するような環境で、共に得た感動を共有するのに言葉という壁は明確に霧散します。
それは人種だけではなく、種族においても同様です。
今回私が「壁」のテーマとしては
「この写真見れば分かるやろ? 海の中に入ってしまえば、人種だろうと種族だろうと壁なんて無いんだよ。」
というものです。
※もちろん、危険生物との間には分厚い壁を用意しないと死ぬ場合もありますので、これが全てと思ってはいませんですハイ。
プリント編
時間の壁
さて、そんなわけで出展作品のテーマが決まり、写真をプリントする作業に移ります。
ここで私の前に1つ「壁」が現れました。
「時間の壁」です。
私の撮影したジープ島の水中写真はほぼ全てEOS 50Dで撮影したものです。
EOS 50Dは、2008年(平成20年)に約1510万画素のセンサーを搭載して発売されたカメラで、同期間にルデコの5階で展示されていたPixel展の方が、高画質だったかもしれません。このカメラが発売されたころ、小学生とか中学生だった出展者さんもいるかもしれません。解像度は4224×3168。
今回私に与えられた壁は900cm。
A1サイズのプリントを1枚ドカンと貼ってやろうと考えましたが、圧倒的に解像度が不足しています。
A1サイズにプリントするにあたり必要となる解像度は300dpiで7016×9933。倍以上足りません。
このままプリントすることも考えましたが、最近の写真家さんは目が肥えているので、展示会場で爆死する己の姿が容易に想像できました。
ここで登場するものが、ソフトウェアです。
甦るイルカ
今回最終的に使用したソフトは「Adobe Lightroom Classic」と「DxO PureRAW3」です。
実はこれ以外にも「Topaz」とか使ったりしましたが、海の青い階調がもっとも生きていたのは、上記のソフトでした。
展示した写真はこんな感じです。
A1のクリスタルプリントです。
今回、出展するプリントを会場で初めて見るスケジュールになりましたが、開封して我ながらうっとりする仕上がり。15年前のカメラで撮影した写真と誰が思うでしょうか。
我ながら、データ作り本当に頑張ったので、報われた瞬間でした。
クリエイトさん本当に感謝しています。
個人的には「時間の壁」を乗り越えられたと思っています。
まとめ
大体なんでもそうだと思いますが、評価とは他人がするもの。
自己評価も大切ですが、自分の価値は他人により決められることがほとんどです。
写真展への出展は、自分の写真を他人に見てもらい評価してもらう場としては最たるものと思います。会場で観覧者さんに見てもらった感想を直で受け取ったり、雰囲気を察したりして得られたフィードバックは今後の作品作りの参考となります。
様々な意見はありますが、他人に自分の写真を見てもらうことは写真上達の1つのポイントとして大きな意味合いを持つと私は思っています。
SNSに投稿することも、写真展に出展することも、写真の上達につながると信じています。
今回初出展の方も多かった壁展ですが、観覧者さんのご意見を直接頂き、相当な経験値を蓄えることができたのではないでしょうか?
何より、メンバーが本当に良かった。
全員が迷うことなく1つの方向に向かって進むイベントは、とても心地よいものです。これだけの大所帯で、全員が足並みをそろえて楽しむことが出来るのは本当に楽しかったです。
だって、40人近い人数って学校で考えると1つのクラスですよね。全員が同じベクトルを向くって中々難しいですよ。
別所さんをはじめとする幹事の皆さん、本当に素晴らしかったです。
次の目標
今回の写真展で得たものは多かったです。古いカメラを使っても、このレベルのプリントができることを知れたのはもっとも大きい収穫でした。
今年は9月にジープ島へ行く予定ですが、今回のワークフローが頭に入っているので、それを踏まえてゆとりを持った撮影ができると思います。
次の作品展にも、これ以上の作品をお見せできるように励みたいと思います。