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【書評】DX実行戦略

原題は"Orchestrating Transformation"。
前著「対デジタル・ディスラプター戦略」で著者達は、デジタルビジネス・トランスフォーメーションとは何か、なぜそれが必要なのかを論じた。

続編となる本書では、デジタルビジネス・トランスフォーメーションと日々格闘しているエグゼブティブ達とのワークショップや指導プログラムを通して得られた教訓を基に、整理・体系化した「組織変革を実行するための方法」を論じている。

本書の著者

マイケル・ジェイド他著「DX実行戦略」日本経済新聞出版社刊行
2019年8月22日発行

本書の4人の著者、ジェフ・ルークス、ジェイムズ・マコーレー、アンディ・ノロニャ、マイケル・ウェイドの4名 。

本書の章構成

本書の章構成は以下のとおり。

序章  なぜいまDXなのか
第1章 既存企業が抱える「変革のジレンマ」
第2章 戦略的な方向性を定める――変革目標とは何か
第3章 「変革目標」を打ち立てる
第4章 リソースをかき集め、協働させる――トランスフォーメーション・オーケストラ
第5章 オーケストレーションを機能させる8つの能力
第6章 オーケストレーションを推進する組織づくり
終章  企業がとるべき21のアクション

本書のポイント 

第1章では、今日の既存企業がもつ3つの組織的特徴(規模、相互依存性、ダイナミズム)について言及し、なぜこうした「組織のもつれ」が、従来の変革手法によるデジタルビジネス・トランスフォーメーションの達成をほぼ不可能にしているのか、その理由が説明されている。
 
第2章では、前著「対デジタル・ディスラプター戦略」の主要コンセプトである「カスタマーバリュー創出」「ビジネスモデル」「対応戦略」の見直しが説明されている。

第3章では、企業の戦略的方向性を定める際に極めて重要になる課題と、変革を取り巻く状況について述べられている。
ここでは、カスタマーバリュー創出が最優先事項とされ、組織を変革に導く「変革目標」と、企業全体の取り組みを活性化させる「変革理念」を着想し、設定するための方法が述べられている。

第4章では、組織を「楽器(変革の推進に不可欠なリソース)」で構成された交響楽団になぞらえた「トランスフォーメーション・オーケストラ」について説明されている。
また、変革の実践は本質的に「ネットワーク的」な活動であると述べ、「変革ネットワーク」の迅速な行動により、組織内の多種多様なリソースの協働が必要となることを述べている。

第5章では、「オーケストレーター」によって推進される具体的な活動を通じて、リソースを動員し、機能させることの意味を考えている。

第6章では、力強いオーケストレーションを推進するためにはどのような組織づくりをすべきかを分析し、変革に向けたプログラムが大中規模の組織でどのように管理されているか言及されるとともに、「オーケストレーター(トランスフォーメーション・オーケストラを指揮し、変革に向けたプログラムの実行に責任を負う人物)」の権限、責任について考察されている。
更に、組織構造を「部門志向のスタイル」から「ファブリックが既存組織の階層を覆うスタイル」への移行が提唱されている。

終章では、本書の核となるアイデアを振り返り、組織変革のための「結びつきのアプローチ」が総括されている。

まとめ

企業にとって重要かつ戦略的で大規模なデジタルビジネス・トランスフォーメーションを推進する「実践者」のための「組織変革を実行するための方法」を論じた書である。

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