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【書評】藤原京 よみがえる日本最初の都城

藤原京は、694年(持統天皇8年)に飛鳥浄御原宮から宮を遷して成立したとされる都。16年後の710年には平城京へ遷都され、短命に終わったことから、あまり注目されてこなかった都だ。

本書は、著者が奈良国立文化財研究所の一員として、飛鳥・藤原地域の継続的な発掘調査や研究成果を核としてまとめられたものである。

本書の著者

木下正史著「藤原京 よみがえる日本最初の都城」中央公論新社刊
2003年1月25日発行

本書の著者の木下正史氏は、1941年東京生まれ。1964年東京教育大学文学部卒業。同大学院修士課程修了、奈良国立文化財研究所、同飛鳥藤原宮発掘調査部考古第二調査課長を経て東京学芸大学教授、2016年定年退任、名誉教授。

本書の章構成

本書の章構成は以下の通り。

序章 藤原京の誕生とその時代
第一章 藤原宮はどこにあったのか?
第二章 藤原京・宮への遷都計画と造営経過
第三章 遺跡が語る藤原宮の造営
第四章 藤原宮の外郭施設と宮城門
第五章 藤原宮の中枢施設—大極殿・朝堂院と内裏
第六章 藤原宮の役所
第七章 本格的都城の誕生
第八章 藤原京の人口を推定する
第九章 藤原京の住宅事情
第十章 藤原京の市
第十一章 都市問題の発生
第十二章 藤原京廃都

本書のポイント

藤原宮と京の構造や諸施設は、飛鳥の宮都と平城京との過渡的特徴が顕著であるという。
本書は、最初の本格的な都城はどのように計画・造営されたか、都市の構造がどのようなものであったか、どのような都市問題が発生していたか、どのような理由で廃都に至ったなどが、発掘調査や研究成果を踏まえて語られている。
特に、第十一章の「都市問題の発生」では、数万人が住んだ藤原京の屎尿処理や都市衛生、医療について記述されており、興味深い内容となっている。

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