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【書評】江戸の町役人
江戸は諸国から人々が流入した町であった訳だが、江戸の人口増と町の膨張は、次第に専業的な町政運営を必要とするに至り、町役人による官僚的支配によって運営されなければ維持できない状況が生まれた。
それにともない、家持(地主)中心の町支配から家守(家主)中心の町支配への大きな転換があったと考えられている。
本書では封建都市江戸の発展を背景に、江戸の町々の支配組織が確立されてくる享保改革前後に重点が置かれ、町役人制度の沿革と実態、変質が具体的に記されている。
本書の著者
吉原健一郎著「江戸の町役人」吉川弘文館刊行
1980年10月10日発行
著書の吉原健一郎氏は、1938年に東京都に生まれる。1967年に東京教育大学大学院文学研究科日本史学専攻修士課程を修了。東京都公文書館主任調査員、成城大学文芸学部文化史学科教授を経て、2009年に成城大学名誉教授となる。成城大学民俗学研究所所長、歴史学会会長を務めた。2012年3月22日、肺癌のために死去。
本書の章構成
本書の章構成は以下のとおり。
町役人とは
町支配の機構
町のしくみ
江戸の成立
江戸宿の支配
江戸町の完成
町方支配の確立
大江戸の町々
町年寄の職務
名主と支配町々
元禄の町
亨保改革と町運営
公事と町礼
町運営の諸相
公役の銀納化と町人
町年寄と町名主
身分と地位
収入と拝借
町年寄三家
町名主高野直孝
江戸の変質
町役人の統制強化
江戸の解体と町役人
明治維新と町