【書評】家康と茶屋四郎次郎
茶屋四郎次郎は京都の呉服商だったが、「神君伊賀越え」の危難を救った人物であり、関ヶ原にも参戦している。家康に鯛の天ぷらを勧めた人物でもある。ところで、同じ茶屋四郎次郎という名前を名乗っているが、三人は別人であった。
当主が代々、四郎次郎を襲名した京都の豪商茶屋家は、なぜ徳川家康とかかわりをもつようになり、大御所駿府政権の経済ブレーンになったのだろうか。
本書は、茶屋家の出自から朱印船貿易家としての茶屋四郎次郎と家康とのかかわりについてまで紐解いた書。
本書の著者
小和田泰経著「家康と茶屋四郎次郎」静岡新聞社刊
2007年11月20日発行
本書の著者の小和田泰経氏は、1972年(昭和47年)東京生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期退学。現在、静岡英和学院大学講師、早稲田大学エクステンションセンター講師。
本書の章構成
本書の章構成は以下のとおり。
第1章 茶屋家の出自と家系
先祖は信濃守護小笠原氏の家臣か
初代四郎次郎清延と家康とのかかわり
本能寺の変と「神君伊賀越え」
清延は「家康情報局京都駐在所長」
二代茶屋四郎次郎清忠
三代茶屋四郎次郎清次
糸割符制度と長崎貿易
第2章 朱印船貿易とは
朱印船貿易研究の到達点
江戸幕府の朱印船貿易の実際
朱印船貿易のセンターだった駿府
第3章 茶屋家の朱印船貿易
「茶屋新六郎交趾渡航図」について
茶屋船の航海
順化と広南の鎮営に赴いた船長茶屋新六郎
交趾におけうる茶屋家の交易
第4章 安南との外交に尽くした茶屋家
国交の開始
日本と交趾との外交
茶屋家と交趾
茶屋新四郎の探宮
日本からの武器の輸出
日本と東京の外交
第5章 その後の茶屋家
家康の発病と茶屋四郎次郎清次
大航海時代から「鎖国」へ
「鎖国」への動きと茶屋家
シャムとの国交断絶とその波紋
夢と終わった朱印船貿易の再開